新型コロナウイルスは潜伏感染する?

人類をあざ笑うかのように広がり続ける新型コロナウイルスですが、以前より中国では治癒後に再感染のリスクがある、と言われていました。そして、先日の発表では退院後14%が検査で再び陽性を示したというのです。(ここ参照)

これを聞いたときに、ただウイルス感染が治りきっていなく、その人の体内にウイルスがまだ残っていたのが、また増加した、いわゆる「再燃」だと思っていました。今でも再感染であるとは思いません。しかし、再燃だとしても14%も起こるの?再燃って、一度退院するほど改善したのに、そんなに症状がまた出るの?なんて疑っていました。

しかし、昨日日本でもこの再燃と思われる症例が報告されました。(記事はここ

この方は、肺炎の症状があったため1月23日に入院し、29日に新型コロナウイルスに感染していることがわかりました。その後2月1日に退院し、6日にPCR検査で「陰性」と確認されていました。退院後は自宅で静養していましたが、のどの違和感や胸の痛みがあり、26日にPCR検査を行ったところ、再び「陽性反応」が出たということです。

感染してから1か月以上しても、そして途中で症状が改善しても、症状が再燃してくる方が日本でも確認されたのです。あながち14%という再燃リスク(再感染かもしれませんが)はウソではなさそうです。

しかし、ウイルスというのは全て種類が感染後に体からいなくなるわけではありません。病原体が体内に潜伏し続けていて、その間ウイルスも増加せずに無症候のもので、感染した人の免疫力が低下した時に再活性化して、症状を呈するもので、「潜伏感染」と言います。代表的なものにヘルペスウイルスがあります。薬で排除もできません。通常の風邪を起こすコロナウイルスやインフルエンザウイルスは免疫機能で、抗体ができて排除されます。

今回の新型コロナウイルスは再燃しやすい人がいるのか、または潜伏感染するように変異したウイルスなのか?(潜伏感染にしては再登場が早すぎ?)さらには治療上に使った薬によって抗体が上手くできないことにより持続して感染してしまっているのか?わかりません。いずれにしても普通のコロナウイルスとはかなり違うようです。

以前の記事「肥満はA型インフルエンザウイルスを長期間排出する」で書いたように、肥満などの患者自身の状態によってウイルスが留まる期間が変わる可能性があるのかもしれません。

そう考えると、PCR検査の意義がさらに低下します。現在厚労省の退院基準は以下の通りです。(ここ参照)

PCR検査が2回陰性で退院です。以前の記事「ウイルス検査陰性は感染していない証拠ではない」で書いたように、検査陰性は「感染していない」根拠にはなりません。この記事での計算では感度を95%とものすごく高くしていましたが、実際のところの感度は50~60%前後でしょうか?

ある論文では新型コロナウイルス感染の疑いで入院した51人中、入院時のCT検査で肺炎像が認められたのは50人で、PCR検査陽性だったのは36人だったと報告しています。つまり約70%しか陽性にならなかったのです。(論文はここ

他の論文では30~50%しか検出できないと書いてあります。(その論文はここ

つまり、症状が軽い人や無症状の人、症状が改善した感染者にPCR検査を行っても膨大な偽陰性の人を出してしまいます。正直上の退院基準な無意味でしょう。

喉よりも鼻腔にこのウイルスはたくさんいると言われていますが、検査は通常喉で行われます。その検体でPCR検査をしても非感染を判断するには不適切でしょう。

私は厚労省がPCR検査に積極的ではないと思っています。このような偽陰性がたくさん認められ、感染者の把握には不適切だと思っているのであれば、それはそれで良いと思いますが、そうではなくて、意図的に感染患者数を少なく見せたいためにそうしているのではないかと思えます。ちゃんと説明すべきでしょう。

PCR検査が偽陰性が多いといっても、現在の医療体制では陽性患者を把握することは非常に重要でしょう。院内感染を起こしてしまうからです。偽陰性患者に関しては臨床症状から判断して、症状が強ければ陽性患者と同じように対処し、症状が弱ければ数週間自宅療養してもらうしかありません。

もう一つの選択肢は、戦わないことかもしれません。正直人類対ウイルスの戦いは、ウイルスの勝ちです。私が新型コロナウイルスに感染するのも時間の問題だと思っています。感染しても症状が出るかどうかは自分の免疫力を信じるしかありません。

ウイルスは人間の都合なんか考えてくれません。今年東京でオリンピックがあるなんてことも配慮してくれません。人類が進化の過程で感染症との戦いをずっと行ってきたのですから、現代になっても同様です。医療が進み、制御できると思い込んでいるだけなのです。目に見えないウイルスと戦うこと自体が所詮無理なのかもしれません。

以前の記事「インフルエンザと高血糖、成人の脳症」で書いたように、インフルエンザウイルスと高血糖は殺人的組み合わせだと考えられます。今回のウイルスにも当てはまるかもしれません。

抗インフルエンザウイルス薬を使用すると、ウイルス増殖が抑制されますが、同時にウイルス抗原量の低下が起こり、獲得免疫としての抗体産生能の抑制されたり、免疫メモリー機能の低下を引き起こし、結果としてその次の年の再感染率増加というあほらしい副作用をもたらします。(この論文参照)今回の新型コロナウイルスでも治療薬がないことから様々な抗ウイルス薬が使用されてきているはずです。そのことが免疫獲得を邪魔して、抗体価がなかなか上がらず、ダラダラと感染を長引かせ、「再燃」をもたらしているのかもしれません。

そう考えると、日本が現在行おうとしている(すでに行っている?)「アビガン」という新しい抗インフルエンザ薬の使用は本当に大丈夫なんだろうかと非常に危惧しています。(この記事参照)

