皮膚にシールを貼るだけで血糖値測定ができる?

フリースタイルリブレという24時間ずっと持続的に血糖値(グルコース値)を測定できる非常に興味深い機器が発売されて、私も時々使っています。(「フリースタイルリブレを使った人体実験 その19 恐怖のファストフード 機能性低血糖発生!」などを参照)

フリースタイルリブレとリブレProというものがあり、個人で使用するのはリブレの方です。しかし、センサーによって高く出たり低く出たりします。(「フリースタイルリブレ2回目の人体実験終了」を参照)

江部先生のブログによると、リブレProはそれほど簡易型の血糖値測定器との誤差はないそうです。

どうして、このような差が出るのでしょうか?グルコース値を測定するメカニズムは同じはずです。そうすると意図的にアルゴリズムを変えて、誤差を大きくするようにしていると思われます。それは、使用する人、環境の問題があるのかもしれません。つまり、リブレは基本的に個人用で自分で測定するものです。リブレProは医療現場で何人もの患者さんのデータをまとめて読み取るため、基本的にセンサーを付けている間、医師または医療機関で読み取ってもらわないと数値はわかりません。つまり、医療側が数値を参考に治療を行うためのものだと考えられます。

しかし、リブレは自分で好きな時に測定し、結果を知ることができます。そうすると多少大げさな変動をした方が患者さんにとっては警告となり、自分で簡易型血糖測定器で測定することを促すことになります。つまり、初めから自分で血糖値を測定することを前提として、血糖値の変動を把握するためのものだと考えられます。もし、実際の血糖値の上りより大きくリブレの値が上がれば、そこで指を穿刺して血糖測定をする、そして大まかな自分の血糖値変動を知る、それが目的の機器のような気がします。逆に低血糖の場合も大きく低血糖を示せば、危ないと思って血糖値を測定することになります。実際よりも低い血糖値をリブレが示せば、本当に危険な低血糖の前に気づくことができます。

私の場合は特にマラソン時の血糖値変動は非常に興味があり、トレンドが出るのは本当に参考になります。また、寝ているときの自分の血糖値変動がわかるなんてこれまでではありえなかったことです。

今後も機会があればまた測定したいと思います。

そして、リブレよりももっと技術は進歩しています。シール型(パッチ型)の持続測定器ができるかもしれません。しかも、非侵襲的なので、刺す行為がいらず、ペタッと貼るだけです。すごい時代が来るかもしれません。

個人的には早く、時計型の測定器を出してほしいです。現在マラソン用の腕時計は心拍数やGPS測定はできます。そこに血糖値測定がつけば、本当に楽に血糖値がわかります。AppleさんGoogleさん頑張ってください。

 

「Skin-like biosensor system via electrochemical channels for noninvasive blood glucose monitoring」

「非侵襲的血糖モニタリングのための電気化学的チャネルによる皮膚様バイオセンサーシステム」(原文はここ

要約

現在のところ、非侵襲的なグルコースモニタリングは、その測定精度が不確実であり、血糖相関が弱く、睡眠中の高血糖/低血糖を検出できないために広く認められていない。我々は、非侵襲的で、その場で、かつ非常に正確な血管内血糖値モニタリングのための皮膚様バイオセンサシステムを設計し製造する戦略を提示する。このシステムは、超薄型の皮膚様バイオセンサーと、紙のバッテリー駆動の電気化学的ツインチャンネル(ETC)を統合している。設計された皮下ETCは、血管から血管内の血糖を引き出し、皮膚表面に輸送する。極めて薄い(約3μm)ナノ構造のバイオセンサーは、その感度が非常に高く(130.4μA/ mM)、その完全な適合性のためにグルコースを完全に吸収し、測定する。インビボでのヒト臨床試験を実施した。血管内血糖の非侵襲的測定結果は、臨床的に測定された血糖値と高い相関(> 0.9)を示した。このシステムは、臨床グレードの非侵襲的な連続的なグルコースモニタリングのための新しい見通しを開く。

 

(下の図は原文より)下の写真を見ると本当に薄いシールのようなものだということがわかります。そして、右の図は指を穿刺して得られる実際の血糖値との相関を表していますが、非常に良い値を示しているように見えます。

私には耐久性(マラソンに耐えられるか)と、どの程度の期間測定し続けられるのかが気になります。このようなシール状なので剥がれやすくないのかな?と思ったりしますが、リブレは本当に剥がれませんから、大丈夫かもしれません。

 

5 thoughts on “皮膚にシールを貼るだけで血糖値測定ができる?

