お風呂と血糖値上昇

お風呂と血糖値についてコメントをいただきました。

初めまして
1型糖尿ですが、糖質制限11年で投薬インスリンなしhba1c5.9維持しています

2日前から水素風呂を購入し、同時にフリースタイルリブレで日内変動実験中です
お風呂に入るとかならず30血糖値があがりますが、30分で元に戻ります

120で入れば150まであがるため、食後のあがるタイミングでの入浴が危険であったのでは?と疑問に思ったタイミングでこちらのブログに辿りつき、確信しました。
また、水素風呂だからあがるのではないこともわかりました。

今度は
指針計測をしていないので、リブレの性質的な問題なのか、調べようと思っています。

私の結果も何かのお役に立てればとコメントさせていただきました。

1型糖尿病の方で、お風呂に入るとフリースタイルリブレのグルコース値が上昇するというものです。以前の記事「フリースタイルリブレを使った人体実験 その2 お風呂は危険?」で私も同様に血糖値の上昇を示したことを書いています。危険なレベルまで上昇するかどうかはわかりませんが、お風呂の温度によっては血糖値の上昇を認めると思います。

実はお風呂と血糖値の関連については、海外ではほとんど研究されていないと思います。お風呂(湯舟)に入るのは恐らく日本だけだと思います。お隣の韓国や中国でもシャワーが中心だそうです。しかも日本のお湯は熱い。海外でバスタブにお湯をはって入っても、その中で体をお洗ったりするので、日本よりもぬるめでしょう。日本の温泉は海外の人にとっては火傷するほど熱く感じるのではないでしょうか?

熱いお風呂に入ると交感神経優位になり、コルチゾールなどのホルモンが増加し、血糖値、血圧、心拍数なども上昇します。

(上の図はここより)

上の図は左が42度のお風呂に入ったとき、右が25度の水に浸かったときです。網掛けの部分(10分間)がお湯または水に浸かっている時間です。●は朝9時、○は夜9時です。朝の9時では水の方がコルチゾールを増加させるようですが、夜の9時では熱いお湯の方がコルチゾールが増加し、水ではほとんど変化していません。日内変動が影響しているようです。

このサイトの記事では、高温のお湯に入ると血糖値が上がるというデータがあるようです。(ここ参照)

(2)糖尿病と温泉療法

  1. 温泉場の開放感で、自律神経の緊張から開放されます。これは非常に大事なことですが、先に書いたように食事の量には注意しましょう。
  2. 温泉療法の適応となるのは、軽症か中等度の糖尿病です。血糖コントロールの悪い方、大きな糖尿病合併症を持つ方は細心の注意が必要です。
  3. 高温浴の場合、交感神経緊張により血糖が上がることが多く見られます。東京慈恵会医科大学・阪本要一先生の症例では、血糖コントロールの悪い人が温泉に入った後、食前の血糖が上昇するというデータがあります。つまり、血糖が高めの人は、急に高温の温泉に入ると血糖が上昇する傾向があるのです。
  4. 温泉入浴によって血液循環が活発になり、ホルモンの分泌が高まり、免疫機序が改善することが発表されています。

実際のデータは確認できていませんが。

入浴剤で有名なバスクリンのホームページには面白い研究が載っています。37、39、41℃のお風呂で交感神経、副交感神経はどうなるのか?というものです。(図はここより)

上の図は水色の部分がお湯につかっている時間です。縦軸は副交感神経の指標です。赤いグラフが41度のお湯です。お風呂に入った瞬間副交感神経が大きく活性化された後、急降下しています。

上の図は交感神経の指標です。赤い41度のお湯のグラフだけお湯につかり始めて間もなく交感神経が活性化されています。その状況は20分くらい続いています。37度や39度ではほとんど交感神経は変動がありません。

上の図は心拍数です。温度が高いほど心拍数が上昇しています。

次はバスクリンらしく、入浴剤を使った時の自律神経の変化です。お湯の温度は40度、kprというのがローズ系で溶解時高揮発性入浴剤、kprpcというのがローズ系で粉末タイプ入浴剤、pwは対照のさら湯です。

副交感神経は最初の研究と同様に、お風呂に入った瞬間は副交感神経優位です。しかし、入浴剤を使った2つは対照のさら湯よりも副交感神経は低下してしまっています。交感神経は逆に入浴剤を使った方がさら湯よりも高くなっています。これを見る限り、入浴剤はリラックス効果は期待できず、逆に交感神経を刺激しているようです。

考察には下のように書かれています。

まとめ及び考察

  1. 入浴直後の副交感神経系亢進は、入浴による解放感等が影響している可能性が考えられた。
  2. 入浴温度条件が高温であるほど、副交感神経系抑制、交感神経系亢進が示唆されるが、低温では、副交感神経系への影響が強く、交感神経系には影響が少ない事が示唆された。
  3. 香り揮発性に特徴のある入浴剤浴群は、さら湯群と比較して交感神経系亢進、副交感神経系抑制等、自律神経系への影響が認められた。
  4. ローズ系入浴剤利用が、入浴にリフレッシュ感をもたらすことに有用であり、生活にメリハリを与える可能性が示唆された。

