胆石も糖質過剰症候群である その2 胆嚢の運動低下

以前の記事「胆石も糖質過剰症候群である その1」では、胆石は脂質過剰摂取で起きるのではなく、糖質過剰摂取で起きると考えられることを書きました。胆石の重要な原因の一つに「胆嚢の運動低下」があります。

(上の図はこの論文より)192人の健康な成人非糖尿病ボランティアを対象にして、胆嚢の運動を胆嚢駆出率(EF)で評価し、EF25%未満を胆嚢の運動性異常としました。痩せた人では96人中16人がEF25%未満であり、空腹時血糖値が上昇していました。さらにインスリン抵抗性を表すHOMA指数でもEF25%未満では3.3、EF25%以上の人の2.2と比較して高くなっていました。つまり、胆嚢の運動低下はインスリン抵抗性と関連していると考えられます。肥満の人ではEFと血糖値やインスリン抵抗性は関連していませんでした。

別の研究では、高血糖と胆嚢の運動を調べています。(図は原文より)

上の図は6人の健康な若い男性を対象に、正常の血糖値(5mmol/L=90mg/dL)のときと、ブドウ糖を注入して高血糖状態(15mmol/L=270mg/dL)を作ったときの胆嚢の運動性を胆嚢の容積、胆汁排出で評価しています。□が高血糖、△が正常血糖です。MSFは偽の食事で、実際には口に入れて咀嚼しますが飲み込まずに吐き出します。FEEDINGは実際の食事をします。そうすると、MSFであっても、正常血糖では胆嚢の容積が減少しています。つまり、口に食事を入れて咀嚼している段階から胆汁が排出し始めているのです。しかし、高血糖ではMAFでの変化はありません。実際の食事では正常血糖では急激に胆汁排出が起きています。高血糖でも胆汁排出は起きていますが、正常血糖とはかなりの差です。

上の図はMSF(左)と食事(右)の参加者それぞれの胆汁排出で胆嚢がどれほど空になったかを示しています。MSFで高血糖時では9%だったのが、正常血糖では22%と有意に高血糖で減少していました。通常の食事では高血糖時では29%だったのが、正常血糖では60%、と有意に高血糖で半減していました。つまり、高血糖では胆嚢の運動性が大きく低下し、胆汁排出が滞っていることになります。

胆嚢の運動性はCCK(コレシストキニン)という消化管ホルモンの作用を受けます。CCKは胆嚢を収縮し、胆汁排出を促進し、食品中の脂肪分を乳化させて消化しやすくします。今回の研究では食事によるCCKの分泌は、正常血糖の場合(58pmol・60分)と比較して高血糖(29pmol・60分)で有意に減少しました。

血糖値が270という極端な高血糖ではなくても、他の研究では8mmol/L=144mg/dLという血糖値でも運動性に影響を与えることを示しています。血糖値は胆嚢の運動性に影響し、8mmol/L(144mg/dL)および15mmol/L(270mg/dL)の急性高血糖は用量依存的にCCKに対する胆嚢の反応性を低下させると結論付けています。(その論文はここ

胆嚢の運動低下はコレステロールの核形成と結晶化を促進し、胆嚢がその結晶を保持することも可能にします。つまり、糖質過剰摂取が胆嚢の運動を低下させ、胆汁を停滞させることにより、胆嚢の中に胆石ができやすい状態を作り出すのです。

胆石は糖質過剰症候群です。

「Hyperglycemia reduces gallbladder emptying and plasma hormone secretion to modified sham feeding and regular feeding」

「高血糖は、偽装食および通常食での胆嚢排出および血漿ホルモン分泌を減らす」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする