日本人の大規模なデータを使って、HDLコレステロール値と心血管疾患の関連を分析した研究が最近発表されましたが、その内容は表面的に見るとHDLコレステロール値は高ければ良いとは言えないだけでなく、高すぎるHDLコレステロール値は心血管疾患のリスクを増加させるというものでした。(残念ながらまだ全文は読めていません。)
40~89歳、4万3,407人の日本人において大規模なプール解析を行い、参加者をHDLコレステロール値により5群に分け、2.33mmol/L以上(90mg/dL以上)をextremely high(極めて高い値)としました。
extremely highのHDLコレステロール値は、アテローム性心血管疾患による死亡リスクは、1.04~1.55mmol/L(40~59mg/dL)の群と比較して、2.37倍の増加を示し、冠動脈疾患および脳梗塞リスクの増加と有意に関連していました。
ただし、extremely highのHDLコレステロール値のリスクは現在の飲酒者で顕著であったということです。
「Association of extremely high levels of high-density lipoprotein cholesterol with cardiovascular mortality in a pooled analysis of 9 cohort studies including 43,407 individuals: The EPOCH–JAPAN study」
「43,407人を含む9つのコホート研究のプールされた分析におけるHDLコレステロールと心血管死亡率との極めて高い関連性:EPOCH-JAPAN研究」(原文はここ)
極めて高いextremely highのHDLコレステロール値を90mg/Lとしていますが、私のHDLコレステロール値は94なので、もちろんこのレベルに属しています。最近のデータは「2018年3月の検査データ」参照してください。
HDLコレステロール値は様々な食事の内容で増減します。「HDLコレステロールを上げる食事、下げる食事」で書いたように、最もHDLコレステロール値を増加させるのはアルコールです。60g以上のアルコール/日が最も効果(?)があります。500mlのビール3本分が大体60gです。アルコールの適量を20gと考えるとその3倍なので、明らかに飲み過ぎです。
つまり、HDLコレステロールは高ければ良いってもんじゃないというのはその通りかもしれません。アルコールを毎日ガンガン飲んでいれば心血管系疾患のリスクが上がるのもわかる気がします。
HDLコレステロールを最も低下させるのは糖質です。この研究は糖質過剰摂取をしている日本人の集団のデータを使っているので、糖質過剰摂取しながら、しかもHDLコレステロール値が高くなるというのは、健康的に増加しているとは思えません。
LDLコレステロールにも種類があり、すべてが「悪玉」ではないのと同じうように、実際にはHDLにもいくつも種類があって、全てがいわゆる善玉ではありません。
HDLも質を考えなければなりません。HDLの質については次の記事で書こうと思います。