塩分を制限することによる血圧の低下は、たった1!

塩分控えめが、健康に良いという方がいますし、食品業界も塩分控えめ商品をたくさん出しています。しかし、本当に塩分は控えめの方が良いのでしょうか?

様々な臨床試験をくまなく収集し、評価し、分析を行っているコクランによれば、正常の血圧の人が、塩分制限で得られる収縮期血圧の低下はたった1mmHgだけなのです。拡張期では0です。我々アジア人は塩分に反応しやすいと言われていますが、またこれも「ウソ」で収縮期の血圧低下は0.72mmHgで、拡張期の血圧低下は1.63mmHgだけなのです。

高血圧のある人ではどうでしょうか?

アジア人では収縮期の血圧低下は7.75mmHgで、拡張期の血圧低下は2.68mmHgです。多少のメリットはあるようですが、大したことはありません。

日本の現在の摂取量の目標値は、成人男性で 9 g/日未満、成人女性で 7.5 g/日未満と設定されています。

食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×2.54 なので

ナトリウム量で考えると、成人男性で3.54g/日未満、成人女性で2.95g/日未満となります。

しかし、最近の研究ではナトリウムの摂取量と心血管疾患や死亡率の間の関連はU字のカーブを描いています。最適な摂取量はナトリウム量で言えば3~5g/日、食塩で言えば7.62~12.7g/日です。つまり、多すぎても健康に良くないのは確かですが、少なすぎるのも実際には不健康なのです。

それは、我々生物の進化は最初は海の中から始まったことを考えると当然なのかもしれません。海の塩分は非常に高く、そこから進化して、陸に上がり、人類も誕生しました。ナトリウムは生物に必須のものなのです。

我々の血中のナトリウム量は非常に狭い範囲で調整されています。多ければ尿と一緒に捨てれば良いのです。しかし、少ない場合は必死にナトリウムを保持するように頑張らなければなりません。ナトリウムが少なくなると、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が働きます。このレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は体の恒常性、特に血液量を守るために緊急事態で働くホルモンです。しかし、ナトリウム摂取量が減ると、このメカニズムが働いてしまいます。

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は様々な心血管疾患に関わっているものなので、ナトリウムの摂取量が少なくなると、健康に害を及ぼすことは容易に想像できます。

下のグラフ(図はこの文献より)はナトリウム摂取量と心血管イベントのリスクの関連です。ナトリウム摂取量が3~4g/dを下回り、6~7g/dを上回ると、リスクが上昇だけでなく、より高い摂取量ではなく低い摂取量の方がリスクが数値的に高くなることに注目してください。

日本人の摂取量の中央値は、平成22~23年中央値で、男性 10.5~11.8g、女性 8.8~10.0gなので全く問題ない量です。敢えて、塩分制限をしなければならない根拠は全くありません。塩分を制限することが健康的ではありません。

高血圧は糖質過剰摂取が犯人だと考えています。糖質制限をすると高血圧が改善する人がかなりの割合でいます。また、カリウムの摂取不足も高血圧を招きますので、十分なカリウム摂取が必要です。(「塩分制限をしても血圧は下がらないかもしれない」参照)

ナトリウム/カリウム比は1以下を目指しましょう。高血圧のない方は塩分制限はやめましょう。

「Effects of low sodium diet versus high sodium diet on blood pressure, renin, aldosterone, catecholamines, cholesterol, and triglyceride」

「血圧、レニン、アルドステロン、カテコールアミン、コレステロール、およびトリグリセリドに対する低ナトリウム食対高ナトリウム食の影響」(原文はここ

要約
背景
塩分摂取の減少は血圧を低下させるので、我々は一般的に塩分を減らすことを勧められている。しかし、正常血圧を有する人々における塩分摂取の減少が血圧に及ぼす影響は疑問視されている。さらに、いくつかの研究は、塩分を節約するホルモン系(レニンおよびアルドステロン)、ストレスホルモン(アドレナリンおよびノルアドレナリン)を活性化し、血液中の脂肪物質(コレステロールおよびトリグリセリド)を増加させることを示している。

研究特性
効果尺度のうちの少なくとも1つを評価した4日から1100日間持続する12,210人の介入研究が188件含まれていた。参加者は健康であったか、または血圧が上昇していた。縦断研究は、塩分摂取量が血圧に及ぼす影響は7日後には安定していることを示しており、人口調査では1日当たり14.5g以上の塩分を食べる人はほとんどいないことが示されてる。したがって、少なくとも7日間の期間および最大14.5gの塩分摂取量を有する125の研究のサブグループサブ分析を行った。

主な結果
平均塩分摂取量は1日当たり11.5gから1日当たり3.8gに減少した。正常血圧の人における収縮期血圧/拡張期血圧の低下は、約1 / 0mmHgであり、高血圧の人(白人)では、約5.5 / 2.9mmHgであった。対照的に、ホルモンと脂質への影響は、正常血圧と高血圧の人では同様だった。レニンは1.60ng/mL/時間(55%)増加した。アルドステロンは97.81pg/mL(127%)増加した。アドレナリンは7.55pg/mL(14%)増加した。ノルアドレナリンは63.56pg/mL(27%)増加した。コレステロールは5.59mg/dL(2.9%)増加した。トリグリセリドは7.04mg/dL(6.3%)増加した。

ほとんど全ての個々の研究では、正常血圧の人の血圧に対するナトリウム減少の有意な効果を示さなかったが、多数の研究は高血圧の人々における血圧に対するナトリウム減少の有意な効果を示した。いくつかの研究は、黒人およびアジア人におけるナトリウム摂取量の影響がより大きかったことを示した。

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