新型コロナウイルスとタバコ

新型コロナウイルスの肺炎により志村けんさんが亡くなり、タバコのリスクが様々なところで取り上げられているので、わかっていると思いますが喫煙の有害性について取り上げてみたいと思います。

志村けんさんは1日60本ものタバコを吸っていたようです。4年前に禁煙したようですが、壊れた肺を良くする薬も医療も存在しないので、肺はボロボロのままでしょう。さらに毎日朝方まで大量のお酒を飲んでいたようですので、免疫力も落ちていたかもしれません。さらに酒の席では志村さん自身がタバコを吸わなくても、受動喫煙があったかもしれません。

私も若い頃はタバコを吸っていたので、大きなことは言えませんが、タバコ今すぐにでも止めた方が良いでしょう。

中国の新型コロナウイルスの患者1,099人のデータでは、重症の人の中で現在の喫煙者は16.9%、以前の喫煙者は5.2%でした。(その論文ここ)一方重症ではなかった人の中で現在の喫煙者は11.8%、以前の喫煙者は1.3%でした。喫煙者の方が重症化するリスクが高い可能性があります。さらに集中治療室(ICU)への入院、人工呼吸器の使用、または死亡した人の中で現在の喫煙者は25.8%で、そのような状態にならなかった人の中で現在の喫煙者は11.8%でした。

新型コロナウイルスは、ACE2と呼ばれる肺細胞へのアクセスを得るために受容体を使用しています。ACE2受容体は喫煙者の呼吸細胞で増加しています。それが重篤な状況を引き起こす可能性がより高いメカニズムである可能性があります。しかも、ある研究では、アジア人の男性では白人やアフリカ系アメリカ人よりも明らかに多く(2.50%対0.47%)のACE2受容体が肺細胞にあるようです。(この論文より)(一部高血圧の薬がこのACE2受容体を増加させるので、有害であると言われてきましたが、それについてはまだ不明です。)喫煙率で男性の方が女性よりも多いだけでなく、男性の方がこの受容体が多いことにより、さらにリスクが高くなる可能性があります。

他の中国の新型コロナウイルスの肺炎の論文では、非常に数が少ないですが、肺炎の78人の患者を分析したところ、肺炎が重篤化する可能性は喫煙歴があると14倍以上高くなりました。(この論文より)

実験的にもニコチン、喫煙の免疫を低下させることが研究されています。(図は原文より)

上の図はBCGに対する免疫反応をTNF-α、IL-10で見ています。細かい説明は省きますが、マクロファージによるTNF-α、IL-10の産生は10%CSE(タバコの煙抽出物)やニコチンに暴露させると大きく低下しています。

インターフェロンγ(IFN-γ)、TNF-α、IL-10をそれぞれ56.4%、67.0%および77.7%減少させたのです。つまり、タバコにより肺は大きく免疫能を低下させていることになります。

タバコで肺の細胞が壊れ、さらに肺の免疫反応も低下しているのであれば、肺炎を起こすウイルスに勝つ可能性が非常に小さくなります。

タバコの有害性は明らかであり、喫煙者が知らないわけではありません。

喫煙はゆっくりゆっくり自殺しているようなものです。

「Cigarette smoke impairs cytokine responses and BCG containment in alveolar macrophages」

「タバコの煙は肺胞マクロファージのサイトカイン反応とBCG封じ込めを損なう」(原文はここ

(*注意:4月26日現在、タバコが新型コロナウイルスに有害であるという証拠はありません。リスクを高めている証拠も非常に限られています。ただ、病気は新型コロナウイルスだけではありません。タバコを吸うべきではないと思っています。)