低マグネシウム血症の発生率は、2型糖尿病の人では13.5〜47.7%、健康な人では2.5〜15%だと言われています。糖尿病では頻繁にマグネシウムが低下します。基準値は1.8~2.6mg/dLです。
摂取量の減少 |
経口摂取量が少ない |
胃腸障害 |
胃腸の喪失の増加 |
自律神経機能障害の結果としての下痢 |
腎マグネシウム喪失の増強 |
糸球体過濾過 |
浸透圧利尿(糖尿) |
代謝性アシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシス) |
低アルブミン血症 |
微量アルブミン尿および顕性タンパク尿 |
腎再吸収の低下 |
内分泌機能障害:インスリン欠乏症または抵抗性 |
代謝性アシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシス) |
電解質の異常:リン酸塩とカリウムの枯渇 |
利尿薬 |
低マグネシウム血症は糖尿病と強く関連しています。低マグネシウム血症の糖尿病の人は、より急速な病気の進行を示すと言われています。(ここ参照)
また、低マグネシウムがあると糖尿病合併症のリスクが高くなります。さらに、低マグネシウムではインスリン抵抗性が高いと言われています。
糖尿病で低マグネシウムの人は、低マグネシウムがインスリン抵抗性を引き起こし、インスリン抵抗性が血清マグネシウムレベルを低下させるという悪循環になると考えられます。
それにも関わらず、多くの糖尿病の人では、血中のマグネシウムを気にしている人は少ないばかりか、医師の方もあまり関心が無いように思えます。基準値ギリギリの値でも医師には何も言われない方もいます。せっかく血液検査で(病院によりますが)通常では測定しないマグネシウムを測定しているのに、その結果が生かされていないと感じます。
では、どの程度のマグネシウムが適切でしょうか?体内のマグネシウム量を測定することは難しく、不足気味でもなかなか血中濃度は変化しません。だから、ちょっと低下してきた時点で、恐らくは体内量は非常に少なくなっているのではないかと思います。
最適なマグネシウム濃度に関する研究は恐らくはないと思いますが、糖尿病の人の腎機能低下の研究を参考にすると、2.0〜2.6mg/dL程度の範囲が最も適切で、血中のマグネシウムが2を切るようであれば、早急な対応が必要だと思います。(こことここ参照)
私はいつも診察では、マグネシウム値が2.0mg/dLになったら注意を促し、2未満になったらマグネシウムの摂取量を増やすように強く推奨しています。
「Hypomagnesemia in Patients with Type 2 Diabetes」
「2型糖尿病患者の低マグネシウム血症」(原文はここ)