抗うつ薬のSSRIと銃乱射事件

アメリカで、また銃乱射事件が起きてしまいました。(記事はここより)

米国の学校で銃撃事件、児童2人死亡…ライフル銃と散弾銃と拳銃持った容疑者が数十発を発砲か

8/28(木) 1:42配信 読売新聞オンライン

銃撃事件が発生した米ミネソタ州ミネアポリス(27日)=ロイター

 【ロサンゼルス=後藤香代】米中西部ミネソタ州ミネアポリスにあるカトリック系の幼小中一貫校「アナンシエーション・カトリック・スクール」で27日朝、銃撃事件があり、児童2人が死亡、児童・生徒14人を含む17人が負傷した。容疑者は犯行後、銃で自殺した。

 捜査当局は、現場で自殺したロビン・ウェストマン容疑者(23)の関係先を捜索し、動機を調べている。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ウェストマン容疑者は同校の卒業生とみられる。

 地元警察の発表によると、死亡したのは8歳と10歳の児童。学校に併設された教会で礼拝していたところ、銃撃に巻き込まれ、席に座ったまま命を落とした。教会では当時、数十人の児童・生徒が礼拝に参加しており、ウェストマン容疑者は教会の外から窓越しに数十発を発砲した。ライフル銃と散弾銃、拳銃を所持していたという。

 米連邦捜査局(FBI)のカシュ・パテル長官は27日、「カトリック教徒を標的とした国内テロ及びヘイトクライム(憎悪犯罪)として捜査している」とX(旧ツイッター)に投稿した。トランプ大統領は同日、「無意味な暴力行為」と容疑者を非難し、死亡した児童に哀悼の意を表すため、全米の連邦政府機関の国旗を月末まで半旗とするよう命じる大統領布告を発表した。

この事件に対して、トランプ大統領やFBI長官がコメントを出すのはわかりますが、他に今回反応したのが、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官でした。

ミネアポリスでの銃撃者はトランスジェンダーだったのですが、大量銃撃者が服用していた薬に多くの類似点があると言われています。そして、トランスジェンダーのかなりの割合が同じ種類の薬を飲んでいます。その薬は抗うつ薬のSSRI(SNRIを含む)です。

FDAは2007年に、SSRIがあらゆる年齢で非常に危険な薬剤であることを認めています。(ここ参照)

欧州医薬品庁(EMA)から入手した64,381ページに及ぶ臨床試験報告書(70件の試験)を検証した結果、SSRIはプラセボと比較して、小児および青年期の攻撃性を高めることが初めて示され、2.79倍でした。

成人の健康なボランティアを対象としたプラセボ対照試験のシステマティックレビューにおいて、抗うつ薬は、FDAが自殺および暴力の前兆と定義する事象の発生を2倍に増加させることが示され、健康な成人1人に害を及ぼすために必要な治療数はわずか16でした。つまり、16人に1人がこのような害を及ぼす副作用を経験する可能性があるのです。

銃乱射事件の犯人がSSRIを服用していたことを考慮すると重要な知見です。

ある研究を見てみましょう。2006年1月1日から2013年12月31日までの間にスウェーデンでSSRIを処方された15歳から60歳までの全ての人777,304人で、殺人、過失致死、違法な脅迫、嫌がらせ、強盗、放火、暴行、公務員への暴行、誘拐、ストーカー行為、強要、性犯罪を含む暴力犯罪の有罪判決を受けた関連性を分析しています。

下の表は年齢別に見た、SSRI治療と暴力犯罪との個人間および個人内の関連性です。(表は原文より改変)

年齢
個人間ハザード比(95% CI)個人内ハザード比(95% CI)
全体1.10 (1.06, 1.13)1.26 (1.19, 1.34)
15~24歳1.19 (1.13, 1.26)1.28 (1.17, 1.41)
25~34歳1.16 (1.10, 1.24)1.35 (1.19, 1.54)
35~44歳1.02 (0.96, 1.09)1.15 (0.99, 1.33)
45~60歳1.04 (0.97, 1.12)1.25 (1.08, 1.45)

SSRIを服用している人は、薬を服用していないときと比べて暴力犯罪を犯すリスクが1.26倍になりました。SSRIを飲んでいない人と比べると1.10倍でした。暴力犯罪を犯すリスクは特に若年成人(15〜34歳)で高く、15〜24歳では28%増加し、25〜34歳では35%増加しました。45~60歳でも25%増加しました。

