糖尿病や肥満では果糖に対する反応が異なるかもしれない

糖質の中でも最も毒性の高いと考えられる猛毒「果糖」は、糖尿病や肥満の人の方がより悪影響が強いかもしれません。

今回の研究では経口ブドウ糖負荷試験と果糖負荷試験を行いました。対象は正常体重の青年14人(平均15.9歳、平均BMI21.8)と肥満の青年23人(平均15.1歳、平均BMI34.5)です。(図は原文より)

上の図は左が果糖負荷試験後、右がブドウ糖負荷試験後です。青いグラフが正常体重青年、赤いグラフが肥満の青年です。上から血糖値、GLP-1の変化量、インスリンの変化量、GIPの変化量です。

一般的に考えられているように果糖による血糖値の変動はほとんどありません。当然ブドウ糖では大きく増加しています。GLP-1は果糖負荷で正常体重と肥満で大きな違いが出ました。正常体重では変化が認められなかったのですが、肥満ではGLP-1が増加しました。GLP-1は食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌されて、すい臓のβ細胞に作用してインスリンを分泌を促進します。実際に果糖負荷でインスリン分泌が増加しています。もちろん、ブドウ糖よりはインスリン分泌は少なく、4分の1程度です。しかし、分泌の仕方がブドウ糖負荷では20分後くらいにピークを示すのですが、果糖負荷では60分ずっと同じような量で分泌が続いています。

果糖の摂取は、正常体重の青年よりも肥満の青年でより高いGLP-1およびインスリン反応を誘発します。この果糖のGLP-1を介したメカニズムを通じて青年期の肥満の高インスリン血症の一部をもたらしている可能性があります。

恐らく、肥満だけでなく糖尿病でもこのGLP-1を介した高インスリン血症のメカニズムが存在していると思います。

腸に存在する果糖の輸送体GLUT-5は、糖尿病では何倍も過剰に存在しています。そこに果糖過剰摂取を繰り返せば、どんどん果糖は取り込まれ、GLP-1を増加させ、インスリン分泌を促進させると考えられます。

果糖を摂ればとるほど、GLUT-5は増加し、さらに吸収量が増加し、インスリン量も増加し、肝臓の中性脂肪も増加するでしょう。

果糖摂取には注意が必要です。子供や青年期に果糖過剰摂取は避けるべきだと思います。もちろん大人になっても。

糖質制限 糖質過剰症候群

「Fructose Consumption Contributes to Hyperinsulinemia in Adolescents With Obesity Through a GLP-1-Mediated Mechanism」

「果糖の消費は、GLP-1を介したメカニズムを介して肥満の青年の高インスリン血症に寄与する」(原文はここ

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