糖尿病をインスリンで治療することはリスクがあると考えられています。しかし、医師の中にはインスリンを使えば有効に血糖値がコントロールできると思い込んでいる人もいます。インスリン抵抗性が起きている人にインスリンを投与するのは有害としか思えません。
今回の研究では40歳以上で心血管疾患がない非糖尿病および診断5年以内の2型糖尿病36万3,919人を対象としています。非糖尿病の対照群(34万8,152人)、インスリン未治療の糖尿病(1万4,397人)、インスリン治療による糖尿病(1,370人)に分類しています。
そして、平均して7.8年の間の心筋梗塞、脳卒中の発症、全原因死亡を分析しました。(図は原文より)
上の図は左から心筋梗塞、脳卒中、全原因死亡です。緑の線が非糖尿病、黄色がインスリン未治療、赤がインスリン治療群です。明らかに、インスリン治療群で心血管疾患の発症、死亡リスクが高いのがわかります。
非糖尿病と比較して、心筋梗塞が未治療群1.284倍、インスリン治療群2.344倍、脳卒中が未治療群1.435倍、インスリン治療群2.420倍、全死亡が未治療群1.135倍、インスリン治療群3.037倍と、いずれも有意なリスク上昇を示しました。インスリン治療群は3倍の死亡率です。
もちろん、インスリンを使わなければならないほど2型糖尿病が悪化しているから、死亡率も高いとも考えられます。しかし、恐らく多くの医師たちの中で、インスリンは有益な薬剤であるという考えがあると思います。血糖値が上がってしまうんだから、インスリンはそれを低下させるのに必要であり、有益である、という考えでしょう。しかし、インスリン抵抗性が起きている人では、そもそもインスリン感受性が非常に低いのです。新型コロナウイルスが流行する前の東京の朝のラッシュ時に超満員電車に人が詰め込まれていましたが、もう入らないのに無理やり押し込むような治療がインスリン抵抗性のある人に対するインスリン治療です。
アジア人はインスリン分泌量が少ないので、それを補うためのインスリン治療ならまだわかります。欧米人と比較してなぜアジア人でインスリン分泌能が低いのかはわかりませんが、アジアに渡ってきた人類はインスリン分泌が少ない方が有利であった何か要因があるかもしれません。そして、インスリン分泌能が少ない人では、その少ないインスリンで体の恒常性が保たれるようなメカニズムができているのではないかと思います。さらにそのような少ないインスリンでも問題ないような食事をずっとしてきたはずです。そうすると、そこに無理やり多くのインスリンを投与することが有益であるのかは疑問です。
しかし、そもそも論で考えると、高血糖になる食事をやめれば良いだけの話です。糖質制限をすれば問題のほとんどが解決するのではないでしょうか?
糖質過剰症候群
「Risk of early mortality and cardiovascular disease according to the presence of recently-diagnosed diabetes and requirement for insulin treatment: a nationwide study」
「最近診断された糖尿病の存在とインスリン治療の必要性に応じた早期死亡と心血管疾患のリスク:全国的な研究」(原文はここ)
確かに少し考えれば、インスリン抵抗性の方へ「治療」と称してインスリンを投与することは益より害が大きいことは明らか。医師の方々も勿論ご承知でしょうから、経営面優先、患者2の次なのでしょうか。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
インスリン抵抗性が高く、インスリンの効果が弱い場合は、さらにインスリンを増やすことが治療になってしまっています。
このことが害が大きいとは思っていない医師も多いのではないでしょうか?