以前の記事「耳たぶの斜めの線にご注意を」「耳たぶの斜めの線と脳血管障害」では冠動脈疾患や脳血管障害と耳たぶの斜めの線との関連について書きました。今回は認知症との関連です。
今回の研究では、認知障害の471人と認知機能正常の243人を対象に、MRIやPET検査の画像を分析しています。MRIの白質高信号やPETのアミロイドβといった認知障害にかかわる画像バイオマーカーを用いています。MRIの白質高信号は脳小血管疾患、PETのアミロイドβはアルツハイマー病での認知症で認められます。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は耳たぶの斜めの線の写真とMRIでの白質高信号の画像です。
上の図は耳たぶの斜めの線がある人の割合です。DELC =耳たぶの斜めの線、CN =認知的に正常、MCI =軽度認知障害、ADCI =アルツハイマー病に関連する認知症、SVCI =皮質下血管性認知症です。認知障害がある人の方が耳たぶに斜めの線が入っている割合が多くなっています。
単変量分析 | 多変量解析 | |
---|---|---|
オッズ比(95%CI) | オッズ比(95%CI) | |
正常 | 1 | 1 |
認知障害 | 1.85(1.35–2.53) | 1.57(1.13–2.17) |
正常 | 1 | 1 |
軽度認知障害 | 1.63(1.14–2.34) | 1.37(0.94–2.00) |
認知症 | 2.10(1.46–3.03) | 1.81(1.24–2.65) |
正常 | 1 | 1 |
アルツハイマー病型認知症 | 1.30(0.92–1.84) | 1.23(0.86–1.76) |
皮質下血管性認知症 | 3.11(2.09–4.63) | 2.38(1.56–3.63) |
耳たぶの線は軽度認知障害よりも認知症でより起こりやすく、正常よりも軽度認知障害でより起こる可能性が高くなりました。DELCは、アルツハイマー病関連認知症よりも皮質下血管性認知症でより起こりやすく、正常よりもアルツハイマー病関連認知症でより起こる可能性が高くなりました。血管性認知症では正常の2倍以上起こる可能性が高くなっていました。
単変量分析 | 多変量解析 | |
---|---|---|
オッズ比(95%CI) | オッズ比(95%CI) | |
WMH- /Aβ-グループ | 1 | 1 |
WMH- /Aβ+グループ | 2.39(1.24–4.61) | 2.94(1.39–6.20) |
WMH+ /Aβ-グループ | 4.31(2.23–8.32) | 3.29(1.59–6.82) |
WMH+ /Aβ+グループ | 7.29(3.63–14.63) | 7.32(3.35–16.01) |
上の表は画像の所見で、白質高信号(WMH)とアミロイドβ(Aβ)の組み合わせで耳たぶの斜めの線の存在の可能性がどれほど高くなるか分析したものです。白質高信号とアミロイドβの両方ともが認められない人と比較して、両方とも認める人では7倍以上も耳たぶの斜めの線がある可能性が高くなりました。
いずれにしても、耳たぶに斜めの線が認められたら、かなり動脈硬化が進んでいる可能性があるでしょう。すぐにでも糖質制限をした方が良いと思います。
糖質過剰症候群
「Diagonal Earlobe Crease is a Visible Sign for Cerebral Small Vessel Disease and Amyloid-β」
「耳たぶの斜めの線は、脳小血管疾患とアミロイドβの目に見える兆候である」(原文はここ)