新型コロナウイルスとPPI(プロトンポンプ阻害薬)

PPI(プロトンポンプ阻害薬)は胃酸分泌を強力に抑えてしまいます。そのために、消化器系の感染症は増加すると考えられます。(「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の暗黒面 その2 PPIは多くの病気を引き起こす可能性がある」など参照)

胃液のpHは1~1.5と強酸性です。食後でpH4を超えることもありますが、通常胃のpHはずっと低い状態ですが、例えばタケキャブ20mgの投与により24時間中に胃内pHが4以上を示す時間の割合は83%です。恐らく日中の多くの時間帯はpH6~7程度になっていると思われます。

今回の新型コロナウイルスは腸からも感染すると言われています。(この論文参照)

(上の図はこの論文より)

上の図は、今回の新型コロナウイルスではなく、2002~2003年に流行したSARSのウイルスとpHの関係です。人間の体温の37度では、pH3以下でウイルスは不活性化します。しかし、pHが5以上であればウイルスを不活性化することができません。このことは今回の新型コロナウイルスにも当てはまるでしょう。

今回の研究では新型コロナウイルス感染とPPI内服の関連を分析しています。その結果、53,130人の参加者の6.4%が新型コロナウイルス検査陽性でした。PPIを服用していない人と比較して、1日1回PPI使用者は2.15倍、1日2回PPI使用者は3.67倍、検査陽性を報告する可能性が増加しました。ちなみにH2ブロッカー服用者ではリスク上昇は見られませんでした。

通常であれば、胃の中に入ったウイルスは胃酸で不活性化できます。口からの消化管は外部環境とつながっているので、様々な細菌やウイルスなどが入ってくる可能性が高くなります。それをやっつける最前線の一つが胃の胃酸です。強い胃酸で病原体を殺すまたは不活化するのです。

そのメカニズムが働かなければ、腸からの病原体の侵入を許す可能性が高くなります。PPIはこのような非常に感染防御にも重要なメカニズムを無効化してしまうので、病原体の侵入は起こりやすくなるのは当然でしょう。1日2回の服用や1日1回でも長く効果のあるPPIはそれだけ感染に対して無防備な時間を増やしているのです。

逆流性食道炎は糖質過剰症候群です。糖質制限をすれば多くは改善します。薬に頼る前にまずは糖質制限をしてみましょう。

 

「Increased Risk of COVID-19 Among Users of Proton Pump Inhibitors 」

「プロトンポンプ阻害剤の使用者でのCOVID-19のリスクの増加」(原文はここ

2 thoughts on “新型コロナウイルスとPPI(プロトンポンプ阻害薬)

  1. マッチポンプ的な健康常識や治療が多いですね。
    療養中の渡哲也さんの記事で「現役でいるために筋トレや減塩を心がけている」
    そうです。

    減塩常識も根強いですね。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      糖質過剰摂取者は減塩したほうが良い人もいるかもしれませんね
      ただ、減塩=ヘルシーではありません

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