運動はがんのリスクを低下させる

食事は非常に重要ですが、運動も大切です。運動は健康的であり、余暇の時間の活動、運動は死亡率やがんのリスクを低下させると考えられています。

今回の研究では、その運動とがんのリスクの関係を分析しています。余暇の身体活動の最も高い10%の人と、最も低い10%の人を比較すると、非常に多くのがんのリスクが低下しています。26のタイプのがんのうち13のがんでリスクが低下し、そのうち7つのがんでは20%以上もリスク低下を認めました。

上から順に、食道腺がん、胆のうがん、肝臓がん、肺がん、腎臓がん、小腸がん、胃噴門部がん、子宮内膜がん、食道扁平上皮がん、骨髄性白血病、骨髄腫、大腸がん、頭頸部がん、直腸がん、膀胱がん、乳がん、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、噴門部以外の胃がん、軟部組織のがん、すい臓がん、リンパ性白血病、卵巣がん、脳腫瘍、前立腺がん、悪性黒色腫、です。1よりも左にあれば運動によりリスクが低下したことを示します。そうすると、ほとんどが1よりも左です。もちろんすべてが統計的に有意では有りませんが。ただ、一番下の悪性黒色腫という皮膚のがんだけは明らかに運動によるリスクの増加を示しています。これはやはり、太陽の影響でしょう。

上の図は横軸が身体活動の多さを示し、右に行くほど身体活動が多い人です。縦軸はそれぞれのがんのリスク比です。そうすると、多くのがんは右肩下がりではありますが、いくつかはU字を描き、運動のし過ぎも良くない可能性を示唆しています。ただ、それでも何もしない人よりはリスクが低くなっています。一番最後の皮膚がんは右肩上がりです。

適度な運動は適度な酸化ストレスを与え、細胞を強くすると考えられています。いわゆるホルミシス効果です。ホルミシスとは、何らかの有害なことについて、有害となる量に達しない適度な量を用いることで有益な刺激がもたらされることを言います。過度な運動は過度な酸化ストレスの原因となる可能性があります。しかし、適度な運動は有益です。どこまでが適度なのかは個人差もあるでしょう。しかし、ウルトラマラソンのような過酷な運動であっても、運動を全くしないよりは有益だと思います。

この運動の有益な効果を踏まえて、アスリートについて考えてみたいと思います。それは次回以降に。

「Association of Leisure-Time Physical Activity With Risk of 26 Types of Cancer in 1.44 Million Adults」

「1444万人の成人における余暇時の身体活動と26種類の癌のリスクとの関連」(原文はここ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です