「みなさんの血液検査データ2020 集計 その1」で今回収集させていただいた方の背景をご紹介しました。
これからは、血液データです。
まずは血色素量(Hb:ヘモグロビン)、MCV(赤血球1個当たりの平均的な大きさ)、血小板数、総タンパク、アルブミンです。血小板以外のグラフでは基本的に青いバーが糖質制限、赤いバーが一般の人で縦軸は全体の中の割合(%)で示しています。基準値に関してはそれぞれの検査機関で異なりますが、参考に書いておきます。
Hb | 人数 | 平均値 | 標準偏差 | |
男性 | 一般 | 1200 | 14.8 | 1.4 |
糖質制限 | 126 | 14.4 | 1.2 | |
女性 | 一般 | 1731 | 13.1 | 1.2 |
糖質制限 | 68 | 13.6 | 1 |
ヘモグロビンの基準値は男性13.6~18.3、女性11.2~15.2です。
男性も女性も一般の日本人と違いはありません。
女性で糖質制限をしている人の平均がやや高めなのは、年齢層の問題かもしれません。一般的には閉経後の方が女性はヘモグロビン値が高く、いわゆる貧血の割合は30代や40代で多くなります。今回の糖質制限をしている女性の多く(約73%)は50代以上です。
MCV | 人数 | 平均値 | 標準偏差 | |
男性 | 一般 | 1200 | 94.1 | 5.4 |
糖質制限 | 97 | 95.2 | 5.1 | |
女性 | 一般 | 1731 | 92.3 | 5.7 |
糖質制限 | 54 | 94.4 | 4.3 |
MCVの基準値は男性83~101、女性80~101です。
糖質制限の女性では一般の人よりもちょっと赤血球が大きめ?これも閉経後の女性の割合が高いからかもしれません。
人数 | 平均値 | 標準偏差 | |
男性 | 109 | 21.2 | 4.9 |
女性 | 59 | 22.3 | 4.7 |
血小板の基準値は14.0~37.9です。
血小板数は一般の人のデータがないので、糖質制限の人だけです。女性の方が平均値がちょっと高くなりました。
実は血小板数は、糖質制限ではもうちょっと少なめになるのではないかと予想していましたが、一般の人の平均がよくわからないので、比較できません。これでも少なめなのかもしれません。糖質制限では基準値上限付近の人は少ない気がします。
糖質制限と血小板数の関係はまたいつか記事にしようと思います。
総タンパク | 人数 | 平均値 | 標準偏差 | |
男性 | 一般 | 1203 | 7.3 | 0.4 |
糖質制限 | 83 | 7 | 0.4 | |
女性 | 一般 | 1742 | 7.4 | 0.4 |
糖質制限 | 42 | 7.1 | 0.3 |
総タンパクの基準値は6.5~8.2です。
男女ともに糖質制限の人の方が少し低い傾向です。
アルブミン | 人数 | 平均値 | 標準偏差 | |
男性 | 一般 | 1,203 | 4.5 | 0.4 |
糖質制限 | 70 | 4.4 | 0.3 | |
女性 | 一般 | 1,742 | 4.4 | 0.3 |
糖質制限 | 39 | 4.5 | 0.2 |
アルブミンの基準値は3.7~5.5です。
男女とも一般の人と違いはありません。実は総タンパクもアルブミンも、糖質制限をすると、もう少し高めの値になるのでは?と予想していました。実際にはそうではありませんでした。また、これも年齢分布が影響している可能性も高いでしょう。
アルブミンは血清中のタンパク質の中に一番多く含まれ、栄養の指標とされています。総タンパクの減少は、アルブミンの低下によるものが多く、栄養不良や肝障害による合成の低下などが考えられます。
糖質制限ではタンパク質摂取量が多くなるし、脂肪肝などが改善されるために、もう少しアルブミン値が高くなるかな、と思っていました。しかし、糖質制限をする人の中には飲酒をする人もいるのでそれにより肝機能がやや低下し、人によっては糖質制限の有益性が相殺されるのかもしれません。
アルブミン値が4未満の人を見てみると、男性5人、女性1人です。男性の5人中3人はBMIが20未満でした。5人中4人はお酒を飲んでいる人で、お酒を飲んでいない人はBMIが18未満と栄養不足が疑われました。5人中2人はほぼ毎日100g以上のアルコールを摂取しているので、肝障害とまではいかなくても、肝臓がお疲れなのでしょうね。
今日発売の女性セブンに『糖質オフ×プチ断食のW効果でやせる!不調が消える!』(主婦の友社)に関連して、私のプチ断食の記事が少しだけ掲載されています。よろしかったら読んでみてください。
7/27(月)職場採血検査:
・血小板 19.9と若干低め(スーパー糖質制限1日1食の効果でしょうか)
・空腹時血糖 81(一安心)
・HDL:131・LDL:183・中性脂肪:119・総コレステロール:343
朝コーヒー(ココナツオイル・バター・ラカントS 入り)岩塩のみ摂取、ランニングしない日でした。
鈴木 武彦さん、データありがとうございます。
中性脂肪値は朝のコーヒーのオイルやバターのせいですかね?
職場ではコレステロール値を責められそうですね?
清水先生、こんばんは。
総蛋白やアルブミンが糖質制限の方で低めなのは、タンパク質は摂取していても、それを体内でタンパク質として同化できていないとは考えられないでしょうか?
糖質の代わりに脂質を十分に摂取していればいいのですが、脂質の摂取量が少し足りないため、タンパク質の同化が少し少なくなっている可能性はないでしょうか?もしそうだとすれば、BUNは糖質制限の集団で少し高い傾向になっているかもしれないと思いました。
じょんさん、コメントありがとうございます。
BUNについては今後集計しますが、糖質制限で脂質を十分に摂れていないと、それはカロリー制限でもありますね。
実際には一般の人と比較しても低くはありません。ただ、思ったよりも高くないという印象です。
人間はかなり厳密にアルブミン量をコントロールしているということかもしれません。
総蛋白、アルブミンの結果は、年齢のせいもあるかもしれません。アルブミンが4を切った老人にプロテインヨーグルト食べさせていましたら、4.3まで回復しました。総蛋白は不明ですが。
ただ一方で、追加インスリンなのか、腸内細菌なのか、理由は分かりませんが、「正しく?」糖質を処理できている方は、タンパク質強化しなくても大丈夫なのではないかと。
となると、糖質制限におけるタンパク質強化には、タンパク質単独より、タンパク質+(良い)油脂で、高血糖を防ぎながら、安全に長くインスリンを少しずつ出させて同化させる必要があるのでは?と思いました。
ぽん太さん、コメントありがとうございます。
年齢はもちろんあると思います。
少ないタンパク質は総タンパクやアルブミンなどで一定の評価は可能でも、ある程度のタンパク質摂取があれば、
大きく違いが表れないのかもしれません。
また、例えばアルブミン4.3と4.8の違いが意味のある数値なのかどうかはわかりません。
また、たっぷりタンパク質摂取をしていてもなかなかアルブミン値が上がらない人もいると思います。
いろいろまだわからないことばかりです。