小さな危険なLDL(sdLDL)コレステロールと冠動脈心臓病のリスク

LDLコレステロールは一般的には悪玉と考えられていますが、LDL自体は重要なものであり、全てが悪玉ではありません。LDLの小さな粒子である、小さな危険なLDL(sdLDL)は心血管疾患のリスク因子と考えられています。ただ、このsdLDLそのものが、ただ小さいからという理由でアテローム発生を促進するわけではありません。小さいと言っても血管壁をすり抜けるほど小さいわけではないからです。

sdLDLが悪さをするというよりも、sdLDLが増加している体の状態が、アテローム発生性なのです。sdLDLは糖質過剰摂取で増加します。

今回の研究では日本人の40歳以上の心血管疾患のない3,080人の参加者を8年間追跡したものです。sdLDLコレステロールの値によって4つのグループに分けたました。Q1:≦24.4mg/dL 、Q2:24.5〜32.8mg/dL、 Q3:32.9〜43.6mg/dL、Q4:≧43.7mg/dL です。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図は冠動脈心臓病の累積発生率です。sdLDLがもっとも低いQ1と比較すると、最も高いQ4では6倍以上も高くなりました。

血清sdLDLコレステロール値、mg/dL
Q1 Q2 Q3 Q4
≤24.4 24.5〜32.8 32.9〜43.6 ≥43.7
年齢および性別で調整された発生率(1,000人年あたり) 1.04 3.37 4.67 5.58
ハザード比(95%CI)
    年齢と性別を調整 1.00 3.34(1.32–8.44) 4.55(1.85–11.20) 6.53(2.67–15.95)
    モデル1 1.00 3.18(1.25–8.09) 4.15(1.66–10.40) 5.41(2.12–13.82)
    モデル1+LDLコレステロール 1.00 2.75(1.06–7.14) 3.22(1.20–8.64) 3.76(1.28–10.99)
    モデル1+中性脂肪 1.00 3.06(1.19–7.84) 3.93(1.54–10.02) 4.90(1.78–13.43)
    モデル1+ log hs-CRP 1.00 3.23(1.27–8.21) 4.21(1.68–10.55) 5.55(2.17–14.20)
    モデル1+log HOMA-IR 1.00 2.95(1.16–7.50) 3.93(1.57–9.85) 4.80(1.87–12.33)
    モデル2 1.00 3.04(1.20–7.68) 3.97(1.60–9.83) 4.85(1.94–12.12)

上の表は様々な調整を行った時のリスクです。実はsdLDLの値で4つのグループに分けると自ずと様々な検査の数値が差が出ます。その調整を行ったモデルで比較したものです。

モデル1:年齢、性別、収縮期血圧、降圧薬の使用、ヘモグロビンA1c、血糖降下薬の使用、HDLコレステロール、脂質低下薬の使用、BMI、推定糸球体濾過量、心電図異常、現在の喫煙、現在の飲酒、および定期的な運動を調整。

モデル2:年齢、性別、ヘモグロビンA1c、HDLコレステロール、心電図異常、および定期的な運動を調整しました。

いずれもsdLDLが増加するとリスクが高くなっています。

血清sdLDLコレステロール値、mg/dL
Q1 Q2 Q3 Q4
≤24.4 24.5〜32.8 32.9〜43.6 ≥43.7
年齢および性別で調整された発生率(1,000人年あたり) 1.01 2.38 4.38 5.51
ハザード比(95%CI)
    年齢と性別を調整 1.00 2.46(0.87–7.01) 3.92(1.45–10.63) 6.56(2.49–17.28)
    モデル1 1.00 2.46(0.86–7.02) 3.50(1.27–9.66) 5.25(1.90–14.48)
    モデル1+LDLコレステロール 1.00 1.97(0.67–5.76) 2.41(0.81〜7.11) 3.06(0.96–9.73)
    モデル1+中性脂肪 1.00 2.45(0.85–7.06) 3.50(1.24–9.86) 5.27(1.77–15.75)
    モデル1+ log hs-CRP 1.00 2.52(0.88–7.21) 3.59(1.30–9.91) 5.51(1.99–15.23)
    モデル1+log HOMA-IR 1.00 2.29(0.80–6.54) 3.31(1.20–9.13) 4.74(1.71–13.15)

上の表はスタチンなどの脂質低下の薬を飲んでいる人を除いたものです。Q2で有意差が無くなり、LDLコレステロール値の調整ではすべてが有意差がなくなりました。どうやらLDLコレステロール値はそれほど関係ないようです。次の図を見てみましょう。

上の図は縦軸がリスク比、横軸がLDLコレステロール、Z軸がsdLDLです。sdLDLが32.9未満であれば、LDLコレステロールが120以上でも以下でも差はありません。しかしsdLDLが32.9以上ではLDLコレステロールの値に関係なくリスクは2倍以上です。つまり、LDLコレステロール値が正常範囲においてもsdLDLが高ければリスクは非常に高いのです。LDLコレステロールが低いからと言ってリスクが低いとは全く言えないのです。

冠動脈心臓病のリスクを検知するためのsdLDLのカットオフ値は35mg/dLで、それ以上の人では前述の交絡因子を調整した後、発症リスクが2.09倍になりました。

通常ではsdLDLコレステロールは測定することはありませんが、糖質制限をしていればかなり低値だと思われます。測定法によってもかなり値に違いがあるでしょう。この研究で使っている方法はsdLDLが高めに出ている可能性があります。

いずれにしてもsdLDLが高くなるような状態を作らないようにすべきでしょう。糖質制限をすれば恐らくはsdLDLはLDLの数%までに収まるのではないかと思います。逆に中性脂肪が高く、HDLコレステロールが低い場合にはsdLDLの割合がかなり高くなるのではないかと思います。

心血管疾患は糖質過剰症候群です。基本はやはり糖質制限でしょう。

 

「Small Dense Low-Density Lipoprotein Cholesterol and the Risk of Coronary Heart Disease in a Japanese Community」

「日本のコミュニティにおけるsdLDLコレステロールと冠動脈心臓病のリスク」(原文はここ

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