高齢者ではコレステロールが急に低下してきたら寿命が近いかもしれない

心血管疾患はコレステロールが高いとリスクが増加すると一般的には考えられています。80歳以上になってもスタチンを投与されてしまっている高齢者も多いと思います。高齢者では心血管疾患の頻度も増加するでしょう。しかし、様々な研究ではコレステロールが高い方が長生きであるという結論を出しています。

今回の研究では、80〜105歳の高齢者99,758人を対象に、総コレステロール値と生存率について分析しています。(図は原文より)

上の図は上の方がスタチン処方なしの人、下がスタチンを飲んでいる人の生存率です。総コレステロール値により色付けされており、単位は日本のものではないので、38.7をかけると日本の単位になります。最も生存率が高いのはスタチンの有無にかかわらず5.5mmol/L(213mg/dL)以上に人です。ちなみに総コレステロールの基準値は150~219mg/dLです。つまり上限ギリギリまたはそれ以上のコレステロールの方が長生きです。そして生存率が最低なのは3mmol/L(116mg/dL)未満の人です。スタチンの有無にかかわらず、最も総コレステロールの低いグループは2倍の死亡リスクがありました。フレイルや併存症などで調整しても40%〜50%高い死亡率でした。

 

上の図はスタチン使用中(右)、またはスタチンなし(左)における死亡前(赤)または研究終了前(青)の60ヶ月間の総コレステロールの軌跡です。つまり青い人は研究終了時でまだ生きている人です。高齢者では年月とともに少しずつコレステロールが低下しています。しかし、亡くなる人では最後の1~2年ほど急激に低下しています。生存している人ではこのような急激な低下は認めていません。

そうすると急激なコレステロールの低下(急激と言っても1年で10mg/dL程度)は寿命が近いことを意味するのかもしれません。高齢者であえてコレステロールを下げる意味があるのか?疑問です。80歳以上では総コレステロールが213mg/dL以上あった方が良いかもしれませんね。不必要な薬はどんどん減らしましょう。

 

「Trajectory of Total Cholesterol in the Last Years of Life Over Age 80 Years: Cohort Study of 99,758 Participants」

「80歳以上の人生の最後の年における総コレステロールの軌跡:99,758人の参加者のコホート研究」(原文はここ

2 thoughts on “高齢者ではコレステロールが急に低下してきたら寿命が近いかもしれない

  1. コレステロールを下げる・減塩、は無条件に健康的生活の合言葉になっていますね。
    (糖質を控えるほうが現代人の健康にはより必須と思われますが。)

    もしかしてかの「医師会」が流布に一役買っていらっしゃるのでしょうか?            

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      一度洗脳が成功すれば、あとは自然と流れていきます。
      洗脳を解くのは非常に難しいです。

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