インスリン抵抗性は様々な病気、症状と関連しています。インスリン抵抗性の指標の一つTyGインデックスを使って、関節炎との関連を見てみましょう。
今回の研究では、TyGインデックスおよびその派生した指標を用いて、関節炎のリスクの関連性を分析しています。関節炎は自己申告に基づいて広義に定義されており、変形性関節症と関節リウマチを区別していません。18,683人、平均年齢46歳が対象です。
それぞれの派生した指標の計算式は下のようです。今回の論文では、VAIやLAPといった指標も書かれていますが、割愛します。TyGインデックスの計算は、以前の記事「中性脂肪値と血糖値だけで様々な疾患のリスクを評価できる」で行ってください。
TyG-WC = TyG × 腹囲(cm)
TyG-WHtR = TyG × 腹囲(cm)/身長(cm)
TyG-BMI = TyG × BMI
HOME-IR = 空腹時インスリン(μU/ml)× 空腹時血糖値(mmol/L)/ 22.5
(図は原文より)
上の図は、それぞれの指標の関節炎予測(左)、インスリン抵抗性(右)に最適なカットオフ値とその可能性(オッズ比)を示しています。TyGインデックス8.45以上だと関節炎の可能性は1.77倍です。TyG-WC850.39以上で1.36倍、TyG-WHtR4.97以上で2.39倍、TyG-BMI255.24以上で1.87倍、HOMA-IR1.35以上で1.51倍でした。
どの指標を見ても、関節炎が代謝の障害の大きな影響を受けていることがわかります。もっと言えば、関節炎は代謝疾患なのです。
血糖値、中性脂肪値、腹囲で表される内臓脂肪、どれも糖質過剰摂取で増加します。つまり、関節炎も糖質過剰症候群です。
関節の痛みを感じたら、病院を受診する前に、手術を受けなければならなくなる前に、まずは糖質制限をしましょう。
「Association between insulin resistance-related lipid indices and arthritis: a U. S. cross-sectional study」
「インスリン抵抗性関連脂質指標と関節炎の関連性:米国横断研究」(原文はここ)