以前の記事「ほんのわずかな空腹時血糖の増加でさえ、脳はアルツハイマー様のパターンの反応になる」でも書きましたが、血糖値の上昇やインスリン抵抗性によって脳のグルコースの利用が低下しています。しかも、これは高齢者だけの話ではなく、なんと20代の若い人にも起こっているのです。
インスリン抵抗性との関連が濃厚なPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の20代の女性は正常体重であっても、脳のグルコースの代謝率が低下しているという研究があります。
今回の研究の対象者は人数は少ないですが、20代の女性です。(図は原文より)
上の図の部分がグルコースの代謝が低下している部分であり、高齢者、アルツハイマー病に認められるパターンと似ているのです。
もちろんこの時点では認知機能は正常ですが、PASATという記憶の検査では、PCOS群の2人が臨床的に非常に悪い成績であり、他にも3人が成績の低下を示していました。
私は40代からアルツハイマー型認知症が始まっていると以前は思っていましたが、実は20代から始まっているのかもしれません。20歳を超えたらそれまでに摂取していた糖質を半分に、30代では3分の1に、40代では4分の1に、それ以降はそれよりもできる限り少なくを目標にすれば良いのではないでしょうか。
とりあえず未だに糖質過剰摂取の人は、まずは「糖質を半分に!」
「Regional Brain Glucose Hypometabolism in Young Women with Polycystic Ovary Syndrome: Possible Link to Mild Insulin Resistance」
「多嚢胞性卵巣症候群を有する若年女性の局所的な脳のブドウ糖代謝低下:軽度のインスリン抵抗性とのリンクの可能性」(原文はここ)
要約
目的
軽度のインスリン抵抗性を示す多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の正常体重の若年女性において、グルコースの代謝率が変化するかどうかを調べる。
対象
PCOSを有する7人の女性を、同様の年齢、教育および体格指数の11人の健康な女性対照と比較した。
結果
PCOS群は対照と比較して、10%高い空腹時グルコース、40%高いHOMA2-IR(インスリン抵抗性の指標)を示した。PCOS群は前頭葉、頭頂葉及び側頭葉の特定の領域で、9-14%低いグルコースの代謝率を有していた。グルコースの代謝率とHOMA2-IRとの間には、海馬および扁桃体と同様に、主に前頭葉、頭頂葉および側頭葉において有意な負の関係が見出された。全般的に、認知能力は両群で正常であったが、作業記憶のPASAT試験のスコアはPCOS群では低い傾向であった。
結論
PCOS群は、いくつかの脳領域においてHOMA2-IRと逆相関して局所的な低グルコース代謝のパターンを示し、それは老化および初期のアルツハイマー病に見られるパターンに似ていた。これらの結果は、軽度のインスリン抵抗性と、過体重または肥満とは無関係の脳のグルコース代謝低下との間の直接的な関連が、20代の若者に存在し得ることを示唆している。若年者および中年の成人における脳グルコース代謝および認知に対するインスリン抵抗性の影響のさらなる調査の根拠となり得る。