変形性膝関節症は糖質過剰症候群である

変形性関節症で最も多いのが膝の変形性膝関節症でしょう。一般的には肥満があり、重力で膝に負担がかかり、膝が変形して痛みが出ると考えられています。しかし、私は著書の「糖質過剰症候群」で書いたように糖質過剰摂取が原因だと考えています。

今回はその変形性膝関節症の糖質制限の効果についてです。変形性膝関節症の人を通常の食事を続けるコントロール群と、糖質制限群と低脂肪群に分けました。

糖質制限群は最初の3週間は1日20g以下の炭水化物で、その後は40gまで増やしてOKの食事で、脂質とタンパク質は制限なしで好きなだけ食べることができました。果物も制限され、野菜も種類と量を限られています。

低脂肪群は1日に男性で500kcal、女性で250~300 kcal分のエネルギーの脂質をカットする、カロリー制限です。炭水化物は約60%の割合のままで、タンパク質は20%です。

そのような食事を12週間続けました。そうしたところ、結果は次のようです。(図は原文より)

上の図は体重です。緑が糖質制限、赤が低脂肪、黒がコントロール群です。12週間でコントロールは当然体重減少していませんが、糖質制限と低脂肪群は体重が減少しています。糖質制限群では平均で98.53→89.59kgと9㎏程減少、低脂肪群では88.02→81.30kgと7kgほどの減少です。

上の図はBPIという、痛みの重症度と痛みが身体機能を妨げた程度を評価するスコアの変化です。有意に低下を示したのは糖質制限群だけでした。

上の図はKOOS(膝のケガと変形性関節症の転帰を評価するスコア)というスコアの変化で、生活の質を示しています。これも有意にスコアが低下(生活の質が向上)したのは糖質制限群だけでした。

上の図は痛みの強さです。Aは痛み刺激を与えたときの痛みの強さの合計のスコアであり、Bは椅子に座ったり立ち上がったりする時間のテストでのスコアです。Aでは糖質制限群だけが低下傾向を示し、Bでは有意に糖質制限群のみスコアが低下しました。

上の図はAがチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)という、酸化ストレスに応答して濃度が上昇する物質です。Bはレプチンです。Aの酸化ストレスを表すTBARSは糖質制限群のみ有意に低下しました。Bのレプチンはどの群も低下しました。

TBARSはAのように痛み刺激を与えたときの痛みの強さの合計のスコアと相関を示し、椅子に座ったり立ち上がったりする時間のテストでのスコア(B)と相関傾向を認めました。

しかし、面白いことに今回の研究では12週間後で、どの群もCRP、およびインターロイキン-6(IL-6)、インターフェロン(IFN-γ)、および腫瘍壊死因子(TNF-α)などの炎症性因子のレベルはベースラインと比較しても有意な低下は認めませんでした。

つまり、糖質制限で酸化ストレスを表すTBARSが低下し、その低下と痛みの低下が関連しているということは、膝の痛みは炎症で起きているというよりは、AGEsやそれに伴う酸化ストレスによって起きているのではないかと考えられます。

糖質過剰摂取による関節軟骨などの糖化が起き、AGEsが蓄積し、酸化ストレスが増加することが最も痛みを誘発すると考えられます。炎症は結果であり、痛みの原因ではないのかもしれません。いわゆる痛み止めの消炎鎮痛剤の効果が少ないのもこれで納得できます。もちろん炎症は痛みを増幅するでしょう。

今回の研究では糖質制限でも低脂肪のカロリー制限でも、どちらも体重減少が得られたのに、低脂肪群では有意な症状改善がありませんでした。

だから、変形性関節症の患者に対して、「痩せなさい」という指導ではなく「糖質制限をしなさい」が正しいでしょう。結果としてもちろん体重も減少しますので、2重に良いことです。

変形性関節症は糖質過剰症候群です。治療の第一選択は糖質制限です。手術する前に糖質制限をしましょう。そうすれば手術しなくて済むかもしれません。

「The Effect of Low-Carbohydrate and Low-Fat Diets on Pain in Individuals with Knee Osteoarthritis」

「変形性膝関節症患者の疼痛に対する低炭水化物および低脂肪食の影響」(原文はここ

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