肉食は様々な症状を改善する

肉、特に赤肉は健康的にはあまり良くないと考える人がいます。しかし、逆にほとんど肉しか食べない「Carnivore Diet」(肉食)の人もいます。もちろん肉だけなので、非常に強い糖質制限状態です。

このような肉食の人が、この食事法を選択するのはほとんどが健康のためです。では、この肉食では自己申告による症状はどうなるでしょうか?

この研究は6か月以上の肉食の食事を摂取していると自己認識している2,029人の成人(中央値44歳、男性67%)を対象に実施されました。肉食の食事を行っている期間は14か月(範囲9〜20か月)でした。豚肉以外の赤肉を摂取している割合は39%が毎食、46%1日1回以上で、つまり85%が1日1回以上赤肉を摂取していました。

野菜、果物、穀物、砂糖およびハチミツを月に1回以上摂取していたのは10%未満でした。

有害な症状を示した割合は低く、新規に発生または悪化した症状は、下痢が5.5%、便秘が3.1%、体重増加が2.3%、筋肉痛が4.0%、抜け毛・薄毛が1.9%、不眠症が1.7%、皮膚の乾燥が1.4%、痒み1.1%、爪がもろくなる1.1%、不整脈1.1%、その他の症状の悪化や発生は1%未満でした。(図は原文より)

上の図は自己申告の健康状態の変化です。薄いグレーが改善、濃いグレーが不変、黒が悪化です。悪化はほとんどいませんでした。改善は多くの人、症状に渡り、全体的な健康は95%で改善を報告しています。その他にも空腹感や体のエネルギーが高い割合で改善し、精神的な明瞭さ、集中力なども多くで改善しています。慢性疾患も69%で改善しています。

上の図は慢性疾患の改善の状況です。多くの慢性疾患で治癒(寛解)、改善を認めました。特に糖尿病およびインスリン抵抗性、泌尿器の疾患の寛解、改善が多く、90%を超えています。糖尿病だけで見ると、2型糖尿病でインスリンをやめることができたのは92%です。さらに84%で経口糖尿病薬も中止できています。

逆に悪化が多かったのが脂質異常で、19%です。(LDLコレステロール値の増加のことを言っているだけでしょう。)

上の図は様々なデータです。真ん中が現在、右端が食事変更前です。中央値で比較すると、体重は85kg→76kg、BMI27.2→24.3と改善しました。この表にありませんが糖尿病だけで見るとBMIは4.3減、HbA1c0.4%減でした。

脂質では総コレステロール209→256mg/dL、LDLコレステロール126→172mg/dL、HDLコレステロール58→68mg/dLと増加しています。中性脂肪は83→68mg/dLと大きく減少しています。中性脂肪/HDLコレステロール比は1と非常に良い値です。これは通常の糖質制限でも認められる現象です。LDLコレステロールの増加が心血管疾患リスクを高くすると考えている人にとっては悩ましい問題かもしれませんが、私は気にしていません。

一般的な思い込みのような考えとは反対に、肉食は非常に健康上の有益な変化、自覚症状の改善を認めています。

私自身は、やはり腸内細菌のエサである食物繊維を摂るためにも野菜を摂取しています。しかし、肉食であれば肉食に適した腸内細菌が増えて、問題ないのかもしれません。また、ここで得られた多くの症状や疾患の改善は通常の糖質制限食でも同様に認められると思います。肉が良かったというよりも糖質を制限したことがよかったのだと思います。

ほとんどの疾患は糖質過剰症候群です。糖質制限をすれば、どんどん体調は良くなるでしょう。

「Behavioral Characteristics and Self-reported Health Status Among 2029 Adults Consuming a “Carnivore Diet”」

「「肉食の食事」を摂取している2029人の成人の行動特性と自己申告による健康状態」(原文はここ

コメント

  1. 鈴木 武彦 より:

    一日三食バランス良く(糖質は重要なエネルギー源なので全体の60%推奨)。

    との「健康常識」が喧伝されているにも関わらず体調が思わしくない人の割合が多いのはなぜなのでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      食事で体調が悪くなっているとはほとんどの人が思っていないのでしょうね。

  2. クリードン より:

    肉だけを食べていた経験のある人でしたら、ヴィルヒャムル・ステファンソン(Vilhjalmur Stefansson, 1879 – 1962)という探検家がいます。この人はエスキモーたちと数年間一緒に暮らしたことがあり、そのころにステファンソンが食べていたものは「肉と魚だけ」でした。
    ただ、エスキモーたちにとって、赤身肉よりも「脂肪を優先的に食べる」習慣があるようで、そのおかげで彼の肉食生活は健康そのものだったようです。
    ステファンソンは1946年に『Not by Bread Alone』、1956年には『The Fat of the Land』を出版しています。エスキモーたちとの暮らしについて綴った本です。

    ステファンソンは1928年に仲間の探検家と一緒に「1年間肉だけを食べる」実験に参加しました。「脂肪がほとんど無い肉」を食べ続けると体調を崩すようになり、タンパク質の摂取を減らし、脂肪の摂取量を増やすと、不調は回復したようです。

    * Vilhjálmur Stefánsson and the Fat of the Land
    https://price-pottenger.org/journal_article/vilhjalmur-stefansson-and-the-fat-of-the-land/

    「タンパク質中毒」(Protein Poisoning)というものもあります。脂肪の摂取が足りず、タンパク質ばかり食べていると発症する可能性がある急性の栄養失調状態です。

    エスキモーたちが摂っていた食事はケトン食に近いものであり、やはり脂肪の摂取こそが鍵を握るようです。

    清水先生、調べてみて下さい。