空腹時血糖のわずかな違い  糖尿病への軌跡

春の健康診断の結果が出てくる頃でしょうか?みなさんの空腹時血糖値はいかがでしたでしょうか?

糖尿病にいたる前の空腹時の血糖値の軌跡は、実は非常にわずかな違いであり、しかしこれが大きな違いになってくると考えられます。下の図は糖尿病になった方とそうでない方の空腹時血糖値の軌跡を13年間にわたって調べたものです。

 

 

(クリックで拡大、図は Trajectories of Glycemia, Insulin Sensitivity and Insulin Secretion

Preceding the Diagnosis of Type 2 Diabetes: The Whitehall II Study

Lancet. 2009 June 27; 373(9682): 2215–2221.より)

糖尿病ではない方の空腹時血糖は5.26±0.008 mmol/L は日本の単位で言えば(18倍すると日本の単位になります)94.536~94.824mg/dLで、13年後には5.31±0.010 mmol/Lなので日本の単位で95.40~95.76mg/dLです。

13年たってもほとんど変動がありません。たった0.9mg/dLの上昇です。ほとんど誤差範囲です。

一方糖尿病になった方の13年前の空腹時血糖値は5.47±0.04 mmol/L 日本の単位で97.74~99.18 mg/dLから徐々に増加して糖尿病の2年ほど前に5.79±0.04 mmol/L 日本の単位で103.50~104.94 mg/dLまで行くと急にぐっと空腹時血糖が高くなり始めます。そして糖尿病の診断が下るわけです。

しかし、11年間で増加した血糖値はたった5.76mg/dLです。1年にしたら0.5程度の上昇です。そして、血糖値が急に上がり始めたらものすごい勢いです。

こうしてみると、この10年間以上のじわじわとした血糖値の上昇は、実は少しずつすい臓のβ細胞が壊れているサインなのかもしれません。少しならいいやと思っていると、その数年後には糖尿病になってしまうかもしれません。

もちろんこれは海外のデータで、日本人のようにインスリン分泌の能力が最初から弱い民族とは違います。逆に言えば、日本人はもっと短い期間で血糖値が上昇していき、糖尿病にいたると思います。

空腹時血糖値が100mg/dLに近づいてくるようだったら、もう黄色信号が赤信号に変わる直前かもしれません。

さて、あなたの空腹時血糖はいくつでしたか?

もちろん、早めに糖質制限を始めれば、戻ります。

2 thoughts on “空腹時血糖のわずかな違い  糖尿病への軌跡

  1. 清水先生こんばんは。苫小牧在住の加藤です。
    苫小牧での講演会とてもわかりやすく参考になりました。
    糖質制限6年目ですがLDLコレステロールが200以上あります。2年前に江部先生に診察していただきましたが多少の不安はありました。というのもこちらの病院では診察のたびにこの数値ではいつ倒れてもおかしくないと言われるのです。
    苫小牧には糖質制限に理解のある先生はいらっしゃらないので来年先生に診察していただきたいと思っています。
    7年前に糖尿病予備軍と診断されました。糖質制限のお陰で他の数値は安定してますが空腹時血糖値は少し高くなってきてここ2年は112~113です。
    これも少し気になっています。

    1. 加藤さん、コメントありがとうございます。
      LDLコレステロールはあてにならない数値です。江部先生にも見ていただいたのなら
      その時点では問題はなかったのだと思います。
      空腹時血糖が少しずつ上がっているのは気になりまね。
      このコメント欄は誰でも見ることができるので、もしよろしければお問合せのページを
      利用していただくと個人的な情報がわからず、良いと思います。
      お問合せページで他の数値をお知らせいただけると何かアドバイスができるかもしれません。

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