新型コロナウイルス重症化と基礎疾患

新型コロナウイルス感染による重症化、死亡は基礎疾患があるとリスクが増加すると言われています。アメリカの悲惨な状況はこの基礎疾患を持つ人がものすごく大量に存在しているからかもしれません。

今回はアメリカの新型コロナウイルス感染で、2020年3月から2021年3月までの18歳以上の入院患者を分析したものです。540,667人が対象です。

基礎疾患は様々なものがありますが、94.9%が少なくとも1つの基礎疾患を持っていました。249,522人(46.2%)がICUに入院し、76,680人(14.2%)が人工呼吸を受け、80,174人(14.8%)が死亡しました。(図は原文より)

上の図は持っている基礎疾患の数、性別、年齢別でのICU入院、人工呼吸、死亡の割合を示しています。人工呼吸となった人で基礎疾患がゼロだったのはたった1.5%であり、死亡した人の中で基礎疾患がゼロなのはたった0.9%でした。基礎疾患が1つ以上ある人の中で人工呼吸となったのは14.7%、死亡は15.5%でした。基礎疾患がゼロの人が人工呼吸になったのは4.3%、死亡は2.7%でした。基礎疾患が10個以上という強者は人工呼吸が17.7%、死亡は21.6%でした。

上の図は持っている基礎疾患の割合です。基礎疾患は本態性高血圧(50.4%)、脂質代謝障害(49.4%)、肥満(33.0%)、合併症を伴う糖尿病(31.8%)、および冠動脈アテローム性動脈硬化症およびその他の心臓病(24.9%)が最も一般的でした。

相対的な死亡リスクは、肥満で30%高く、不安および恐怖関連障害で28%、合併症を伴う糖尿病で26%、慢性腎疾患で21%、認知症やアルツハイマー病などの認知障害で18%、慢性閉塞性肺疾患および気管支拡張症で18%、再生不良性貧血で17% 、冠動脈アテローム性動脈硬化症およびその他の心臓病で14%、甲状腺機能低下症を含む甲状腺障害で4%高くなっていました。

意外なことに、全体でみると合併症のない糖尿病や高血圧は死亡リスク増加と関係していません(むしろ低下)でした。

上の図は年齢別の基礎疾患と重症化リスクについてです。18~39歳で最も頻度が高い基礎疾患は肥満、糖尿病、高血圧で、死亡リスクが最も高いのは肥満で120%増加でした。糖尿病は合併症がある場合は84%増加でしたが、合併症がない場合は死亡リスクは増加せず、ICU入院のみ13%増加でした。

40~64歳でも最も頻度が高い基礎疾患は高血圧、糖尿病、肥満で、肥満が最も死亡リスクが高く、その次は合併症のある糖尿病でした。

65歳以上では最も頻度が高い基礎疾患は、脂質代謝障害、高血圧、糖尿病、冠動脈アテローム性動脈硬化症で、死亡リスクが高いのは栄養失調、不安と恐怖関連障害、肥満、合併症のある糖尿病でした。

上の図は基礎疾患の数と重症化、死亡のリスク比です。基礎疾患がゼロの人比較して、基礎疾患がある人の死亡リスクは、基礎疾患が1つの場合は1.53倍、2~5個の場合は2.55倍、6〜10個で3.29倍、10個を超える場合は3.82倍でした。人工呼吸のリスク比は、基礎疾患1つで1.57倍、10を超える場合には4.47倍にもなりました。ICU入室のリスク比は、基礎疾患1つで1.32倍、10を超える場合では1.96倍でした。

基礎疾患を見るとほとんどが糖質過剰症候群です。基礎疾患の一つ一つはそれほどのリスクではないのかもしれませんが、糖質過剰摂取は様々な症状、疾患を合併します。糖質過剰摂取では疾患のオンパレードになることが多く、肥満、糖尿病、高血圧、腎障害、胃食道逆流、認知症、睡眠障害、うつ病、変形性関節症、脂質異常症、冠動脈アテローム性動脈硬化症など何でも起こり得ますし、いくつも併発します。基礎疾患がそれぞれ別に起きているのではなく、同じ原因、つまり糖質過剰摂取から起きていることが非常に多いと思われます。

基礎疾患の数は糖質過剰症候群のレベル、程度を表しているとも言えます。

基礎疾患というものをもう一度見直さなければならないと思います。個々の疾患の治療だけではなく根本の改善が必要です。重要なのはワクチンや治療薬ではなく、毎日の体の状態、免疫機能の維持です。日々の、毎回の食事が人間の体を作り、免疫に大きな役割を果たします。それを疎かにしていれば、ウイルスに攻撃されて重症化したり死んでしまったりする可能性が高くなるのです。基礎疾患がある人は気を付けて、というよりも、その場からできる、日々の食事を変えて基礎疾患を改善する方向に持っていくべきでしょう。

新型コロナウイルスに限らず、多くの疾患は糖質過剰摂取と関連しているだけでなく、糖質過剰摂取が原因であることも少なくないでしょう。

毎日の糖質制限で免疫機能を維持しましょう。

 

「Underlying Medical Conditions and Severe Illness Among 540,667 Adults Hospitalized With COVID-19, March 2020–March 2021」

「COVID-19で入院した540,667人の成人の根本的な病状と重篤な病気、2020年3月から2021年3月」(原文はここ

4 thoughts on “新型コロナウイルス重症化と基礎疾患

  1. おはようございます。いつも楽しみに拝見してます。

    映画『甘くない砂糖の話』や『スーパーサイズミー』での警鐘が現実化してしまったの
    でしょうかね。

    ところで、初めて3日間(トータル72時間)断食してみましたら、体軽く、体調いいです
    (岩塩や水分、ココナッツオイルやバターコヒーは摂取。筋トレ/ヨガ/ランニング継続。)
    今後も、拒食症にならない程度にやってみます。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      『甘くない砂糖の話』や『スーパーサイズミー』を地上波で放送すると面白そうですが、
      スポンサーがつかないかもしれませんね。
      断食で拒食症にはならないと思います。拒食症は別のベースがあるはずですから。

      1. 本当にその通りだと思います。
        テレビでは基本的なコロナ対策ばかり喚起していますが、それよりも大事なのは感染しても重症化しないカラダ作りだと思います。
        糖質制限で多くの基礎疾患が改善されるならやらない手はないですね。

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