日本人は医療保険が非常にしっかりしているので、非常に安易に検査を求め、薬を求めます。インフルエンザで簡易検査を受けたがり、陰性の判断を受けると安心したりします。陽性でも治療薬があると思って安心したりします。しかし、陰性の意味は感染していない、という意味ではありません。簡易検査は偽陰性が多いのですから。治療薬は免疫の獲得を抑制してしまうのです。医療は本当に必要な人のために使うべきであり、安心のために使うものではありません。

今回の新型コロナウイルスでも、症状もないのに心配だから検査したいという人が大勢いるようですが、「陰性」という結果の意味をちゃんと知っていないと検査する意味もありません。

学校の職員が感染し、保育園の保育士さんが感染しているような状況だと、共働きの夫婦や一人の親の人たちはどうすれば良いのかわかりません。誰が子供を見守るのでしょうか?家族の誰かが感染すれば、他の家族も身動きが取れない状況に晒されます。社会的差別も受けます。国の対応は全く追いついておらず、そのようなことに関して何の対処もありません。日本はあまりにも中小企業が多いので日本の経済は体力的に持つのでしょうか?

感染して生きるか死ぬかということも非常に重要ですが、現在の社会の構造そのものが崩壊しかけています。薬偏重の医療、企業が促進する糖質過剰摂取、様々な利便性重視の社会構造。世界、社会そのものが変化しなければこの戦いは終わらないのかもしれません。

自分の免疫力を信じて…

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コメント

  1. あらかん より:

    緑茶で新型コロナウイルスの感染予防?

    緑茶を飲むことで新型コロナウイルスに感染するリスクが下がる可能性を考えてみました。

    今回の新型コロナウイルスと類似する重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスは、ウイルスの細胞受容体であるアンジオテンシン変換酵素(ACE2)蛋白を介して、細胞内へ侵入、増殖、さらに細胞から放出され、別の細胞に侵入することが報告されています[2]。ACE2は、口や鼻の粘膜、肺、胃、小腸、大腸、皮膚、リンパ節、血管などの全身の細胞表面に存在するとされています[1]。なかでも、肺の肺胞上皮細胞と小腸の粘膜上皮細胞には、特に多く存在します(これは、いわゆるコロナウイルス感染症で肺炎や下痢を起こすことと関連しているようです)。緑茶および紅茶成分のカテキン類およびテアフラビン類は、強いACE阻害作用を持つことが確認されています[6]。緑茶および紅茶成分のカテキン類およびテアフラビン類をACEに結合させることにより、新型コロナウイルスの侵入を防ぐという機序を想定しています。

    風邪やインフルエンザの予防として、緑茶でうがいする方法は一般的に広く認識されています[5]。緑茶の成分“エピガロカテキンガレート”は、抗インフルエンザ薬で用いられる“アマンタジン”と呼ばれる成分よりも低い濃度で、新型インフルエンザウイルスの感染を抑制することが報告されています[4]。緑茶(緑茶成分)を摂取することにより、インフルエンザに感染するリスクが下がる可能性が示されています[3]。

    物理的に、感染リスクを下げる方法として、マスク、手洗い、うがいが重要であるのは確かです。緑茶を飲むことで、さらに、生物学的な感染リスクを下げられるのではないかと思います。

    1 Hamming I et al. (2004) Tissue distribution of ACE2 protein, the functional receptor for SARS coronavirus. A first step in understanding SARS pathogenesis. The Journal of pathology 203: 631-637
    2 Li F et al. (2005) Structure of SARS coronavirus spike receptor-binding domain complexed with receptor. Science (New York, NY) 309: 1864-1868
    3 Matsumoto K et al. (2011) Effects of green tea catechins and theanine on preventing influenza infection among healthcare workers: a randomized controlled trial. BMC Complement Altern Med 11: 15-15
    4 Saha RK et al. (2010) Antiviral effect of strictinin on influenza virus replication. Antiviral Res 88: 10-18
    5 Yamada H et al. (2006) Gargling with tea catechin extracts for the prevention of influenza infection in elderly nursing home residents: a prospective clinical study. J Altern Complement Med 12: 669-672
    6 原 征彦ら (1987) 茶成分のアンジオテンシン1変換酵素阻害能について. Nippon Nogeikagaku Kaishi 1: 803-808

    • Dr.Shimizu より:

      あらかんさん、コメントありがとうございます。

      緑茶が有効だといいですね。簡単ですし。私にはよくわかりません。

  2. ジン より:

    人の免疫力とは何か?考えてみたい。
    先生を使わないので、ごめんなさい。
    江部さん、夏井さんたちの糖質制限派の考え方に賛同します。人間本来の生きる力、生き延びてきた力が免疫力という意味で捉えています。
     抗菌剤や洗剤は、病原菌だけを消すならいいのですが、人に必要な常在菌(皮膚、腸、口内などあらゆる)、共生している常在菌を、皆殺しにしてしまいます。
     結果的に、病原菌を一時的に減らすが、免疫力となる常在菌を減らしてしまい、その後からきた病原菌やウイルスに、対応できなくなる感染・発症することが、一番の問題である考えます。
     コロナ対策で、アルコールで消毒がいわれていますが、モノの消毒しても悪いことはないですが、人の手を消毒して常在菌を減らすのは、逆効果と考えています。
     人類が数百万年生き延びてきたのは、常在菌との共生してきたことによると考えています。その仲間を大事にしたい。
    「外出して戻ったときは、必ず手をアルコール消毒しましょう」という扉への表示は、止めて・・・・・・
    こんな考え方を理解される方はかなり少ないでしょうね。
     

    • Dr.Shimizu より:

      ジンさん、コメントありがとうございます。

      おっしゃる通りだと思います。