赤ちゃんにとっては糖質は鎮静剤レベル?

新生児のMRI検査は鎮静が必要です。途中で動くと画像が撮れないからです。ちなみにMRI装置の世界での人口当たりの台数は日本がダントツの1位です。

最近は、と言ってもかなり長い間、新生児に鎮静をする機会もなくなったので、今何を鎮静剤として使っているのかはよく知りません。ドルミカム(ミダゾラム)かケタミン、プロポフォール、トリクロなどでしょうか?

鎮静剤として有名なミダゾラムですが、新生児に対する鎮静において、このミダゾラムとブドウ糖で比較したものがあります。30%ブドウ糖を経口投与します。

ICUでのケアが必要で、鎮静を伴うMRIが予定されている112人の新生児が対象で、グループIは30%ブドウ糖経口投与群で、2ml/3kgの用量まで0.5-1mlの追加投与されました。最大量は3mlです。グループIIはミダゾラム静脈内投与群で0.1mg/kg+0.05mg/kgの追加投与です。(図は原文より)

上の図は斜線が成功した人数、塗りつぶしが上手くいかなかった人数です。左がブドウ糖、右がミダゾラム群です。そうすると、成功率はブドウ糖群で78.9%、ミダゾラム群で66.1%でした。(有意差はありません)

上の図は実際の投与量や要した時間です。ブドウ糖は1.85mlなので555mg程度です。体重当たりではおよそ150mg/kg投与されたそうです。60kgの大人で考えたら9,000mg=9gです。

要した時間はミダゾラムと2分も違いがなく、成功率も高いのであれば、非常に良い方法ではあると思います。検査後の血糖値も84程度だったそうです。

ミダゾラム群では8人が一過性の酸素飽和度の低下や無呼吸が認められました。

ブドウ糖は安全に使えそうですが、しかし、逆に考えると、たったこれだけの量のブドウ糖が脳を鎮静させてしまうようです。鎮静剤と同じレベルの鎮静が起きているのです。ある意味恐ろしいです。生まれたばかりではケトン体がまだまだ高く、脳のエネルギーとしてもケトン体が重要な役割を担っているでしょう。そこに大量(と言っても150mg/kg程度ですが)のブドウ糖が体内に入ってくると、途端に脳の機能が低下するのかもしれません。

60kgの大人で9gの量のブドウ糖が、実際の大人で脳にどれくらいの影響があるかはわかりませんが、糖質を摂った後に眠気が来るのも新生児と同じことが起きているのかもしれません。ただ、新生児ほど少ない量では鎮静が起きないだけで、30gとか50gの糖質を摂取すれば赤ちゃんのように脳の働きが低下するのかもしれません。

赤ちゃんに甘いものを与えれば大人しくなるかもしれませんが、脳は活動を低下させている可能性があります。やはり糖質制限でケトン体を出した方が良いのでは?

「Oral 30% glucose provides sufficient sedation in newborns during MRI」

「経口30%ブドウ糖は、MRI中に新生児に十分な鎮静を提供する」(原文はここ

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コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    「生まれたばかりではケトン体がまだまだ高く、脳のエネルギーとしてもケトン体が重要な役割を担っているでしょう。」
    生理学的事実を知らずに、あるいは無視して、無頓着に糖質を与えている場合も多いと
    思いますが、鎮静剤と同様かそれ以上の作用があるとは恐ろしいですね。