糖質制限は長期の効果はまだわからないと言う人もいます。我々糖質制限を長く行っている人はずっと体調が良いのですが、もちろん100%の人が良いとも言えません。では、エビデンスはどうでしょうか?これまで糖質制限の1年間の研究は存在していました。(「糖尿病に対する1年間の食事による生理的ケトーシスのパワー」参照)
その研究の2年間の結果が出たので報告したいと思います。対象は2型糖尿病歴8年前後で、年齢はほぼ50代、BMIは平均で40ぐらいです。糖質制限群では、最初は1日30g未満の糖質量で、個人的な炭水化物耐性と健康目標に基づいて徐々に増加しました。血中ケトン体(βヒドロキシ酪酸)の値は500~3000μmol/Lでケトーシスを達成し維持するよう参加者に助言しました。
タンパク質の目標は1.5g/kg、エネルギー摂取量を追跡せずに満腹感を得るために十分な脂質を食事に含めるように指示されました。
結果は次のようです。
実際にはケトン体値は平均270 で、ベースラインよりも50%高い値でした。ちょっと十分とは言えない数値です。61.5%が、1〜2年の間に少なくとも1回はケトン体値が500を超えていました。(図は原文より作成、原文はその2にあります)
糖質制限群では10%以上の体重減少を認め、2年後でもやや増加したもののベースラインから10%以上の体重減少を保っていました。通常治療は体重が減少しないばかりかやや増加傾向です。
HbA1cも2年後は1年後よりもやや増加してしまっていますが、ベースラインからは1程度低下しています。通常治療では増加傾向です。
空腹時血糖値も同様な動きです。糖質制限群では130前後まで低下しています。通常治療は170を超えています。
空腹時インスリン値は糖質制限群では大幅に低下し2年後も維持しています。
インスリン抵抗性を表す、HOMA-IRも低下し、5前後を維持しています。通常治療は全くインスリン抵抗性が改善していません。
このように様々なパラメーターが改善し、2年後でもほとんど維持できています。ただ、元々100kg超えの体重で、BMIも40超えです。その他のベースラインの値を見ても非常に悪い数値です。結果としてもう一歩のところ、もう少し改善して欲しいなと思いますが、あまりにもベースラインが悪いのでいきなりは難しいのかもしれません。1年後より2年後の方がやや数値が戻っているものもありますが、リバウンドというレベルではなく、少し食事が緩んだのではないかと推測します。
通常治療は全く治療していないのではないかと思うくらい悲惨な結果です。しかし、確かに医師に通常の治療を受け、栄養士の通常のカウンセリングも受けているのです。
圧倒的な差と言って良いのではないでしょうか?次回の記事では肝臓の状態や薬の増減などについて、この続きを書きたいと思います。次も圧倒的な差があります。
鈴木武彦 と申します。
現在52歳(1967年1月 生まれなので、先生と同学年かもしれません)
10年程前からマラソンに取り組み、7〜8年位糖質制限、最近では1日1食にして、体調の
よさを実感しています。
話は飛びますが現在テレビなどでは、石坂浩二さんを起用した、「エネルギーミックス」と称する原発推進のCMが、また始まりました。東日本大震災の記憶がそろそろ薄れてきたタイミングを狙ったのでしょうか。
斯様に世の中は、正しい有益な情報と、誰かが恣意的に流す有害な情報が、玉石混交、
と感じます。
もちろん、糖質制限は前者の情報と自己判断して継続していきます。
糖質過剰症候群についてのご著書、購入し拝読しております。
ブログなどよりも詳しく分析されている印象で、とて納得がいきます。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
私は5月なので鈴木さんが一年先輩です。
拙著を読んでいただきありがとうございます。
また、糖質制限で体調が良くてなによりです。
どの情報を信じるかは本当に自己判断です。
私はこれからも私が信じる情報を伝えていこうと思っています。