尿糖が陽性というのは実際どれほどの糖が尿に出ているのか?

尿検査で尿糖が陽性と言われた場合、通常血糖値では160~180以上となっていると考えられます。では、実際に尿の中の糖はどれほどなのでしょうか?

空腹時血糖値が高い方は下に空腹時血糖値を入力すると、糖質75g程度を摂取した時のおおよその尿糖量がわかります。また、HbA1cを入力しても出ます。また摂取した糖質量にかかわらず食後2時間血糖値の入力でも出ます。ただし誤差や個人差は大きいので、一応の目安です。HbA1cの方が誤差は大きいと思います。

今回の研究では教育入院をした人を対象に分析しています。対象は日本のある企業の社員で、教育入院を受けた232名(男性226名、女性6名)、年齢は24歳~64歳、平均48.78歳でした。
糖尿病の薬物療法を受けている人は合計30名で、インスリン治療1名、他はすべてSU剤(スルホニルウレア剤)でした。食事負荷試験の朝の内服、インスリンは中止しています。

負荷食としてパ ン(120g)、牛乳(200ml)、リンゴ(40g)、マーガリン(8g)、卵(50g)、トマト(50g)で約600kcalです。

実際に計算してみると、エネルギーは624kcal、タンパク質24.6g、脂質24.9g、炭水化物74.4g、食物繊維3.9gです。

尿糖の検査テープはどのようなものかはよくわかりませんが、表示は-、±、+、++、+++です。テルモ社のウリエースというものであれば、おおよそ-は50mg/dL未満で、±は50、+は100、++は500、+++は2000mg/dLつまり2g/dLです。陽性反応でも+++というのは非常に大量のブドウ糖が尿に含まれていることになります。

実際に尿に含まれるブドウ糖は以下のようです。(図は原文より)

20例の平均では、-は6mg/dL、±は37、+は98、++は242、+++は1728mg/dLつまり1.728g/dLです。

上の図は尿糖のテープによる検査で、空腹時と負荷食摂取後120分の変化で9つのグループに分けたものです。スコアの7、8、9を見るとわかるように、その他のグループでは食後血糖値のピークは60分ですが、スコアの7、8、9は120分でピークを迎えております。インスリンの分泌が間に合っていないのでしょう。さらに空腹時ですでに尿糖陽性(スコアの7、8、9)の人では、120分値の尿糖が3g/dLを超えています。食後の尿の中のブドウ糖濃度は血液の13.7倍~17倍程度にもなっているのです。空腹時の尿糖が+++(スコア9)の人では、空腹時でも尿の中に2g/dL以上のブドウ糖が存在するのです。ものすごい高濃度です。スコア9の人の120分の尿糖は6g/dLを超えています。これは、ポカリスエットの炭水化物は6.2g/dLなので、ほぼ同じです。本当に「甘い」おしっこが出ているのです。

通常は血糖値は100前後に厳密にコントロールされています。180を超えると様々な組織に有害なことが増加すると考えられています。国際糖尿病連合では食後1~2時間の血糖値を160未満を目標にするとしています。その何十倍もの高濃度の尿糖が1日のうちかなりの時間膀胱に存在しています。膀胱の細胞が炎症を起こしたり、細菌感染したり、組織障害を起こしたりすることは十分に起こりうることです。

そしてそのことが頻尿、過活動性膀胱に結びついても不思議ではありません。(「頻尿、過活動膀胱は糖質過剰症候群である」参照)

糖質過剰摂取状態で尿糖が陽性になったら、糖質制限を始めた方が賢明だと思います。

 

「糖尿病における尿糖自己測定の臨床応用について」(原文はここ

2 thoughts on “尿糖が陽性というのは実際どれほどの糖が尿に出ているのか?

    1. らこさん、コメントありがとうございます。

      ひどい人では、ポカリスエットと同じ甘さの尿が出ます。

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