動物性タンパク質より植物性タンパク質の方が死亡率が低い?

食事に関する研究というのはどうしても質が低いものになります。ほとんどが食事アンケートによるものだからです。昨日の食事を聞かれても正確に答えられない人もいますし、健康に悪そうなものは少なめに申告している可能性もあります。

以前の記事「糖質を制限すると寿命が縮まる? 冗談のような研究」でも、一応一流の雑誌に掲載された論文であるにも関わらず、非常に質の悪い研究であることを書きました。しかし、この雑誌の影響力は大きいので、この論文がいろいろなところで引用され、糖質制限反対派の根拠のようにも扱われる場合があります。

今回の研究は動物性タンパク質と植物性タンパク質、どちらの方が死亡率が低いかという論文です。これもJAMAという一流雑誌に掲載されたので、今後この論文を根拠とする人もいるでしょうから、その中身を見てみましょう。

過去16年間で50〜71歳の人のデータベースを使い、カリフォルニア、フロリダなどのいくつかの州と2つの主要都市、デトロイトとアトランタからの179,068人の女性と237,036人の男性に関する情報を分析しました。(図は原文より)

上の図は植物性タンパク質の摂取量により5つに分類された人のベースラインのデータです。左側が男性、右が女性で、1~5は1の方が植物性タンパク質が少なく、段々多くなり、5が最も摂取量が多いグループです。

糖質制限が寿命を短くするという論文でも同じことが起きていましたが、このベースラインの状態でグループ間の背景が違いすぎます。

植物性タンパク質の摂取量が多い人では、糖尿病が多く、教育レベルが高く、BMIと総エネルギーの摂取量が1日あたり500kcal程度少なく、食物繊維や果物や野菜の摂取量が多い傾向にありました。より多くの身体活動を行い、ビタミンサプリメントを使用することが多く、現在の喫煙者である可能性が低く(男性:20%対6%、女性23.4%対9.5%)、アルコールを飲む可能性が低く(1日に3倍以上のお酒。男性:29.5%対2%、女性9.3%対0.2%)、自分の健康を貧弱またはまずまずであると報告する可能性が低くなっています。

ここまで背景の違う集団の比較にどれほどの意味があるのか疑問です。

さらに、最も問題なのは食事アンケートが16年間に最初の1回しか行われていないことです。16年間ずっと同じ食事を摂っていたという仮定の下での研究です。意味がありますか?

上の図は男女の植物性タンパク質の1日の摂取量が1SDまたは10g/1000kcal増加した時の様々な原因による死亡のリスク比を示しています。細かいことは省略して、全原因死亡率でも0.95でしかありません。多くの原因で10%前後の違いです。大きな死亡率の減少はありません。

さらに面白いことに、植物性タンパク質の摂取量が増えると、負傷や事故による死亡が減少し、男性のリスク比は0.90になりました。10g/1000kcal植物性タンパク質を増加させると負傷や事故による死亡は男性では24%低下しました。植物性タンパク質はケガや事故さえ減少させる魔法のような効果があるのでしょうか?

上の図は特定の動物性タンパク質3%を植物性に交換した時の死亡率のリスク比を示してます。全ての動物性タンパク質で10%全原因死亡率低下、心血管疾患死亡は11~12%低下です。卵が最もリスク低下が大きく、卵を植物性タンパク質と交換すると21~24%全原因死亡率低下、心血管疾患死亡は26~28%低下です。しかし、鶏肉などの白い肉ではリスクは変化しませんでした。話が出来過ぎのような気がしてなりません。

いずれにしても、この論文の結果をもとに、一部の専門家たちは肉や卵の摂取量を減らせ!と騒ぐかもしれません。このような質の悪い研究でしか根拠が示せません。それを信じるかどうかはご自身の判断です。

私は今日も動物性タンパク質たっぷりの食事です。

「Association Between Plant and Animal Protein Intake and Overall and Cause-Specific Mortality」

「植物および動物のタンパク質摂取量と全体的および原因固有の死亡率との関連性」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする