アジアではお米を食べる文化が定着しています。日本では白米を「主食」と呼んでいます。この「主食」という言葉は白米を食べる「べき」「必須」の食材だと勘違いさせるように感じます。
今回の研究はイランのものですが、イランの「主食」の一つも白米のようです。イラン人は、毎日のエネルギー摂取量の57%以上を炭水化物から、ほぼ完全に精製されたものから得ているそうです。穀物を含む糖質は血糖値を高め、インスリンとIGF-1などの分泌増加を招き、それらが腫瘍細胞の成長因子として作用する可能性があります。今回は米の接種量と脳のがんである、神経膠腫の関連を見ています。
ただ食事の摂取量は相変わらずアンケートによるものなので、話半分の質は低い研究です。
米の摂取量の三分位(T1:181g/日未満、T2:181〜279g/日未満、T3:279g/日以上)でグループ分けしました。米の摂取量が最も多い三分位の男性グループは、平均年齢が比較的若く、1日のエネルギー摂取量が多くなりましたが、女性の米の摂取のカテゴリーでは、年齢とエネルギー摂取量に有意差はありませんでした。(図は原文より、表は原文より改変)
米の摂取量の三分位 | |||
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T 1 (<181 g /日) | T 2 (181〜 <279 g /日) | T 3 (≥279g/日) | |
エネルギー(kcal /日) | 2365.89±705.98 | 2472.2±513.36 | 2848.17±674.11 |
栄養素 | |||
タンパク質(g/日) | 91.9±33.53 | 93.75±18.13 | 106.14±25.4 |
脂肪(g/日) | 62.72±20.02 | 64.15±18.73 | 67.04±22.97 |
飽和脂肪(g/日) | 19.41±7.03 | 20.39±8.61 | 21±9.75 |
炭水化物(g/日) | 376.52±127.05 | 398.31±97.13 | 470.79±112.04 |
カリウム(mg/日) | 4208.32±1491.47 | 4130.33±1155.75 | 4443.24±1051.8 |
カルシウム(mg/日) | 1090.83±389.06 | 1065.51±272.73 | 1135.53±323.76 |
セレン(mcg/日) | 0.06±0.04 | 0.06±0.03 | 0.08±0.04 |
ビタミンE(mg/日) | 5.43±2.65 | 5.39±2.71 | 5.64±3.15 |
ビタミンB6(mg/日) | 1.88±0.83 | 1.85±0.53 | 2.07±0.68 |
葉酸(mcg/日) | 385.37±405.57 | 336.61±71.17 | 386.79±129.42 |
ビタミンC(mg/日) | 134.88±69.27 | 124.8±34.98 | 150.65±147.77 |
食物繊維(g/日) | 22.51±16.43 | 20.93±8.63 | 25.69±12.87 |
食品グループ | |||
精製穀物(g/日) | 313.41±122.73 | 409±114.78 | 611.92±156.9 |
全粒穀物(g/日) | 163.65±112.5 | 166.9±104.91 | 147.31±114.54 |
白身の肉(g/日) | 30.17±29.08 | 31.77±10.79 | 33.35±15.11 |
赤身の肉(g/日) | 38.26±20.81 | 37.58±19.33 | 37.47±19.97 |
魚(g/日) | 9.81±13.04 | 7.82±7.86 | 9.72±9.04 |
果物(g/日) | 360.31±115.56 | 341.32±105.05 | 345.09±99.73 |
野菜(g/日) | 274.49±82.43 | 276.19±82.93 | 256.44±69.88 |
乳製品(g/日) | 350.04±127.88 | 347.78±105.7 | 322.62±129.44 |
マメ科植物とナッツ(g/日) | 47.18±18.64 | 43.45±21.58 | 41.92±18.42 |
砂糖入り飲料(g/日) | 80.96±67.004 | 79.31±58.63 | 85.51±75.74 |
硬化油(g/日) | 7.73±11.38 | 11.58±13.93 | 13.69±14.9 |
非水素化植物油(g/日) | 8.42±5.34 | 7.95±5.58 | 7.26±4.88 |
カフェイン | 906±431 | 814±300 | 919±335 |
上の図は様々な変数と神経膠腫の可能性についての分析です。米の摂取量が多いと2.46倍神経膠腫の可能性が高くなります。しかし、その他の栄養素は全て関連を認めていません。それ以外では仕事と、頭部外傷だけでした。
以前の記事「高血糖は脳腫瘍の生存期間を短くする」で書いたように、高血糖になると神経膠腫の中の膠芽腫(グリオブラストーマ)の生存率が低下します。
糖質はがんのエサです。今回の研究で、お米の量は炊いたあとの量だとすると、白米は1膳で約150gですから、1日2膳食べるとすでに今回の研究の最も多いグループの摂取量になってしまいます。日本の研究ではお米を食べるほど認知症のリスクが高くなるというものもあります。あなたの食べているお米があなたの脳を攻撃しているのかもしれません。
糖質過剰症候群
「The relationship between rice consumption and glioma: a case-control study in adults」
「米の消費と神経膠腫の関係:成人を対象としたケースコントロール研究」(原文はここ)
「お米は伝統的に日本人の健康を支えてきた健康食」と認識し、さらに啓蒙している 医療・保健関係者は多いと思います。
現在のように精白米や、座ってすごす時間が多い生活習慣は歴史的に見ればごく最近。 それらの生活習慣と同期するように糖尿病や認知症、その他諸々のいわゆる生活習慣病が
激増している状況。
医療・保健関係者には是非、そういう現実も啓蒙して欲しいものです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
国は農家を守るためにお米を推奨しているのでしょう。しかし、医療は何を守るために推奨しているか?
これ以上は言わない方が良いでしょう。
清水先生、いつもありがとうございます。
現在、糖質制限は脳機能を出来るだけ守るという思いでやっています。
周りの人が気づく肥満解消。私の手作りの弁当を見て、「糖尿病なのにそんなに食べて大丈夫なの。毎日、よく食べてるけど、痩せたし、他の病気もあるんじゃないの?」
自分たけですが、確実に分かる事。糖質制限前はいつも背中に、多数の吹き出物あり、脂ぎっていたのですが、今は一つもなく、サラサラでいつまでも触っていたい位です。
糖質制限の利点を、これだけ実感すると、当たり前にはなっていますが、、もう一つは感覚的な利点、脳機能の保護だと感じています。
感覚的なものでも、目覚めの良さはまだ実感できます。
一番なんとなく感じているのは、日々生活全般における高揚感だと思います。。前期高齢者の仲間入りしましたので、スキップするほどではありませんが。
老化で足腰が弱くなるとは言っても、動かしたり、衰えないように鍛えようとする意欲も、脳機能だと思いますので、とにもかくにも糖質制限ですね。
太田さん、コメントありがとうございます。
様々な変化素晴らしいですね。脳や神経の様々な症状は恐らくインスリン抵抗性からのエネルギー不足なんでしょうね。
ケトン体が日常的に産生されれば、症状が改善するのではないかと思います。
人間、何が悲しいかといったら理解力や判断力、表出力などのいわゆる認知機能が衰えることなのではないか、と感じます。
糖質を不用意に摂った翌日など、うまく頭が働かず、なんとももどかしい気分になって、これが実感出来ます。
糖質制限を基本原則に生きていきたいと思います。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
最近は糖質を不用意に多く摂ることがないのでわかりませんが、たまに糖質を摂取した場合、頭痛や頭の回転の低下など感じる人がいるようですね。
もちろん、糖質制限が原則でしょう。