80g程度の砂糖を追加するだけで肝臓の脂肪の生産は2倍になる

糖質過剰摂取で脂肪生成が増加することはわかっていますが、適度な量ではどうでしょうか?まあ、糖質制限をしていると「適度」というのは存在しないように思えますが、通常の食事を摂っている人にとって「適度」というのを考えてみましょう。

今回の研究では、1日80gの糖質です。80gの様々な糖質を増加させるだけでどうなるでしょうか?

BMIが平均21.8の94人の健康な男性(18〜30歳)を対象として、様々な糖質を摂取するグループに分けました。コントロールは糖質入りドリンクは飲みませんでした。ドリンクは果糖、砂糖、またはブドウ糖のいずれか100mlあたり13.3gを含む200mlのドリンクを1日3回(1日80g)飲みました。期間は7週間です。(図は原文より)

エネルギー摂取量はベースラインとドリンクを飲んでいるときとでは変化はありませんでした。もちろん、糖質摂取量は増加しました。平均体重と体脂肪率は、すべてのグループでドリンク摂取期間に増加する傾向がありましたが、ブドウ糖ドリンクのみ有意差がありました。

上の図はドリンク開始後6週間後の新たに合成されたパルミチン酸塩および新たに合成された中性脂肪を含むVLDL-TAGの分泌率(FSR)です。つまり肝臓によって生成された脂肪酸がどれくらいかを示しています。コントロールと比較して、果糖と砂糖ドリンクグループは約2倍でした。新しく合成されたVLDL-TAGの基礎分泌を変化させませんでした。

大きくてふわふわしているLDLは、すべてのドリンクグループの7週間で減少する傾向がありました。この減少は砂糖ドリンク群で有意であり、大きなLDL粒子(サブグループI)が13%以上減少しました。同様に、小さな密度の高いLDL(sdLDL)は、すべてのグループで増加する傾向がありました。増加は砂糖ドリンクグループで有意でした(サブグループIIIa)。

肝臓での脂肪合成の増加は脂肪肝やインスリン抵抗性をもたらすと考えられています。

糖質の中でもブドウ糖は比較的内臓脂肪ではなく、皮下脂肪になりやすいと思われます。しかし、果糖と組み合わされた砂糖や果糖そのものは肝臓をはじめ内臓脂肪になりやすいのでしょう。

以前の記事「果糖はその他の糖質よりも肝臓の脂肪を短期間で増加させる」で書いたように、たった9日間でも果糖で肝臓の脂肪は大きく増加します。

スタバの何とかフラペチーノのトールを1杯飲むと30~50g程度の糖質量です。糖質の種類はわかりませんが、果糖を多く含む異性化糖か砂糖でしょう。期間限定の「さくら咲いた ベリー フラペチーノ」は驚異の77.6gもの糖質が入っています。恐ろしい。こんなもの販売しても良いのでしょうか?これを飲めば肝臓の脂肪合成が2倍になっているかもしれません。

糖質過剰症候群

「Fructose- and sucrose- but not glucose-sweetened beverages promote hepatic de novo lipogenesis: A randomized controlled trial」

「グルコースではなくフルクトースおよびスクロースで甘くした飲料は肝臓のde novo脂質生成を促進する:ランダム化比較試験」(原文はここ

4 thoughts on “80g程度の砂糖を追加するだけで肝臓の脂肪の生産は2倍になる

  1. 休日はスタバやマックのドライブスルー渋滞を見かけます。
    そんなにまでして病気になりたいのでしょうか。
    日本の医療費が心配になります。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      当然多くの人は病気になりたくはないけど、糖質も摂りたいのでしょう。糖質過剰摂取にどっぷりつかっていると脳が糖質を欲してしまっていますから。

  2. 清水先生も視聴されたであろう、映画『あまくない砂糖の話』を思い出します。

    ncbi.nlm.nih.gov に収録されている論文、

    * 『Association between type, amount and pattern of carbohydrate consumption with dental caries in 12-year-olds in Puerto Rico』

    * 『Added Sugar and Dental Caries in Children: A Scientific Update and Future Steps』

    では、「砂糖は虫歯の原因になる」と結論付けています。

    私は炭水化物を制限するようになってから、虫歯がほとんどできなくなりました。
    先日、歯医者さんで定期診療(歯の清掃です)を受けていて、「砂糖こそは虫歯の原因ですよね?」と尋ねたら、担当の先生から「砂糖を食べていても、ちゃんと歯磨きをしていれば、虫歯にはなりません」という趣旨の返事が返ってきました・・・。

    「虫歯になるのは本人の努力不足。砂糖は悪くない」と言われたような気分です。
    少々失望中です。歯科医を変えたほうが良いでしょうか?

    砂糖は紛う方なき「毒物」ですよね?

    1. クリードンさん、コメントありがとうございます。

      歯科医も医師も患者がいなくなれば困ります。虫歯も糖尿病も、一部を除き糖質過剰摂取を続けさせるのが現状でしょう。
      そして、おっしゃる通り、虫歯になったり糖尿病が改善しないのは患者の努力不足とする医師も多いかもしれません。

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