糖質をエネルギー源にすればするほど体は蝕まれていく

我々人間は生きていくために体の中でエネルギーを作り出さなければなりません。そのエネルギー源は当然食べたものから吸収して、代謝してエネルギーにします。エネルギー源は主に「糖質」か「脂肪酸+ケトン体」です。

糖質をエネルギー源にする場合、まずは解糖系という代謝経路が必要です。ブドウ糖からピルビン酸になるまでの代謝が解糖系というものです。

しかし、この解糖系が非常に問題です。解糖系という代謝は決してクリーンなエネルギーを生む経路ではないのです。イメージとしては質の悪い石炭を燃やして、燃やすたびに有害物質をまき散らすようなものです。

ブドウ糖からピルビン酸になる途中の物質が自然と分解されて、非常に反応性の高い危険な「メチルグリオキサール」という代謝産物ができてしまいます。このメチルグリオキサールがタンパク質などと反応し、糖化を起こし、様々な病気や症状のもとになる終末糖化産物(AGEs)ができるのです。

いまだに「糖質は人間のエネルギー源」だから必須のものだという自称専門家、医師、栄養士がいます。確かに人間は糖質をエネルギー源にすることはできます。恐らく安価で安易なエネルギー源ですが、クリーンなエネルギー源ではありません。手っ取り早くエネルギーを得るのには良いのかもしれませんが、それには犠牲を伴うことがあります。

多少の糖質は解糖系で代謝しても、恐らくスムーズに代謝され、有害な代謝産物はそれほど生まれないと思います。しかし、それはあくまで少量の糖質であり、その少量というのは狩猟採集の時代のレベルです。現代のような糖質過剰摂取では常に解糖系が回っていて、どんどんエネルギーが生み出されます。その解糖系に中間物質も自ずと大量にできるわけです。そうすると、解糖系の途中の代謝に必要な酵素の不足が起きる可能性もあるでしょう。代謝が滞ってしまうと、危険なメチルグリオキサールもどんどんできてしまうのです。

解糖系がスムーズに流れるかどうかは恐らく個人差も大きいでしょう。どんどんスムーズに代謝できる人もいれば、ちょっとでも多くの糖質を摂取してしまえば、すぐに危険な代謝産物が生み出される人もいるでしょう。

以前の記事「終末糖化産物(AGEs)を除去してくれるタンパク質も糖質過剰で機能不全になるかもしれない」で書いたように、危険なメチルグリオキサールと反応してできたAGEsも、分解処理できる範囲であれば問題は起きないかもしれませんが、糖質過剰摂取がその人の許容範囲を超えれば、AGEsがどんどん蓄積してしまいます。

自分の体がどれほどの糖質を安全に処理できるのかはわかりません。しかし、何か不調、症状を呈しているのであれば、恐らくすでに許容範囲を超えていると考えた方が良いでしょう。3食も糖質たっぷりの食事を摂取し、さらにその合間に糖質入りドリンクを飲んだり、糖質入りのスナックやスイーツなどを食べていたとしたら、AGEsが蓄積するのは当然でしょう。それが健康に害を及ぼすレベルまでに達するにはある程度の年月がかかるので、多くの人は問題が起きてから気づきます。いや、ほとんどの人は問題が起きても気づかないでしょう。まさか、医師や栄養士が勧める糖質が体に問題を起こすなんて思っていない人も多いでしょうからね。

糖質を代謝してエネルギーを得ること自体が、危険な方法です。解糖は危険で有害なエネルギー取得方法なのです。糖質をエネルギー源にすればするほどあなたの体は蝕まれていくのです。

このことを無視して、「糖質は重要な人間のエネルギー源だから、しっかり摂るべき」という専門家の話こそ無視するべきです。

糖質制限 糖質過剰症候群

「Aging, Alzheimer’s Disease and Dysfunctional Glycolysis; Similar Effects of Too Much and Too Little」

「老化、アルツハイマー病と機能不全の解糖; 多すぎると少なすぎるの同様の効果」(原文はここ

9 thoughts on “糖質をエネルギー源にすればするほど体は蝕まれていく

  1. 『マンガ認知症』(ニコ・ニコルソン/佐藤眞一)著者の祖母の認知症が描かれています。
    祖母は菓子パン大好き、勿論主食はご飯でおかずも「ご飯がすすむ」惣菜。
    うどんなどの麺類や芋類も頻繁に召しあがる。
    おやつは大福(認知症になってからは一パック平気で平らげ、食べた事忘れ更に要求)、
    煎餅、ミスドなどが大好物で、入院時のお見舞いはケーキでした。

    糖質制限実践の者からすると、同じような食生活のご家族の今後も気になりました。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      糖質三昧では認知症になっても不思議ではないですね。
      家族歴の一部は、家族なので同じような食習慣があることから起きていると考えています。

  2. 糖質が体、特に血管に対して悪いのは分かります。
    只、糖質を控えると、その分だけ脂質やたんぱく質からエネルギーを摂らないといけません。
    これによる弊害(例えば、たんぱく質の過剰摂取による腎機能への弊害など)をどうお考えでしょうか?
    これは私の個人的な体質かもしれませんが、快便を健康の証と考えていまして、糖質を摂った方がキレイでスルっとした便が出ます。
    逆にたんぱく質や脂質をたくさん摂ると軟便だったりします。

