脳のインスリン抵抗性は体重減少が起きにくいかもしれない

以前の記事「肥満の人の脳のインスリン抵抗性」で書いたように、肥満では脳のインスリン抵抗性が起きていると考えられます。

減量しようとしても、痩せるかどうか?脳のインスリン抵抗性にかかっているかもしれません。

脳のインスリン抵抗性は非侵襲的脳機能検査である脳磁図(magnetoencephalography)で測定されました。食事の介入は残念ながら糖質制限ではなく、身体活動の増加と低脂肪/高繊維食を組み合わせたプログラムで、9か月の集中的な段階から始まり、24か月続きました。(図は原文より)

上の図は、a:体重の変化、b:内臓脂肪組織(VAT)の変化、c:皮下脂肪組織(SCAT)の変化です。●が脳のインスリン抵抗性の高い人、グレーの〇が脳のインスリン感受性の高い人です。脳のインスリン感受性が高い人は、体重と両方の脂肪組織の大幅な削減を達成しました。その後9年間の追跡でも体重は増加していませんでした。脂肪組織は徐々にベースライン付近まで戻ってきていました。

対照的に、脳のインスリン抵抗性のある人は、プログラムの最初の9か月でわずかな体重減少を示し、その後の数か月間のライフスタイル介入の間に、体重と両方の脂肪組織をすでに回復し、その後も脂肪組織は増加し続けました。

上の図は視床下部インスリン感受性と体脂肪分布を示しています。グラフの横軸は鼻腔内インスリン投与に反応した視床下部の脳血流の領域固有の変化です。縦軸はbは内臓脂肪組織、cは皮下脂肪組織、dは内臓脂肪組織と皮下脂肪組織の比率です。視床下部のインスリン感受性が高い人では、内臓脂肪が少ないことが確認されました。皮下脂肪とインスリン感受性との関連は認めませんでした。内臓脂肪組織と皮下脂肪組織の比率は、視床下部のインスリン感受性と関連していて、インスリン感受性が高い方が内臓脂肪の比率が少ないことを示しています。

つまり、脳のインスリン感受性の違いは、どこに脂肪を分布させるかを決めている可能性があります。もちろんただの関連かもしれませんが、視床下部は末梢のエネルギー代謝の調節に重要だと考えられており、摂食行動の中枢です。

やはり、脳のインスリン抵抗性を改善するにはインスリンの過剰な分泌を抑えること、糖質制限でしょう。

糖質過剰症候群

「Brain insulin sensitivity is linked to adiposity and body fat distribution」

「脳のインスリン感受性は肥満と体脂肪分布に関連している」(原文はここ