下の表は、治療開始後お​​よび中止後の期間にわたる暴力犯罪の個人内リスクです。

治療前治療開始から治療中止から
0~28日29~84日84日以上0~28日29~84日84日以上
全体イベント数13,22984714833976922140010,346
HR(95%CI)1.001.28 (1.13, 1.45)1.35 (1.22, 1.49)1.24 (1.14, 1.35)1.37 (1.21, 1.55)1.20 (1.08, 1.33)0.94 (0.88, 1.01)
15~24歳イベント数682533053811043154702970
HR(95%CI)1.001.25 (1.02, 1.53)1.37 (1.16, 1.62)1.13 (0.98, 1.30)1.42 (1.16, 1.74)1.01 (0.85, 1.19)0.86 (0.76, 0.96)
25~34イベント数27152013689782043632973
HR(95%CI)1.001.35 (1.02, 1.80)1.55 (1.23, 1.95)1.47 (1.21, 1.79)1.37 (1.02, 1.82)1.42 (1.13, 1.79)1.03 (0.87, 1.22)
35~44イベント数21471643079602093122286
HR(95%CI)1.001.02 (0.74, 1.40)1.18 (0.91, 1.53)1.11 (0.89, 1.39)1.26 (0.92, 1.72)1.03 (0.80, 1.32)0.90 (0.74, 1.09)
45~60歳イベント数15421522709341942552117
HR(95%CI)1.001.29 (0.91, 1.82)1.08 (0.82, 1.43)1.26 (1.00, 1.58)1.15 (0.82, 1.55)1.15 (0.87, 1.53)0.87 (0.71, 1.08)

治療開始後84日以上たっても有意に犯罪リスクは高く、1.24倍でした。重要なのは、服用を中止した後も危険が続いたことです。服用を中止してから最初の28日は暴力犯罪のリスクが 37%上昇し、その後 84日まで経っても20%も上昇していたのです。このこともやはり、若年成人(15〜34歳)の方が高くなっていました。

もう一つ見てみましょう。同じスウェーデンの研究ですが、上の研究よりも少し前に行われ、暴力犯罪だけでなく、他の結果を分析しています。

SSRI治療により暴力犯罪逮捕1.13倍、非暴力犯罪有罪判決1.10倍、および非暴力犯罪逮捕1.05倍のリスクが上昇することが示されました。さらに、事故による非致死的傷害のリスクも1.20倍上昇し、15~24歳ではアルコール中毒または乱用による緊急入院または外来治療のリスクが1.98倍高く、25~34歳では1.33倍、35~44歳では1.08倍でした。

自殺も増加する可能性があります。ある研究(ここ参照)では、SSRIを初めて12週間以内の自殺行動リスクを分析しました。自殺行動リスクの上昇は、全体では1.50倍で、6~17歳では2.90倍、18~24歳では1.59倍でした。

他の研究(ここ参照)でも、SSRI投与開始後の自殺の可能性は、女性で2.7倍、男性で4.3倍で、最も可能性の高いのはSSRI投与開始後8~11日で、女性と男性を合わせて9.7倍でした。

デュロキセチン(商品名:サインバルタ)の健康なボランティアを使った研究で、イーライリリー社が公表していなかった自殺者が複数います。(ここ参照)企業はこのような不利な情報をできる限り隠したいのでしょう。

暴力行為は他人に向かうだけでなく、自殺の際に自分にも向く可能性があります。ある研究(ここ参照)では、暴力的自殺(首つり、銃器、高所からの飛び降り、交通事故、感電、焼身自殺など)の可能性は、28日以内のSSRI投与により3.6倍になりました。

日本でも、様々な犯罪が起きています。自動車事故も起きています。若者の自殺もいっぱいあります。そのような悲惨な事故、事件の背景にある薬剤をしっかりと分析し、公表し、警笛を鳴らすべきでしょう。

身近な薬、スタチンでさえ、暴力や自殺と関連している(「スタチンによる人格や気分の変化 あなたがあなたでなくなってしまうかもしれない」参照)のですから、自分が被害者、加害者にならないためにも、情報が必要でしょう。安易な薬の使用に注意が必要です。

「Associations between selective serotonin reuptake inhibitors and violent crime in adolescents, young, and older adults – a Swedish register-based study」

「選択的セロトニン再取り込み阻害薬と青少年、若者、高齢者の暴力犯罪との関連性 – スウェーデンの登録に基づく研究」(原文はここ

「Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Violent Crime: A Cohort Study」

「選択的セロトニン再取り込み阻害薬と暴力犯罪:コホート研究」(原文はここ

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