塩分制限って本当に必要?

日本高血圧学会の提言では塩分の制限を次のように行っています。

高血圧の予防のためにも食塩制限を―日本高血圧学会減塩委員会よりの提言(2012年7月:2016年6月修正,2020年6月修正)

高血圧の治療においては食塩制限が重要で,日本高血圧学会は1日6g未満を推奨しています。食塩と高血圧の関係はよく知られていますが,食塩摂取量が非常に少ない地域では高血圧の人はみられず,加齢に伴う血圧上昇もほとんどないことが示されています。食塩制限は,正常血圧の人にとっても,高血圧の予防のために意義が大きいと考えられます。日本では塩分の摂取がまだ多く,一般の人の食塩摂取量について,男性は1日7.5g未満,女性は6.5g未満とされていますが,欧米のいくつかの国では,一般の人にも6g未満を推奨しています。また,世界保健機関(WHO)も,すべての成人の減塩目標を5gにしました。

正常血圧でも高めの130-139/85-89mmHgは正常高値血圧と呼ばれ,より低い血圧に比べると循環器病の危険性が高く,高血圧になりやすいことから,食塩制限を含む高血圧に準じた生活習慣の修正が勧められています。また,糖尿病や慢性腎臓病の人は,正常血圧でも循環器病や腎不全の危険性が高いことが知られており,予防のために食塩制限が重要と考えられます。したがって,日本高血圧学会減塩・栄養委員会は,高血圧の予防のために,血圧が正常な人にも食塩制限(可能であれば1日6g未満)をお勧めします。特に糖尿病や慢性腎臓病の人は,循環器病や腎不全の予防のためにも,1日6g未満の減塩を推奨します。また,大人になっての高血圧や循環器病を防ぐためには,子供の頃から食塩を制限することが望まれます。

ほとんどの日本人は必要量をはるかに超える食塩を摂取しており,減塩による健康障害は起こりません。しかし,低血圧や起立性低血圧で立ちくらみがある場合など,一部の病態では食塩摂取は多いほうがよいこともあります。また,夏に塩分摂取を増やすことは,通常は必要ありませんが,汗を大量にかいた場合は例外となります。

WHOは塩分を5g未満、日本高血圧学会では6g未満を推奨です。

ナトリウム(g)×2.54=食塩相当量(g)  ですから、6gの塩分は2.36gのナトリウムです。

さて、実際のナトリウム摂取量を測定することは難しいので、尿中のナトリウムで代用すると、次のような研究でを見ると塩分制限に対する疑問が湧いてきます。(図は原文より)

上の図は最も推定24時間尿中ナトリウム排泄と死亡および主要心血管イベントの可能性との関連です。横軸が尿中の1日のナトリウム排泄量です。Aがあらゆる原因による死亡および主要心血管イベントの複合結果との関連、Bは全原因死亡のみの関連、Cは主要心血管イベントのみの関連です。そうすると、およそ5g程度のナトリウム排泄のところが最低であり、4g未満では逆に全原因死亡も心血管イベントの可能性も高くなっています。5gのナトリウムは12.7gの食塩に相当します。4gのナトリウムは10.16gの食塩です。

上の図は「令和元年「国民健康・栄養調査」の結果」です。食塩摂取量は男性で11g程度、女性では10g程度です。欧米人との体重差を考えても、おおむね研究結果の最もリスクの低い辺りにあります。それなのになぜ塩分制限がずっと叫ばれているのか不思議でたまりません。

エビデンスから考えるのであれば、恐らく3~5gのナトリウム、つまり食塩では7.62g~12.7g程度摂取することが最も健康的なのです。日本高血圧学会の推奨する6g未満の塩分、2.36gのナトリウムでは死亡率や心血管イベントが起こる可能性が高くなるかもしれません。

以前の記事「心不全に塩分制限は必要か?」でも書いたように、心不全を治療するために塩分摂取量を減らすことを評価したランダム化比較試験の分析では、塩分制限が死亡率または心疾患を減少させたことを示すデータはありませんでした。

また、糖質制限をすると塩分排泄も増加するので、糖質制限ではまず塩分を気にする必要はなく、逆に積極的に摂取すべきかもしれません。特に1日の食事回数が1~2回であればなかなか10gの塩分は摂れないでしょう。私はランニングもするので特に塩分を気にしたことはありません。

高血圧の犯人は同じ白い粉ですが、塩ではなく砂糖です。そして糖質です。高血圧も糖質過剰症候群です。

「Urinary Sodium and Potassium Excretion, Mortality, and Cardiovascular Events」

「尿中ナトリウムおよびカリウムの排泄、死亡率、および心血管イベント」(原文はここ

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    塩(天然塩)も砂糖の様な「摂れば健康キャンペーン」はいかがでしょうか?
    塩のほうが砂糖より真実味があります。

    スポンサー付かないですかね。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      塩で儲けている人が少ないでしょうから、難しいかもしれませんね。

  2. いく より:

    糖質制限している人は、塩分を減らすのは間違いと実感しています。
    プチ糖質制限していますが、何年か前は最高血圧が130近かったのが、120を下回るようになり、この夏は100を下回ることがありました。さすがに体がしんどくやる気もなく、仕事を何日か休んだくらいです。
     これに気づいて、塩分を増やして摂るようにしたところ、120程度に上がり、元気になりました。血圧はある程度高くした方がよいと考えます。
     130が高血圧予備軍という基準は(糖質過剰では塩分控えても)薬漬けになるだけで最悪です。

    • Dr.Shimizu より:

      いくさん、コメントありがとうございます。

      糖質制限で不調を感じる場合、塩分不足は多いと思います。
      しっかり塩分摂取が基本だと思います。