カフェインはケトン体を増加させるかもしれない

糖質制限をしている人の中で、朝はコーヒーだけの人もいると思います。またはバターコーヒーの人もいるかもしれません。コーヒーにはいろいろと健康効果が報告されています。またカフェインは、脂肪分解および脂質酸化の作用があると考えられています。このカフェインは血中のケトン体にどのような影響を与えるのでしょうか?

今回の研究ではサンプルは10人と少ないですが、2種類の量のカフェインを摂取するとどうなるかを調べています。残念ながら、一晩絶食をしますが、空腹状態ではなく朝食と一緒にカフェインを摂取しています。朝食には、85gの炭水化物、9.5gの脂質、14gのタンパク質が含まれていました。意外と炭水化物(糖質)量は多いです。市販のカフェイン錠剤(200mg)を粉砕して粉末にし、別々の試験日に2種類の用量(2.5mg/kgおよび5.0mg/kg)をアップルソースに混ぜられ、朝食中に摂取しました。平均体重は65kgです。 コントロールの朝食にはカフェインは追加されていません。(図は原文より)

 

上の図はAとCがケトン体のアセト酢酸、BとDがケトン体のβ-ヒドロキシ酪酸です。AとBはそれぞれの血中濃度推移を表し、CとDは摂取後2~4時間の曲線下面積を示しています。●と黒いバーがコントロール、□と白いバーがカフェイン2.5mg/kg、▽とグレーのバーが5mg/kgです。アセト酢酸はどの群も有意差はありませんが、カフェインが多い方がアセト酢酸も多い傾向はありそうです。しかし、朝食摂取後4時間ではコントロール群も少しアセト酢酸が増加してきています。

一方β-ヒドロキシ酪酸は有意にカフェインの量が多くなるほど増加していました。コントロールと比較してカフェイン2.5mg/kgで88%、5mg/kgで116%曲線下面積が増加していました。

遊離脂肪酸もカフェインの量が多くなるほど増加していました。

今回は朝食も一緒に摂っていたので、最初の1~2時間でケトン体が低下していたと考えられます。糖質を摂らなければ恐らくもっと早くケトン体が増加し、増加の程度も大きくなるのではないかと推測されます。逆に言えば、多少糖質を摂取してもコーヒーなどのカフェイン摂取でケトン体は増加するようです。ちょっと驚きです。

コーヒーはカップ一杯(100ml)でカフェインはおよそ60mgです。マグカップでは250~300ml程度でしょうか。低用量の2.5mg/kgは、体重60kgの人ではマグカップ1杯のコーヒーに相当し、高用量の5mg/kgは約2杯のコーヒーに相当します。

もしかしたら、コーヒーで頭が冴えたように感じるのは、カフェインそのものの効果だけでなくケトン体増加の作用なのかもしれませんね。

 

 

 

「Caffeine intake increases plasma ketones: an acute metabolic study in humans」

「カフェイン摂取は血漿ケトン体を増加させる:ヒトの急性代謝研究」(原文はここ

4 thoughts on “カフェインはケトン体を増加させるかもしれない

  1. 私も朝は(最近はMCToilも入れて)コーヒー飲んでます。ケトン体質増強なら嬉しいです。

    先生が記載されていた「打首獄門同好会」というパンクバンドの
    「糖質制限ダイエットやってみた」聴きました。
    糖質制限あるある、がリアルに描写されていると思います。

    今日スポーツ雑誌ナンバーDo vol.37 「ランニングを科学する。」購入。読むのはこれからですが、裏表紙にMCTオイルの広告(サッカー長友選手起用)もあり、このままでは糖尿病治療の総本山糖尿病学会は世の中から置いていかれてしまうのではないでしょうか。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      打首獄門同好会の歌詞は見事ですよね?
      糖尿病学会はまだまだ大丈夫でしょう。糖質制限をやっている人は以前よりも増えたとは言え、まだまだ少数派ですから。
      マスコミもまだまだ糖質過剰摂取を推進していますし。

  2. 清水先生、こんにちは。

    糖質制限に出会う前から、私は緑茶を1日に2リットルほど飲んでいるのですが(飲みす過ぎ?)、緑茶に含まれているカフェインに加えて、カテキンも、身体に有用な効果をもたらしているように思えます。

    炭水化物を避けている状態で、バターやアボカドだけでなく、緑茶もケトン体の産生を促進するのでしょうか?眠気も襲ってはこないし、体調はとても良好です。

    1. クリードンさん、コメントありがとうございます。

      今回の研究はカフェインについてなので、コーヒーではなくても緑茶でも同様だと思います。

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