昨日の記事に書いたように、新型コロナウイルス関連の記事は正直もうお腹いっぱいに近くなっています。そして、そろそろフェードアウトしても良いのかと思います。しかし、やはり興味がまだあるものについては記事にしておきたいな、という気持ちも多くあります。ですから、今日はまた新型コロナ、そしてBCGです。
ブラジルは新型コロナウイルスの感染がここにきて急増しています。アメリカが3月中旬頃から感染が急増し始めロックダウンしたのですが、そのころのブラジルの感染はおとなしかったのです。4月中旬ごろまでジワジワとしか増加していなかったのですが、ここにきて感染者(陽性者)や死者数はどんどん増加し、感染者は2万人を、死者は1,000人を超える日もあります。(下の図参照。図はここより)
ブラジル大統領は完全に経済重視であり、新型コロナウイルスを感染が急拡大しても「ただの風邪」と言っているようです。州政府が独自に経済規制などの感染防止策を講じていても、ボルソナロ大統領は、経済に多大な損害を与えているとして規制に反発し続けているようです。(この記事参照)
完全にノーガードの戦法のブラジルはBCG接種国でもあるので、BCGワクチンが新型コロナに有益である仮説が誤りなのではないか?と囁かれ始めているようです。さらにBCGの株で日本株やロシア株が非常に新型コロナの重症化を防御しているのではないかという仮説についても、このブラジルの感染者急増で怪しくなってきた、と思う人も出てきたようです。ブラジルのBCG株はモロー株と言って、オリジナルのBCGに近い日本株やロシア株と同じ仲間と考えられているからです。
ブラジルは「The BCG World Atlas」によるとBCGの国としての予防接種が始まったのが1976年とあります。その前は、1927年に経口ワクチンを開始し、1968年に経口ワクチンを皮内ワクチンに変更したようです。一方Wikipediaによると、1967~1968年にユニバーサルBCG予防接種を導入と書かれています。1967年なら現在の53歳、1976年なら現在44歳の人となります。それ以前に生まれた人に日本のようにツベルクリン反応を見て、予防接種していたかどうかは不明です。
予防接種が始まったにも関わらず、ブラジルの乳児のBCG接種率は1980年でも56%でした。1990年でも79%でした。(ここ参照)そこから推測すると、恐らく以前に生まれた人までBCGはしていなかったのではないかと思われます。もしそうだとすると、新型コロナウイルスに対して弱い、高齢者が全て、BCG未接種ということになります。
さらに、BCGの日本株とモロー株は本当に似ているのか?という疑問です。
BCGの日本株とモロー株とデンマーク株を比較した研究があります。(図は原文より)
上の図はそれぞれのBCG株を接種した時に起きる免疫反応です。左からBBCGはブラジルのモロー株、DBCGはデンマーク株、JBCGは日本株です。
そうすると、日本株ではIL-1α、IL-1β、IL-6、IL-24が他の2つの株より増加しています。
一方モロー株とデンマーク株ではIL-12β、IL-27、IFN-γが日本株より増加していました。
今回の新型コロナウイルスでは日本株が自然免疫を活性化しているのではと考えられています。(「新型コロナウイルスと抗体検査 その3 やっぱりBCG?」参照)自然免疫は以前は非特異的な免疫反応と考えられていましたが、現在は、獲得免疫の抗体ほど特異的ではないにしても、様々なウイルス、細菌、寄生虫などに対して、自然免疫も病原体に応じて特異的な反応を示します。病原体を認識する受容体が非常にたくさんわかっています。
自然免疫で活躍するのはIL-1、IL-6、TNF-α、INF-α、INF-βなどです。
BCGワクチンの日本株で自然免疫がブーストされ、自然免疫だけで十分新型コロナウイルスを制圧できたとすれば、日本の新型コロナウイルスに対する抗体を持つ人が0.6%だというのも納得できます。抗体産生するまでもなく日本人(BCG日本株接種者)の多くは新型コロナをやっつけていたのかもしれないのです。そうだとすると、日本では抗体検査は意味がないことになってしまいます。抗体検査で陽性になるかどうかが、過去の感染の有無を表していない可能性が十分にあるからです。
BCGのモロー株のブラジルは、ちょっと日本株より自然免疫のブーストが弱いのでしょう。オリジナルのBCGに近いはずですが、生体の反応はデンマーク株に近いものになっています。
ブラジルが感染爆発するのは、BCG接種年齢と、モロー株で十分に説明できます。さすがにノーガードではブラジルも苦しいと思います。
まだまだBCG仮説続きそうです。
「Unique Gene Expression Profiles in Infants Vaccinated With Different Strains of Mycobacterium Bovis Bacille Calmette-Guerin」
「BCGの異なる株でワクチン接種された乳児における固有の遺伝子発現プロファイル」(原文はここ)
興味深い記事をありがとうございます。
是非フェードアウトせずに、ひきつづき様々な考察をよろしくお願いいたします。
さいころさん、コメントありがとうございます。
恐らく、新型コロナに対する人々の興味はどんどん薄れていると思います。何か興味深い話題があれば記事にしていきたいと思います。
しかし、日本もネットの検索は操作されているようなので、私のようなブログはなかなか検索されません。
今最も怖いのは、政府も専門家の一部も「外出自粛したから感染拡大が収束した」、と根拠もないままに国民を洗脳していることです。
間違った方向に行かないことを祈るばかりです。
ご返信ありがとうございます。
私もそう思います。
3月から4月にかけて、感染者が増えた理由と減った理由を、きちんと検証することが重要だと思います。