糖質制限で筋肉は減らない その2 アスリートの場合

何度か糖質制限と筋肉量についてコメントをいただきましたが、いまだに糖質制限をすると筋肉が減少するという考えがあるようです。根拠は恐らくは糖新生が活発になり、その糖新生の材料として、筋肉が分解されて、そのアミノ酸が使われるということでしょう。実際のところどうでしょうか?

今回の研究では、エリートの体操選手によって、低炭水化物ケトジェニック食(very low carbohydrate ketogenic diets (VLCKD))を30日間食べてもらい、通常の西洋食と比較して筋肉とパフォーマンスがどうなるかを分析しています。(表は原文より改変)

低炭水化物ケトン食通常食
炭水化物 g22 266.1 
タンパク質 g200.8 83.5 
脂質 g120.2 97.3 
炭水化物 Kcal 88.11064.9
タンパク質 Kcal 803.8334.2
脂質 Kcal 1081876.3
炭水化物 % Kcal 4.5 46.8 
タンパク質 % Kcal 40.7 14.7 
脂質 % Kcal 54.8 38.5 
総エネルギーKcal 1972.8  2275.5

上の表はそれぞれの食事の3大栄養素の1日の量です。低炭水化物ケトン食では糖質(炭水化物)は22gです。1日のエネルギー摂取量のたった4.5%でしかありません。

ケトン前ケトン後通常食前通常食後
performance results
SJ0.42 ± 0.040.42 ± 0.050.41 ± 0.040.40 ± 0.04
CMJ0.45 ± 0.040.43 ± 0.050.43 ± 0.060.43 ± 0.05
reverse grip chins17 ± 4.216.6 ± 4.615.2 ± 3.415.2 ± 5.8
push-ups36 ± 6.338.8 ± 4.737 ± 11.843.5 ± 18.1
legs closed barrier19.2 ± 4.9621.7 ± 6.3517.2 ± 5.016 ± 4.77
parallel bar dips25.8 ± 8.3528.2 ± 9.3123 ± 12.1927 ± 10.61
身体測定および体組成の結果
筋肉 Kg37.6 ± 3.937.9 ± 4.538.4 ± 4.138.6 ± 4.5
脂肪 Kg5.3 ± 1.33.4 ± 0.85.1 ± 1.34.9 ± 1.1
脂肪 %7.6 ± 1.45.0 ± 0.98.0 ± 1.37.7 ± 1.2
除脂肪体重 Kg64.2 ± 6.563.1 ± 7.161.5 ± 4.361.8 ± 4.6
除脂肪体重  %92.4 ± 1.495.0 ± 1.092.0 ± 1.392.3 ± 1.2
体重69.6 ± 7.368.0 ± 7.570.1 ± 6.270.0 ± 6.3

上の表はパフォーマンスと体組成の結果です。表の上の方がパフォーマンスですが、細かい内容は省略して、食事による違いはありませんでした。つまり、糖質制限をしてもエリートのアスリートであってもパフォーマンスに影響しません。

体組成ですが、筋肉量は変化なく、それでいて体重や体脂肪量が減少しているので、体重に対する除脂肪体重(筋肉量)の割合は、通常食よりも増加しています。

この研究からも分かるように、糖質制限をしているときに、わざわざ自分の筋肉を壊してまで糖新生が起きているわけではありません。糖新生の材料はグリセロールが使われますし、十分にタンパク質を摂取しているので、アミノ酸を材料にするとしても十分にアミノ酸は存在します。

以前の記事「糖質制限で筋肉は減らない その1 糖質制限、高タンパク高脂質食の糖新生」で書いたように、確かに糖新生は増加し、エネルギー消費量は増加しますが、タンパク質はプラスバランスなので、しっかりタンパク質を摂っているのであれば筋肉が減少することはあり得ません。

アスリートでもこのように筋肉が減らず、パフォーマンスも変化しないので、アスリートではない方は筋肉減少を気にする必要はないでしょう。

「Ketogenic diet does not affect strength performance in elite artistic gymnasts」

「ケトジェニックダイエットは、エリートの体操選手の筋力パフォーマンスに影響しません」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ターヤン より:

    あー、これでスッキリしてよく眠れそうです笑。
    本当にいつも有益な情報ありがとうございます‼️