  1. こんにちは。いつも江部先生のブログと合わせて拝見しています。とても勉強になります。

    先日某テレビ局のランニング番組で「ガチユル走」について特集していました。糖がないと脂肪が燃焼しないとのことでした。どう思われますか。

    来月、人生初のフルマラソン、しかも東京マラソンに挑戦します。糖質制限は昨年2月にスーパー糖質制限をはじめ、今はゆるい糖質制限(一日に80~100で抑えるように)をして健康づくりに努めています。ランニングは週に3~4回、月間100キロを目指しています。今回の東京では清水先生の教えに従ってスポーツドリンクをエイドで取らずに、水とMTCゼリーを中心に頑張ろうかと思っていますが、あとひと月半、気を付けたらいいことなどをご伝授いただけるとありがたいです。

    1. まるさん、コメントありがとうございます。
      糖がないと脂肪が燃焼しないとよく言われていますが、糖がなくなることはありません。
      なければ人間は死んでしまいます。必要な分だけ糖新生で作り出すので、心配ありません。

      東京マラソンはまだ一度も当たったことがありません。うらやましいです。
      初のフルマラソン、楽しみですね。月間100kmということは、目標は完走でしょうか?
      心拍数を測定できるなら、最大の心拍数の80~85%までの心拍数で走れば、途中で低血糖になる可能性は低いです。
      しかし、頑張り過ぎて心拍数がかなり高くなるとしたら、エネルギーとして糖質が使用される割合が高くなるので、
      その時はジェル系の糖質のエネルギーを摂った方が良いです。走りながらであれば、インスリンはほとんど分泌されませんから。
      心拍数を測れないとしても、お守り代わりにエネルギージェルを持って行っても良いと思います。
      脳の罠で、あなたの脳が後半走るのをやめさせようとしてきます。そのとき脳をだますのに糖質は役に立ちます。
      糖質制限をしていても、レース中は糖質を摂ることは問題ありませんし、私も摂っています。
      (レース前の糖質摂取はダメですが)

      真冬のマラソンなのであまり汗をかかないと思いますが、水分摂取は喉が渇いてからで十分です。
      直前にできることは限られていますので、普段通りで良いと思います。特に特別なことをやろうとすると
      良くないことの方が多いです。履きなれたシューズ、着慣れた服装が一番です。
      食事では普段からマグネシウムは多めの方が良いでしょう。足が痙攣しにくくなると思います。

      参考になりましたでしょうか?

      幸運をお祈りします。

  2. 清水先生、早速ありがとうございました。最近スントを購入し、やっと使い方にもなれました。心拍は大体150前後です。最大心拍の80〜85パーセント、気にしてみますね。

    コンビニや薬局で売っているエネルギー系のゼリー、どうも口に合わなかったのですが、以前のブログに載っていたMCTのゼリーをネットで購入し、先日ハーフを走った時に食べました。美味しい!少しお高いので普段の練習には使いませんが、東京に持っていこうと思います。
    シューズは先月初めにビモローを新調しました。とても快適です。しっかり慣らして東京に挑みたいと思います。
    ちなみにハーフの記録は2時間24分でした。完走を目指していますが、できれば5時間台でと思っています。

    このまま糖質制限で過ごして行きたいです。

    ちなみに最近ようやく江部粉でのチョコクロワッサンに成功しました。コンビニのブランパンとは比べ物にならないほどおいしく出来上がりました。

    アラフィフ女がどこまでやれるかわかりませんが、10年後もランニングできる体を目指して頑張ります!

    1. まるさん、ビモロはこの目で見たことはないのでどうな感じなのか?非常に興味あります。
      5時間台完走できると良いですね。

  3. 清水先生
    こればかりは個人的な感想なので参考になるかどうかわかりませんが、まずその軽さに驚いたことと、靴底が薄いことが快適にさえ感じる心地よさ、買ってよかったなとつくづく思います。強いて言えばもう少しデザインが豊富であれば(笑)
    ご存知のとおり、靴底に土踏まずがなく、フラットです。それが合う人もいれば違和感を感じる方もいらっしゃるみたいですね。初動負荷理論を考えると靴のあのような構造は納得できます。
    ちなみにこの冬、長男はビモローのスパイクを購入しました。寮に入っていてまだ感想を聞けていませんが、連絡あれば聞いてみたいと思います。
    5時間台を目指して、ハイブリッドな体でかんばります!

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