東洋経済オンラインでは、江部先生の糖質制限の記事を載せたり、糖質制限反対派の記事を載せたりしています。どちらの側にも付いているわけではないのでしょうけど、どちらが正しいかは雑誌社が決めることではなく、読む側が決めれば良いので、両方の意見が載っていても良いと思います。
久しぶりに糖質制限反対派の記事が載ったように思います。しかしその記事は以前見たような…。そして相変わらず糖質制限をダイエット法のような扱いです。(記事はここ)
記事の出だしはいきなり次のような見出しです。
「体重は減っても死亡率が上がってしまう」
糖質制限は体重は減っても死亡率が上がってしまうなんて、恐ろしいですね。この記事の著者が根拠としているのは、ランセットの論文です。以前の記事「糖質を制限すると寿命が縮まる? 冗談のような研究」で書いた非常に質の低い論文です。この論文を持ち出す人は中身を読んでいないのではないかと思ってしまいます。
彼は著書でエビデンスレベルについて述べており、エビデンスが高い論文でないと意味がないようなことを言及しています。エビデンスレベルが最も高いのはシステマティックレビューやメタアナリシスと言われています。その意味ではこの根拠となる論文は問題ないですが、そもそものデータの質については大きな問題があるのです。データの信ぴょう性が低いのに、メタアナリシスだからエビデンスが高いというのは大きな間違いです。(図はこの論文より)
この論文のデータの何がダメなのでしょう。
炭水化物が最も少ない群と最も多い群を比較すると、なぜか炭水化物が最も少ない群の方が男性が非常に多く、BMIも高く、糖尿病の割合も高く、喫煙者の割合も高く、身体活動は少ないのです。比較している集団があまりにも炭水化物の量以外の因子が違い過ぎています。あまりにも炭水化物が最も少ない群が不健康な集団です。これでは勝負になりません。
さらに、全ての群のエネルギー摂取量は1600kcal前後です。アメリカ人の摂取エネルギーがたった1600kcalというのはあり得ない数値です。ものすごい過少申告した食事アンケートに基づいた質の非常に低いデータを分析しているのです。さらに、この研究の食事のアンケートは、25年間も追跡しているのに、その間にたった2回しか行っていません。また、この研究の最も少ない群の平均は炭水化物は37%です。通常の糖質制限の糖質量を大きく上回ったものです。
そんなことには一切言及しないで結果だけを用いて糖質制限を否定しているのです。
玄米や全粒粉のような「精製されていない茶色い炭水化物」推しの彼ですが、確かに白米よりは玄米の方がやや血糖値の上昇は少ないですが、健康的とはほど遠い血糖値スパイクを示します。(「フリースタイルリブレを使った人体実験 その21 玄米を食べてみた」参照)インスリン分泌についても調理の状態、ちょっとだけ精米してしまった玄米など条件によって異なる可能性がありますし、個人差も大きいでしょう。(「玄米と白米での血糖値、インスリン分泌を比較すると?」参照)
3年前と何ら変化のない記事ですね。まだ突っ込みどころがあるので次回以降で書きたいと思います。
糖質過剰症候群
論文などに対する自身の洞察力の不足、あるいはお金にさえなればどんな記事でも書いて売るという詐欺師的資質を公けにしているようなものですね。
この記事を記載されて方々は。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
本人は本気でこのような論文を信じているかもしれません。本人にしかわかりませんが。
>最も少ない群の平均は炭水化物は37%
糖質制限の効果が得られるのは「糖質が少ない」のでそれによるダメージ(糖化)が少ないと言う事もありますが、ケトン体が産生され脂質代謝に変わることの方が大きいと感じています。
炭水化物37%では、ケトン体は産生されません。糖代謝のままでは糖質制限とは言えないでしょう。
メインが糖エネルギーのままなのに糖の摂取を減らせばエネルギー不足ですから当然、痩せます。エネルギー不足で寿命が縮まるのもうなずけます。
糖質制限で失敗する人の多くは脂質代謝にならない程度の糖質制限しかしていない事が多いように思います。
エネルギー比率で糖質10%前後まで制限しないと常に脂質代謝と言う状態にはならないでしょう。
中途半端な糖質制限(ケトン体を産生しない程度の制限)を長期間実践する事は、かえって体に悪いのではないかと私は考えています。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
仰る通り、中途半端な糖質摂取量減少ではほとんど効果はないと思います。
ケトン体は非常に重要なファクターですね。