AYA世代女性は糖質制限を

先日の報道で15~39歳の思春期・若年(AYA)世代のがん患者で、多くは女性が占めていることがわかりました。AYA世代の中で20~39歳の患者の約8割を女性が占めているのです。乳がんや子宮頸がんの増加が大きな原因と考えられています。(その記事はここ

図はがんの統計からの図です。

上の図を見て分かるように、1975年では子宮頸がんのピークは60~70代の高齢者でした。しかし、現在は低年齢化し2014年のグラフではピークは30~40代です。逆に50代以降の罹患率は低下しているのです。これをHPV感染で説明できるでしょうか?

AYA世代での子宮頸がんの罹患率は2000年から急上昇です。(「日本の子宮頸がんはなぜ2000年を境に上昇を始めたのであろう?」急にウイルス感染者が増加したのでしょうか?

40代以降はどんどん低下し、最近ではずっと横ばいに見えます。

上の図はAYA世代の乳がん罹患率ですが、乳がんはAYA世代を含めて全体的に増加しています。

これを受けてがん検診をもっと積極的に受けることを勧めるでしょう。しかし、早期発見ではがんは減少しません。以前の記事「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」で示したように、乳がん細胞には約6倍ものインスリン受容体があります。糖質を摂ってインスリンの分泌が高まると、乳がんの細胞は大喜びで、たくさんのグルコースを食べて、どんどん増殖していきます。

また「血糖値の上昇は乳がんの予後を悪化させる」で書いたように、血糖値の上昇は乳がんの再発や死亡率を増加させます。

恐らく同様に子宮頸がんでも糖質過剰摂取はリスクの増加と結びついていると考えられます。拙著「糖質過剰症候群」で書いたように、IGF-1(インスリン様成長因子)が高いと8倍以上、子宮頸がんの前がん病変になりやすいのです。

同じく拙著で書いたように胃がんではピロリ菌があっても血糖値が低い場合には胃がんのリスクは上がりません。

つまり、細菌やウイルスの感染ががんの原因と考えられているものであっても、もう一つのヒットがないとがんにならないのではないかと考えています。それが糖質過剰摂取による高血糖です。

子宮頸がんの予後に関しても血糖値が高いと予後が悪くなるという研究があります。(例えばこの論文この論文

さらにGLUT1(グルコーストランスポーター1)が増加していると、子宮頸がんの予後も悪くなるという報告もあります。GLUTはご存じのように、細胞に糖を取り込むためのタンパクです。血中のグルコースを取り込むGLUT1は、インスリンの有無に関わらず細胞膜上に存在してグルコースを取り込むことができ、赤血球や脳などに存在します。そのようなGLUT1が子宮頸がんに存在するということは、どんどんグルコースを取り込み、どんどん大きくなるということを意味すると思います。(図は原文より)

上の図は縦軸が生存率、横軸が生存期間です。左のaの赤い線はGLUT1が低い群、青い線はGLUT1の高い群です。GLUT1が高い方が生存率が低くなっています。bのグラフはHPVの中でHPV16というものが陽性なのか陰性なのかで比較しています。HPV16陽性の方が生存率がやや高くなっています。

上の図はaのグラフがHPV16陽性、bのグラフはHPV16陰性で赤い線はGLUT1が低い群、青い線はGLUT1の高い群です。HPV16陰性ではGLUT1による違いはありませんが、HPV16陽性ではGLUT1が高い方が生存率がかなり低くなっています。

HPV感染の感染率が最近になってどんどん増加しているとは考えにくく、それ以外の要因、つまり糖質過剰摂取が大きく影響しているのではないかと考えられるのです。もちろん、お米文化の日本では以前より糖質過剰摂取です。しかし、恐らくは近年のスナック菓子、スイーツ、糖質たっぷりのドリンクなど、高濃度で吸収の良い糖質の摂取量の増加が原因になっているのではないかと思われるのです。ペットボトルのドリンクの普及、最近ではタピオカドリンクに代表される歩きながらでも摂取できる状態のドリンクなどの販売の増加、異常なほどまでのスイーツの流行、お腹が減りもしないのに無意識のように食べているお菓子など、糖質摂取の形態は以前とはどんどん形を変えています。

3度の食事だけの糖質過剰摂取でも、もちろんリスク増加はあるかもしれませんが、現在のように3食+お菓子やドリンク、スイーツなどを全て数えたら数えきれないほどの間食ががんを引き起こす最大の原因ではないかと思います。現在の食生活では寝るとき以外では休みなく血糖値が上昇し、インスリンが増加しているのです。危険極まりないです。

小さなころから食育で糖質過剰摂取を避けるように教えるべきだと思います。糖質いっぱいのドリンクを含めた間食をなくすだけでもAYA世代のがんは減少するのではないかと思います。思春期や若い世代の女性の糖質摂取は異常です。AYA世代の女性は(もちろん男性も)1日でも早く糖質制限を始めるべきです。完全な糖質制限ができなくても、少なくとも間食をやめ、いわゆる主食を減らすことだけでもせめてするべきだと思います。

「Differential effect of GLUT1 overexpression on survival and tumor immune microenvironment of human papilloma virus type 16-positive and -negative cervical cancer」

「ヒトパピローマウイルス16型陽性および陰性子宮頸がんの生存および腫瘍免疫微小環境に対するGLUT1過剰発現の偏差」(原文はここ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です