数年前はケトン体は体に有害だと言われていましたが・・・

糖質制限はケトン体が増加するのですが、数年前まで、ケトン体は体にとって有害だという医師もたくさんいました。しかし、時代は変わるものですね。いまやケトン体は体に有益な物質であるという考えの方が優勢となっているのではないでしょうか?もちろん情報が更新されていない医師もいるでしょう。(図は原文より)

 

上の図はケトン体が人間の様々な面での有益性を表したものです。ケトン体生成は肝臓が主ですが、それ以外にも腎臓や脳の星状細胞、腸でもわずかに生成されると言われています。

通常の条件下では、心臓のエネルギー源は脂肪酸であり、約40%から60%程度が脂肪酸からATPが作られます。興味深いことに心臓はわずかなブドウ糖しか消費しません。ケトン体血中濃度が高くなるとそれに比例してケトン体もエネルギー源となります。

しかし心疾患では代謝は変化し、初期段階でさえ、エネルギー源は脂肪酸からブドウ糖に切り替わります。心不全はこのような脂肪酸を利用する能力の低下が心筋エネルギー飢餓をもたらしているためではないかと考えられています。脂肪酸の酸化が減少している状況では、心臓の機能不全が代謝を再プログラムして、エネルギー源としてのケトン体への依存度を高めているようです。つまり、心不全をはじめとする心疾患で糖質過剰摂取は非常に危険な食事であると考えられます。

しかし、もしかしたら内因性のケトン体が生成されなくても、外因性、つまりサプリや薬剤としてのケトン体や注射によるケトン体があれば、血中のケトン体濃度が高まり、心臓などへのエネルギーを供給することが可能になるかもしれません。

現在糖質制限をせずにケトン体を増やす方法はMCTオイルくらいしかありません。患者さんにもMCTオイルを推奨する程度のことしかできません。ただ、人によってはお腹が緩くなることがあり、大量に摂取ができない場合もあります。しかし、薬剤としてケトン体が使用できるようになれば、医療が大きく変わる可能性があります。特に救急医療や集中治療などでケトン体が活躍するのではないかと思います。

せめてサプリメントとしてケトン体が日本でも早く使えるようになってほしいものです。

糖質過剰症候群

「Therapeutic Potential of Ketone Bodies for Patients With Cardiovascular Disease: JACC Focus Seminar」

「心血管疾患患者に対するケトン体の治療可能性:JACC フォーカスセミナー」(原文はここ

2 thoughts on “数年前はケトン体は体に有害だと言われていましたが・・・

  1. 私のケトン体の濃度とそれにより実感される感覚は以下のようなものです。

    昼食前のβヒドロキシ酪酸の計測(1月から現在まで36回)の平均は710μmol/L(MAX:2200μmol/L、MIN:200μmol/L)です。
    糖質制限食+朝食でコーヒーにMCTオイル15㏄を加えています。
    MCTオイルを摂取すると多少糖質が多くてもケトン体が増えることが多いですが、こうすれば必ず増えると言うような相関は得られておらず、予想に反して低い事も多いです。
    ただ、MCTオイルは多ければいいと言うものでもなく、私の場合は、MCTオイルを毎日摂取するのであれば15㏄以上摂取すると胃に負担がかかるようになります。

    感覚的なものになりますが、1200μmol/Lを超えていると非常に体が楽です。歩くのも足が軽く感じられます。
    ケトン体が多いと明らかに持久力が上がります。現在59歳ですが、体力的には10~15年以上若返ったように感じられます。
    糖尿病により、糖代謝がうまくできなくなってエネルギーが回らなくなっていたところを脂肪酸代謝に変えてエネルギーがうまく供給できるようになったためではないかと思います。
    ただ、瞬発力についてはあまり実感はありません。瞬発力を必要とする事象は日常生活では多くはないためかもしれません。

    また、私は過去に不安障害の薬物治療の経験があります(現在服用なし)が、これも糖尿病と同様に脳で糖エネルギーがうまく利用できなくなり発症したのではないかと考えています。
    脂肪酸代謝でケトン体が増えると脳へのエネルギー補給が増えるためか、不安感が減少するなど精神的な変化も感じます。

    以上のように肉体的、精神的に良い状態をキープするためにケトン体濃度をコントロールする事は、既に私の日常生活になっています。
    私は耳鳴りがすることが多いですが、今後の課題として、ケトン体濃度と耳鳴りの頻度、強度に注目したいと考えています。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      貴重な情報ありがとうございます。
      ケトン体濃度は恐らく、必要量、消費量などによっても血中濃度が変化するでしょうから、一概にいくつ以上あれば良いというのを
      決定することは難しいと思います。
      不安障害をはじめ多くの疾患にもケトン体の低下が関係していると思います。つまり、ケトン体がある程度の濃度血中に存在することが
      人間の初期設定だと思います。
      耳鳴りは血管との関連が大きいと思うので、一度起こした動脈硬化がどれくらい改善するかによっても違うかもしれませんね。

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