正常体重のメタボが最も死亡率が高い?

これまでも肥満に対して様々なリスクがあることを書いてきましたが、正常体重であれば問題ないわけではありません。正常体重なのにメタボリックシンドロームであることは、恐らく筋肉量も少ないであろうし、内臓脂肪が非常に多い状態が考えられます。

アメリカのCDCから非常に興味深い研究が発表されています。代謝的に健康な肥満よりも、メタボリックシンドロームの正常体重の人の方が死亡率が高いという結果が示されました。

今回の研究では標準的な定義に従って、BMIに基づいて3つの体重グループに分類しました。正常体重(BMI18.5〜<25.0)、過体重(25.0〜<30.0)、肥満(≧30.0)です。さらに、参加者がメタボリックシンドロームの基準を満たしているかどうかに応じて、各体重グループを2つのグループに分けました。メタボは次の5つの基準のうち3つ以上を満たしているものです。中心性または腹部肥満(男性腹囲>100cm、女性腹囲>89cm)、中性脂肪≧150mg/dL、HDLコレステロール(男性<40mg/dL、女性<50mg/dL)、血圧≧130/85mmHg、空腹時血糖値≧100mg/dL。

つまり、メタボの基準の2つまでなら代謝的に健康とみなされてしまいます。分析できたデータは最終的に12,047人分でした。メタボの有病率は、肥満群で61.6%、過体重群で33.2%、正常体重群で8.6%でした。また、メタボのあるグループは、一般的に、メタボのないグループよりも年齢が高く、教育水準が低く、身体的活動が少なく、収入が少なく、喫煙率が高くなっていたので、比較するグループの背景が大きく違っている可能性もあります。まあ、それを承知の上で、死亡率を見てみましょう。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図は死亡率です。上から順に正常体重メタボ、過体重メタボ、肥満メタボ、メタボなし正常体重、メタボなし過体重、メタボなし肥満です。メタボなしの3つのグループは大きな差はありませんが、メタボありの場合肥満よりも正常体重の方が死亡率が大きく増加しています。

 
変数正常過体重肥満
メタボなしメタボメタボなしメタボメタボなしメタボ
未調整のハザード比(95%CI)1.004.61(3.20–6.64)1.00(0.80–1.25)2.50(1.92–3.25)0.94(0.65–1.35)1.73(1.40–2.13)
年齢および性別で調整されたハザード比(95%CI)1.001.71(1.19–2.46)0.93(0.75–1.15)1.13(0.88–1.45)1.06(0.76–1.46)1.24(1.02–1.52)
多変量調整済みハザード比(95%CI)1.001.70(1.16–2.51)0.99(0.77–1.28)1.10(0.85–1.421.08(0.76–1.54)1.30(1.07–1.60)

メタボなし正常体重と比較するとメタボのある正常体重の死亡リスクは1.7倍、メタボあり肥満では1.3倍でした。

上の図は正常体重メタボなしとの比較での原因別死亡リスクです。左から全原因死亡、心血管疾患死亡、がん死亡です。左から正常体重メタボ、過体重メタボなし、過体重メタボ、肥満メタボなし、肥満メタボと並んでいます。

合計985人の死亡のうち、184人(16.2%)が心血管疾患によるもの、233人(25.9%)ががんによるものでした。心血管死亡率、正常体重メタボグループでのみ有意でリスクが2.12倍でした。がん死亡率は、過体重メタボグループが1.86倍および肥満メタボグループ1.91倍でした。

今回の研究で、BMIを使用して肥満かどうかの判定をしていますが、脂肪率がどうかは全くわかりません。肥満はもちろん様々なリスクが高いですが、それよりもメタボの基準を3つ以上も満たすことの方がリスクが高いことになります。しかし、メタボの基準もこれが十分なのかはわかりません。私はインスリン抵抗性(インスリン感受性)を指標に入れることが必要なのではないかと思います。もちろん中性脂肪とHDLがその代用だと思いますが。

正常体重でメタボの基準の3つ以上を満たすのはかなり代謝的に大きな問題を抱えていることになります。例えば腹囲が満たしているとすると、相当な内臓脂肪量です。中性脂肪やHDL、空腹時血糖値も大きな意味のある検査だということにもなります。

メタボがない肥満や過体重が今回では正常体重と同様のリスクでしたが、代謝的に健康である肥満は一時的である可能性があります。

以前の記事「「健康な」肥満は幻想かもしれない」で書いたように、代謝的に健康な肥満は代謝的に健康な正常体重よりも冠動脈性心疾患のリスクや心不全のリスクが高くなります。

つまり、体重だけで考えてもダメで、代謝的な健康も考えないとダメだということです。太っていないから大丈夫だと思っているポッコリお腹の人は非常に危険な状態かもしれません。

糖質過剰症候群

「The Influence of Metabolic Syndrome in Predicting Mortality Risk Among US Adults: Importance of Metabolic Syndrome Even in Adults With Normal Weight」

「米国の成人の死亡リスクの予測におけるメタボリックシンドロームの影響:正常体重の成人でもメタボリックシンドロームの重要性」(原文はここ

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    「小太りの方が健康」と主張されていた某ドクターが体調崩され、スクワットなどの運動推奨本を出されました。 今更感がありますが、、、

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      全体的な皮下脂肪の小太りと内臓脂肪の小太りでは違いはあるでしょうね。