高温ほど交感神経が活性化されるようです。そして入浴剤も交感神経を亢進させます。バスクリンは素直にこのようなデータを載せています。しかし、考察の4番目の記述が笑えます。交感神経が活性化されることが、どうやらリフレッシュ感をもたらし、生活にメリハリを与えるそうです(?)。苦しい考察です。

いずれにしても、熱いお湯が好きな方は注意が必要かもしれません。そして、入浴剤は使わない方が良いかもしれません。私も42度くらいのお湯が好きです。入浴剤は好きではありません。

ただ、フリースタイルリブレのグルコース値は、血糖値ではありません。入浴中の血糖値を測定したことはありませんので、何とも言えませんが、血糖値はあまり変化しなくても、間質液のグルコース値のみ変化している可能性が無いわけではありません。また、お風呂の温度によりセンサーの感度、精度に違いが出る可能性も否定できません。(一応、センサーの操作温度範囲は10~45°Cと書かれています。)

入浴中に血糖値を測定したことがある方は教えて下さい。

コメント

  1. よっしー より:

    こんにちは!
    私は以前、家庭の風呂と温泉でそれぞれフリースタイルリブレと自己血糖測定を入浴前後に行って数値を比較してみたことがあります。

    するといずれも自己血糖測定では入浴前後に血糖値はまったく変化がなく、リブレでは20~30も上がりました。温度上昇による偽高値ではないかと想像しています。

    • Dr.Shimizu より:

      よっしーさん、コメントありがとうございます。

      入浴後では血糖値はすでに低下してしまっている可能性があるかもしれません。入浴中の値がどうかですね?
      いずれにしても、短い時間20程度上昇するだけかもしれませんね。
      もちろん、偽高値の可能性も十分にあります。

  2. 葉月 より:

    ブログによる有益な情報発信、いつもありがとうございます!

    昨日久々に温泉施設に行ったのですが、高濃度炭酸泉のお湯に浸かりながらその効能などの能書き看板を読みましたところ、高濃度炭酸泉は血糖値を下げる効果があり、糖尿病にも効くとの記載がありました。
    私は糖尿病ではなく、フリースタイル リブレなどの自己血糖測定器も持っておりませんので、今のところ自分で実験出来ないのですが、本当に高濃度炭酸泉で血糖値が下がるものなのでしょうか?
    ネットでちょっと調べてみたところ、やはり血糖値を下げる効果があるようなことが書かれていました。(糖質制限するのが一番確実で簡単ですが‥)
    そんな効能が書いてある温泉施設ですが、温泉から上がって水分補給に水かお茶でも買おうと自販機を眺めていたら、牛乳やコーヒー牛乳・ヨーグルト飲料などの自販機に「血糖値が上がるので、温泉に入っても安心!」と書いてあるではないですか(ー ー;) 訳の分からない適当なことは書かないで欲しい!と思いました。

    • Dr.Shimizu より:

      葉月さん、コメントありがとうございます。

      温泉は血流を良くするので、それによってもしかしたらインスリン感受性が高くなるかもしれません。
      しかし、実際には個人差もあるでしょうが、温泉は高温のことが多く、一時的に高くなる、または不変ではないかと思います。
      温泉療法で糖尿病が改善するという報告はあります。ただ、これは食事制限も同時に行っているので、温泉の効果かどうかは不明でしょう。
      初期の糖尿病で、毎日温泉に入っていればもしかしたら効果はあるのかもしれません。しかし、効果があったとしても小さいと思います。

      • 葉月 より:

        清水先生、ご回答ありがとうございます。

        また少し調べてみました。
        炭酸ガスを高濃度に水に取り込ませるためには低めの温度でないと不可能だそうで、日本の温泉の場合は温度が高いので天然の高濃度炭酸泉は数えるほどしかないそうです。日本での多くは人工的に作った高濃度炭酸泉だそうです。
        高濃度の炭酸泉に浸かると、炭酸ガスが皮膚の毛穴から毛細血管の中に吸収され、抹消血管の拡張により血流が促進されるとのことです。
        それらの効果によりインスリン抵抗性が改善され、血糖値が下がるそうです。
        閉塞性動脈硬化症の改善に効果があるとして、名古屋共立病院では高濃度炭酸泉の足湯を治療に取り入れているそうです。
        症例写真を見ると著しい効果があるようですが、糖質過剰摂取のままでは本末転倒かと思います。糖質制限した上で高濃度炭酸泉を利用するのであれば、本質的な効果が期待できるのかも‥と思いました。

        https://www.kaikou.or.jp/touseki/pdf/sakura_106.pdf

        • Dr.Shimizu より:

          葉月さん、情報ありがとうございます。

          やはり少しぬるめの方が良いようですね。ただ、いずれにしても数日で改善するわけではないので、
          食事と温泉で相乗効果を期待した方が良いと思いますね。