さすがに最近は脳のエネルギーはブドウ糖だけという医師や栄養士はいなくなったでしょうか?いやまだいますね。恥ずかしくないのでしょうか?
脳はケトン体があればケトン体を利用する割合が高まります。
今回の研究では健康な23歳から64歳(平均35歳)10人を対象に、4日間のケトン食:脂質とタンパク質+炭水化物の比率は4.5:1の食事を行い、脳のケトン体とブドウ糖のエネルギーとしての利用率(代謝率)を分析しました。
前 | 後 | |
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重量(kg) | 73±7 | 73±8 |
高さ(cm) | 170±11 | – |
BMI | 25.4±4.0 | 25.4±4.0 |
血糖値(mM) | 5.1±0.4 | 3.9±0.3 |
インスリン(IU / L) | 5.4±0.7 | 2.6±0.5 |
アセト酢酸(mM) | 0.2±0.2 | 1.7±0.4 |
β-ヒドロキシ酪酸(mM) | 0.4±0.4 | 3.1±0.7 |
遊離脂肪酸(mM) | 0.4±0.2 | 1.0±0.3 |
中性脂肪(mM) | 1.3±0.8 | 0.9±0.7 |
コレステロール(mM) | 5.3±0.9 | 5.1±0.9 |
4日間のケトン食で血糖値は約24%低下し、インスリンも半減しています。ケトン体は合計すると5000μmol/L程度です。ケトン食前が600程度なので、4日間のケトン食で約8倍増加したことになります。
上の図は脳の代謝率を示し、左側がケトン体(アセト酢酸)、右側がブドウ糖の代謝率です。黒いバーはケトン食後です。白とグレーのバーはケトン食前です。そうすると、ケトン体の脳の代謝率が約6倍と、大きく増加しているのがわかります。ブドウ糖の代謝率は約20%低下しています。
ケトン食前はブドウ糖が全脳エネルギー代謝の約98%を占めていましたが、ケトン食後ではケトン体(アセト酢酸)が約2%から17%に増加しました。β-ヒドロキシ酪酸を含めたケトン体全体では5%から33%に増加した計算になるようです。
上の図は(a)の白いバーがケトン体の代謝率の増加率、青いバーがブドウ糖の代謝率の低下率を示しています。(b)は総脳エネルギー代謝に対するケトン体の寄与率で、黄色いバーがケトン食前、黒がケトン食後です。それぞれのグラフの横軸は脳の領域です。(詳細は省略)
脳の領域によってケトン体の代謝率の増加が大きい部位とそれほどでもない部位が存在するようです。
上の図は、3次元で脳のケトン体代謝(上)とブドウ糖代謝(下)を表したものです。それぞれの上側がケトン食前、下がケトン食後です。赤みが強いほど代謝が大きく、青いほど代謝が少ないことを示してます。ケトン体の代謝はケトン食後で大きく増加しています。
上の図は横軸がケトン体の代謝率の増加率、縦軸がブドウ糖の代謝率の低下率です。綺麗に相関しています。ケトン体の代謝が増加すると、ブドウ糖の代謝は低下しているのです。また、脳の部位によって違いが大きいこともわかります。
上の図は、(a)の横軸が血中のケトン体、縦軸が全脳ケトン体代謝率です。血中のケトン体は脳ケトン体代謝率と正の相関がありました。(b)は横軸が血糖値、縦軸が全脳ブドウ糖代謝率です。血糖値の低下は脳のブドウ糖代謝率の低下と相関しています。
他の研究で、脳がケトン体をエネルギーとして利用するのは、血糖値やインスリン分泌が少なくなったからではなく、利用できるケトン体が増加することによって起こると報告されています。(ここ参照)
つまり、脳は使えるブドウ糖が少なくなったから仕方がなくケトン体を利用しているのではなく、ケトン体が豊富に存在すれば、好んでケトン体を利用していると考えられます。
脳はケトン体好きなんです。
糖質制限 糖質過剰症候群
「Inverse relationship between brain glucose and ketone metabolism in adults during short-term moderate dietary ketosis: A dual tracer quantitative positron emission tomography study」
「短期中等度の食事性ケトーシス中の成人における脳グルコースとケトン代謝の間の逆の関係:デュアルトレーサー定量的陽電子放出断層撮影研究」(原文はここ)
脳のエネルギーはブドウ糖(だけ)と認識していれば、チョコもケーキもドーナツも罪悪感なく食べる事ができるでしょう。
勿論食べるのは自由ですが、専門職の立場で「科学的根拠に則って」勧めるのは罪だと思います。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
専門家があえて毒を勧めることは商売上あるのかもしれません。食事で病気が改善してしまっては困る人もいるかもしれません。
>脳はケトン体好きなんです。
しかし、多くの医師はケトン体が嫌いなようですw
子供の病気に自家中毒症(ケトン血性嘔吐症)と言うのがあり、ケトン体の増加が原因とされています。
治療としては糖質摂取となっています。
本当にそうでしょうか。食欲不振や嘔吐によって、エネルギー摂取量が減少した結果、脂肪酸代謝になり、ケトン体エネルギーが利用されている状態だと私は思います。
自家中毒症は、糖質に耐性のない子供の糖質過剰症そのものだと思われ、治療として糖質を摂取すると益々、嘔吐を繰り返すことになります。
嘔吐を繰り返す子供のケトン体が高値になっている事で、ケトーシスをこの症状の原因としているようですが、原因と結果をはき違えているように思えて仕方がありません。
ケトン体を悪いものと決めつけた結果の誤診ではないでしょうか。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
SGLT2阻害薬の出現により、ケトン体嫌いの医師は減ったかもしれません。
自家中毒のケトーシスは確かに原因と結果が逆かもしれませんね。
また、いまだに妊娠時のつわりでもケトン体が陽性になると慌てて点滴されることもあるかもしれません。
>妊娠時のつわり
私はこれも、胎児による糖質拒絶反応ではないかと言う気がしてなりません。
妻が妊娠時にいつもはいい匂いだと思っていたのにご飯を炊くにおいをかぐと吐き気がすると言っていたのを思い出しました。つわりがそれほどひどくなければ、タンパク質などは食べられるのに糖質(特にご飯)がダメだったようです。