    1. 山崎さん、コメントありがとうございます。

      タンパク質が腎機能に悪いというのは、本当でしょうか?タンパク質の上限量は根拠が少ないので設定されていません。
      しかも糖質過剰摂取させたうえでの研究しか存在しません。私は糖質過剰摂取の方が高タンパクよりも腎臓に悪いと考えます。
      私は糖質制限で快便です。個人差かもしれませんね。ちょっとした食事の違いでも腸内細菌は変化すると思います。

  3. >何か不調、症状を呈している

    まず、これを感じることが難しいのではないかと思います。
    年齢的にはこんなもんだと思い込んでいることがたくさんあるように思います。

    私も糖質制限前は、非常に疲れやすくなっていましたが、体力がなくなってきたのも年のせいだと思い込んでいました。
    しかし、糖質制限を始めてからずいぶんと体力が回復し、趣味のスキーでも仲間から「最近、元気になったね」と言われるようになりましたから、自分の感覚だけではなく周りから見ても分かるくらいに変わったようです。

    さらに、9月からは糖質制限に加えてカロリーも制限(平均1600kcal/日程度)する実験を継続中ですが、皮膚の艶が良くなり、滑らかな肌に変わってきています。
    一旦、蓄積したAGEsは、なかなか除去できないと言われますが、黒ずみもなくなって透明感のある皮膚に変わりつつあります。そう言う場所が、部分的にでき、だんだんと全身に広がって行っているように見えます。
    まず体の中心部分から始まって、足の先の方へ、手の先の方へと中心から端の方に向かって広がって行っているように思います。
    皮膚の状態が良くなっていっているという事は、当然、内臓もよくなっているのだと思います。

    現代人は、糖質過剰に加えて食べすぎなのではないかと思えてきます。

    現在、59歳ですが、年齢のせいにしてきた事の大半は、食事が悪かったのだと思います。
    やはり体は良くも悪くも食べたものでできているのであって、食べたもの以外ではできないという事が身にしみてわかります。
    食事を変えれば、10年、20年若返ります。
    来年は還暦ですから、文字通り、人生の1週目の終わりです。このまま行けば、2週目も元気に暮らせそうです。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      多くの人は恐らく、年齢とともに体調など変化するのを、加齢性のものだと思い込み、諦めていると思います。
      しかし、私も糖質制限を始めてから30代よりも元気になってしまいました。

      私が現在食べすぎかどうかはわかりませんが、1日2食なので当然糖質過剰摂取時代よりはかなりのエネルギー摂取量ダウンとなっているはずです。

  4. >山崎さんへ

    私は糖質制限3年を過ぎたところですが、高蛋白、高脂肪食です。プロテインなどは使っていませんが、蛋白質は体重1kg当たり2g以上を摂取しています。特に強度な運動などもしているわけではなく、かなりの高蛋白食だと思います。
    山崎さんは、蛋白質、脂質を増やすと軟便になるとの事ですが、私は逆に少しですが便秘気味になります。
    さらに私の場合は、糖質制限でこむら返りが頻発するようになりました。

    これらの変化の違いは、腸内細菌の違いによるところが多いと思っています。
    こむら返りの原因として考えられるのはマグネシウム不足が考えられますが、改善策として食事に8g/日のフラクトオリゴ糖を加えるようにしていますが、私はマグネシウムサプリを摂取するよりもその方がこむら返りが解消します。
    フラクトオリゴ糖は血糖値には作用せず、腸内細菌の餌になりますから、腸内環境の改善によってマグネシウムの吸収率が上がり、こむら返りが解消したと考えています。

    蛋白質、脂質を多く摂ると軟便になるとの事ですが、感染症とかではなく、下痢になるのは基本的に摂取量が多すぎる場合に自然な体の反応として排泄して調整する場合です。
    どの程度の摂取で軟便になるのか分かりませんが、軟便にならない程度まで摂取量を少なくしてみてはいかがでしょうか。
    私は現在、1600kcal/日まで食事量を制限して体の変化を観察する実験中です。ただし、蛋白質はできるだけ多く摂るようにしています(体の大部分は蛋白質でできてますから)。
    標準量からは500kcal/日程度少ないですが、今のところ(4か月目)、特に問題なく、さらに体調がよくなっています。

    結局、現代人は糖質過剰かつ全摂取量も過剰なのではないかと考えています。
    人類の歴史的な経緯を考えると毎食、お腹いっぱい食べること自体に私は不自然さを感じます。
    食事を代謝すること自体、体にとってはストレス(例えば消化にエネルギーを消費する)だと思います。そのストレスと栄養を摂取する事の損益分岐点がどこかにあると考えています。

    以上、参考まで。

  5. YouTubeで「ダイエット」「筋力アップ」関連の動画を見ていると
    ほぼ皆さん「糖質は重要な人間のエネルギー源だから、しっかり摂るべき」と主張しています。
    必須アミノ酸と必須脂肪酸はあっても必須糖質は存在しないことを頑なに認めようとしないことに、
    根本的な違いがあることをつくづく実感します。

    糖質制限でも色んな考え方の方がいるので、自分でしっかりと見極めていくことが重要だと思います。
    自分の健康を人任せにしてはいけませんね^^;;;

    1. とくっちさん、コメントありがとうございます。

      所詮、YouTubeですから、有益な情報もあれば根拠のない有害な情報もあります。
      何を信じるかはその人の判断です。

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