インフルエンザの患者から出ているウイルス量は非常に重要です。排出されるウイルス量が多く、排出期間が長ければ感染拡大の機会が増加するからです。
以前の記事「肥満はA型インフルエンザウイルスを長期間排出する」では肥満の人の方がA型インフルエンザウイルスの排出期間が長いことを書きました。
今回の研究ではウイルス排出量を様々な分析をしています。鼻咽頭を綿棒でこすったものと、咳による粗いエアロゾル、通常の呼吸を30分したときに集められた微粒子のエアロゾルのウイルス量を比較しています。
パラメータ | 鼻咽頭綿棒 | 粗いエアロゾル | 微粒子エアロゾル | |||
未調整 | 調整済み | 未調整 | 調整済み | 未調整 | 調整済み | |
年齢 | 0.85 * | 0.78 * | 1.0 | 1.0 | 0.99 | 1.0 |
男性 | 0.34 | 0.68 | 1.7 | 1.7 | 2.4 * | 1.3 |
喘息 | 3.8 | – | 1.38 | – | 2.6 | – |
喫煙者 | 2.3 | – | 0.48 | – | 1.5 | – |
BMI | 1.3 | – | 1.9 * | 1.8 | 1.7 * | 2.5 *** |
予防接種†(今年) | 1.3 | – | 1.4 | – | 2.8 * | – |
予防接種(前年) | 1.55 | – | 0.71 | – | 2.3 | – |
予防接種(今年と前年) | 0.77 | – | 1.13 | – | 2.1 *** | 6.3 *** |
発症後2日目 | 2.13 | – | 0.34 * | 0.34 * | 0.44 * | 0.47 * |
発症後 3日目 | 0.55 | – | 0.29 * | 0.30 | 0.20 **** | 0.24 *** |
発熱‡ | 3.6 | – | 0.70 | – | 1.7 | – |
咳の数 | 1.3 | – | 2.1 *** | 2.3 *** | 2.9 ***** | 2.6 **** |
上気道症状 | 3.4 **** | 2.9 *** | 0.76 | – | 0.88 | – |
下気道症状 | 3.2 * | 1.2 | 0.94 | – | 1.9 | – |
全身症状 | 5.3 *** | 2.4( | 0.86 | – | 1.8 | – |
男性×咳 | – | – | – | – | – | 3.2 ** |
非常に面白い結果が得られました。
鼻咽頭を綿棒で拭った液のウイルスは上気道症状など症状があると増加しました。
咳と共に出てくる粗いエアロゾル中のウイルスはBMIが高くなると増加します。また、咳の数が増加するとウイルスも増加します。しかし、発症2~3日目には著明に減少しています。
通常の呼吸で排出される微粒子エアロゾルのウイルスは、非常に興味深いです。BMIが高いとウイルスは2.5倍に、咳の数が多いと2.6倍に、男性でしかも咳をすると3.2倍になっています。しかし、発症2~3日目には著明に減少しています。最も興味深いのはインフルエンザワクチン接種との関連です。今年ワクチン接種で2.8倍ですが、前年と今年続けて2年ワクチン接種すると、なんと6.3倍にまで増加してしまうのです。ただしこのことはA型インフルエンザウイルスのみに認められ、B型では認めませんでした。前回の記事での肥満でのウイルス排出期間の延長もA型のみだったので、AとBでは何か大きな違いがあるのかもしれません。
前回の記事「前年にインフルエンザワクチンを接種していた人の方が多く新型インフルエンザを発症していた」で書いたように、ワクチンは連続で接種するとなぜか悪い結果に結びつきます。 ワクチンには我々が知らない「仕掛け」がされているとしか考えられません。
2年続けてインフルエンザワクチン接種した太ったインフルエンザに感染した男性が咳をした場合には、近くに寄らない方が良いかもしれません。
「Infectious virus in exhaled breath of symptomatic seasonal influenza cases from a college community」
「大学コミュニティからの症候性季節性インフルエンザ症例の呼気中の感染性ウイルス」(原文はここ)