第33回サロマ湖100kmウルトラマラソン分析その2&フリースタイルリブレを使った人体実験その25 ウルトラマラソンと血糖値とケトン体

前回の記事「第33回サロマ湖100kmウルトラマラソン分析 その1 エネルギーについて」でエネルギーの分析をしました。そして、今回もフリースタイルリブレを付けて走ったので、走る前後と走っている間のグルコース値(血糖値)の変動やケトン体値を見てみましょう。

摂取エネルギーは

レース中全部でタンパク質16.9g、脂質45.83g、炭水化物170.05g、1081.3kcal。

レース前とレース中を合わせて タンパク質67.58g、脂質75.63g、炭水化物170.91g、1564.3kcal でした。

消費エネルギーは6738kcalでした。

この日1日のグルコース値の変動などを示します。今回走るのに必死で、ジェルの使ったポイントがかなり曖昧なので記入していません。

起床し朝食後からグルコース値は上昇していますが、前回書いたように恐らくは緊張や興奮でしょう。スタート直前で123、直後で121でした。スタートするとなぜか速やかにグルコース値は低下し、30分後くらいに一旦97まで下がります。これが今回のレース中の最低値です。

その後は100~130台をうろうろするのですが、赤い点線の矢印①が示すように、一度急激にグルコース値が増加します。これまで、途中でジェルなどを摂っても、グルコース値には影響が無かったことと、記憶は定かではありませんが、この①の手前では糖質の入ったジェルは使っていないと思います。なぜ、このときにグルコース値が増加したかはわかりませんが、このとき重大なことが私には起きています。

それは、復活です。「ドクターシミズのウルトラランナーへの道2018 その2」で書いたように、42.195kmからスピードが落ち、その後リタイアを考えトボトボと走っていました。しかし、50kmの前に急に頭がポジティブになり、走りが戻り、復活しているのです。そのときとこのグルコース値の上昇が繋がっているのではと思えてなりません。証明することはできないのですが、タイミングが合いすぎています。

グルコース値が上がったから復活したのか、復活したからそれに合わせて一生懸命血糖値を上げようとしたのかはわかりません。しかし、何となく私としては、脳がポジティブになりアドレナリン全開で血糖値を上げるように指令を出し、グルコース値が上がったから復活したのではと考えています。でも、何でグルコース値が上がったのかはわかりません。

レストステーションでは今回、出発直前に水分と補給(レモン)を摂りました。前回、レストステーションに入ってすぐにオレンジを摂り、その後からグルコース値が徐々に低下していきました。もしかしたら、休憩中なのでインスリンが出てしまったのでは?と考えました。今回はその反省を生かし、出発直前に補給することにしました。

その後も100~120台で安定していましたが、赤い点線の矢印②のように、①ほどではないにしても、またグルコース値の山ができています。実はこのときワッカに入るときで、時間を見ると非常に完走するのに余裕がないことがわかり、苦しいけどワッカを頑張って走ろうと、ポジティブは考えが頭にあったときなのです。今回のワッカでの走りは、これまでの中で最も走ることができたのではないかと思います。それほど頑張れた背景にはこのようなグルコース値の上昇があったのでは?と考えます。このときは糖質の入ったジェルを補給していました。しかし、これまで走っているときに糖質が入ったジェルにグルコース値が反応したことはありません。なので、ジェルが効いたというよりも、他の何かの要素が関係しているのかもしれません。

前回はレストステーション後低血糖にはなっていませんが、徐々にグルコース値は低下しましたが、今回はずっと安定していました。

今回のラップタイムとグルコース値(血糖値)の変動です。42.195km以降、急にラップタイムが低下し、その後からグルコース値が上昇しています。そして、復活したのですが、コースに上り坂などもあり、ラップタイムには復活したことがあまり反映していないようにも見えます。

80km以降のワッカでもそれなりのラップタイムを刻んでいます。しかし、最後の最後は力尽きていてラップタイムもかなり低下しています。

 

ケトン体値を見てみると、

前回 起床時0.2→レース前0.3→途中1.9→ゴール直後2.8

今回 起床時0.2→レース前0.3→途中1.2→ゴール直後4

です。今回の方がゴール直後の値が非常に高くなっています。十分に脂質をエネルギーにして走れた証拠なのかもしれません。運動によるケトン体値の変動はまだよくわかりません。走った距離や運動強度、レース中の補給など様々な要素が影響していると考えられます。

 

2 thoughts on “第33回サロマ湖100kmウルトラマラソン分析その2&フリースタイルリブレを使った人体実験その25 ウルトラマラソンと血糖値とケトン体

  1. こんにちは。
    先生の人体実験興味深く拝見しております。
    自分はもともと山登りをきっかけに走るようになって2年前はじめてフルマラソンに挑戦し20キロ付近で膝痛くなって結果4時間50分というのが今の所の自己ベストです。
    昨年は2回走りましたが想定外の股擦れでリタイア、怪我をおして出走するもこれまたリタイアでした。間に走った大阪ハーフマラソンは1時間42分台で完走しました。ハーフマラソンはこれ1回だけ。江部先生のブログは良く読んでて体重を落としたい時にだけ自己流で主食を抜く糖質制限をしてるだけでケトン体質とかそういうのはまったく意識はしていませんでしたがもともと登山では異様に歩くのが早く休憩も食事(行動食も)せずさっと下山していましたのでシャリバテとか補給なんて不要だと実感していました。
    仲間には最初がんばって歩いて疲れてきたなと思ってもそこでふんばって歩き続けるとある瞬間にふわっと体が軽くなるので自分は体力のB面に切り替わると説明してました(笑)

    今回、江部先生に教えてもらい著書を読ませていただき改めて来シーズンに向けてケトン体質目指そうかなと思っております。現在は朝食抜き、昼主食抜き、夜も基本主食はほぼ口にせずですが糖質オフビールやZEROチューハイなど数本飲む生活で40日経過しました。ほぼ毎朝10キロ走ってます。体重は平均値でマイナス5キロ、体脂肪率はマイナス4%前後で二種類の体重計で16%と19%。眠気と空腹感をほぼほぼ感じなくなりました。血圧も軽度高血圧症域でしたが今はほぼ正常値です。肝機能と尿酸値だけが毎年検査で若干オーバーしているので今年の健康診断楽しみだなと思ってます。ぜひ血液検査データ送らせてもらいます。

    江部先生のとこでも書いてるのですが頭が痛くなった(改善傾向にはある)のとお酒が弱くなったのが悩みの種という以外はほんとうに良いことだらけで早くマラソン走りたい感じです。完全なケトン体質は著書にも3-4週間必要とありましたがレース前1ヶ月程度をがんばってスーパー糖質制限に切り替えるだけでも効果は得られると考えても良いですかね?また先生は特別な練習はせず食事を変えただけで早くなったと書かれていましたが具体的には無理だなと思うペースで走っても走りきれるようになったという感じなのか楽に走れるペースが知らずに早くなったのか感覚的にはどっちですか?

    1. 登山好きのランナーさん

      是非ケトラン頑張ってください。
      ケトン体質になるには個人差はあるとは思いますが、1か月もあれば変化すると思います。
      また、私は特別な練習もしないというのは、練習は変更していないということです。練習を変更せず食事だけを変更して記録が急によくなったのです。
      最近は調子に乗って色々試してみているので逆に記録が出ていませんが。

      無理なペースでは走れません。後者の方で、楽?ではありませんがペースが速くなっても続けて走れるようになった感じでしょうかね。
      ペースが速すぎれば糖質をエネルギーにすることが多くなってしまうので、その手前のペースで走ることが肝心だと思います。

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