心房細動と糖尿病およびインスリン抵抗性との関連

心房細動は心臓の心房が不規則に痙攣するように動き、それに伴い不規則な信号を出し、心臓の動き、脈は不規則となります。この不規則な不整脈の最も大きな問題は、血栓を作りやすくして、それが脳や他の部位に詰まってしまうことでしょう。

この心房細動は糖尿病やインスリン抵抗性が関係していると思います。

ある研究では、年齢別(18〜39歳、40〜64歳、65〜74歳、75〜100歳の4つの年齢層)の発生率比は2型糖尿病でそれぞれ、2.34、1.52、1.20、0.99でした。つまり、若い世代ほど糖尿病で心房細動を発症するリスクが高くなると考えられます。(ここ参照)

また、ある研究では中年の心房細動のリスクは身長、体重、BMI、体表面積の大きさと関連していました。参加者の平均年齢は46.3歳で、心房細動の診断時の平均年齢は、女性で68.6歳、男性で65.4歳でした。追跡期間はおよそ14~15年です。(表はこの論文より改変)

女性 男性
モデル1 モデル2 モデル1 モデル2
身長、cm Q1(<161) 1 1 Q1(<174) 1 1
Q2(161‐164) 1.23(1.09〜1.39) 1.15(1.02‐1.30) Q2(174‐177) 1.22(1.10‐1.35) 1.13(1.01‐1.25)
Q3(165‐168) 1.37(1.20〜1.55) 1.23(1.08‐1.40) Q3(178‐182) 1.36(1.24‐1.50) 1.16(1.05‐1.28)
Q4(≥169) 1.76(1.54‐2.00) 1.50(1.31‐1.72) Q4(≥183) 1.91(1.73‐2.12) 1.47(1.31〜1.64)
体重、kg Q1(<60) 1 1 Q1(<75) 1 1
Q2(60‐66) 1.23(1.06‐1.43) 1.13(0.97‐1.31) Q2(75‐81) 1.30(1.16‐1.44) 1.18(1.06‐1.32)
Q3(67‐74) 1.40(1.21〜1.63) 1.20(1.03‐1.40) Q3(82‐90) 1.45(1.31‐1.61) 1.24(1.11〜1.38)
Q4(≥75) 2.17(1.89‐2.49) 1.67(1.44‐1.93) Q4(≥91) 2.33(2.11‐2.58) 1.79(1.60‐2.01)
BMI <18.5 0.63(0.33‐1.22) 0.64(0.33‐1.24) <18.5 0.46(0.15‐1.43) 0.45(0.14‐1.40)
18.5〜24.9 1 1 18.5〜24.9 1 1
25.0〜29.9 1.18(1.06‐1.31) 1.14(1.02‐1.26) 25.0〜29.9 1.25(1.15‐1.35) 1.21(1.11‐1.31)
30.0〜34.9 1.58(1.39‐1.81) 1.43(1.25‐1.65) 30.0〜34.9 1.95(1.75‐2.18) 1.80(1.61〜2.02)
≥35.0 2.56(2.15‐3.05) 2.19(1.83‐2.62) ≥35.0 2.69(2.20‐3.28) 2.37(1.93‐2.90)
体表面積、m 2 Q1(<1.65) 1 1 Q1(<1.91) 1 1
Q2(1.65‐1.74) 1.37(1.19‐1.58) 1.36(1.18‐1.56) Q2(1.91‐2.01) 1.37(1.24‐1.52) 1.35(1.22‐1.50)
Q3(1.74‐1.84) 1.57(1.37‐1.80) 1.53(1.33‐1.75) Q3(2.01‐2.12) 1.68(1.52‐1.86) 1.63(1.47‐1.81)
Q4(≥1.84) 2.40(2.10‐2.73) 2.23(1.95‐2.55) Q4(≥2.12) 2.42(2.19‐2.68) 2.28(2.06‐2.53)

身長は別としても、体重やBMIなどが大きくなるほどリスクが高くなるのは糖質過剰摂取、インスリン抵抗性と関連していることを示唆しています。

さらに、同じアジアの韓国からの研究では、非糖尿病の人でのインスリン抵抗性との関連を示しています。この研究では平均年齢51.5歳の8,175人の成人を対象に平均12.3年追跡して、心房細動のリスクを分析しています。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図は横軸のインスリン抵抗性と縦軸の心房細動のリスクの比との関連を示しています。インスリン抵抗性を表すHOMA-IRが1~2付近で上昇し、1以下と2.5くらい以上で横ばいになっています。

 

上の図はHOMA-IRを1.4で区切ってそれ以上かそれ未満で心房細動の発生率がどうなるかを示しています。そうすると、HOMA-IRが1.4以上であると有意に心房細動の発生率は高くなっています。もともと少ないので、差は1%程度ですが。
予測因子 ハザード比 95%信頼区間 p
高HOMA-IR(≥1.4) 1.61 1.14〜2.29 0.007
年齢(5歳あたり) 1.32 1.21〜1.48 <0.001
男性 1.69 1.20〜2.39 0.003
身体活動(20–50 MET-h /日と比較して)
 低(<20 MET-h /日) 1.67 1.16〜2.41 0.006
 高(>50 MET-h /日) 1.61 0.82〜3.18 0.169

上の表は新たに発症する心房細動の予測因子です。年齢、男性、低身体活動とともに、1.4以上のHOMA-IRが有意にリスクを高くするようです。

ネズミの研究ではインスリン抵抗性が心房構造のリモデリングと細胞内カルシウム恒常性の異常の両方を引き起こして、心房細動が起きるという結果が報告されています。(ここ参照)

いずれにしても、糖質過剰摂取は様々な異常を引き起こします。インスリン抵抗性が起きて、インスリンのシグナル伝達の異常も起きると思われます。

心房細動が起きてしまうとずっと血液を固まりにくくする薬が必要になります。心房細動の予防のためにも糖質制限ですね。

糖質過剰症候群

「Association between insulin resistance and risk of atrial fibrillation in non-diabetics」

「非糖尿病患者におけるインスリン抵抗性と心房細動のリスクとの関連」(原文はここ

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