空腹時血糖値が10mg/dL増加するごとに、すい臓がんの発生率は14%増加する

すい臓がんは年々増加傾向にあり、しかも非常に生存率の低いがんです。5年生存率は8.5%(男性8.9%、女性8.1%)で、手術できた場合でも、5年生存率は10-30%くらいです。転移はないが手術できない場合の1年生存率は30-50%くらい、転移があるため手術ができない場合の1年生存率は10-30%くらいです。(ここここ参照)

2型糖尿病は、すい臓がん癌の確立された危険因子です。前糖尿病の段階で糖質制限を始めれば、2型糖尿病に進行せずに改善することが多いと思います。2型糖尿病になっても早い段階であれば糖質制限で容易に寛解に持っていけます。

糖尿病発症1年未満のすい臓がん発症リスクは5.38倍と非常に高いのですが、恐らくこれらの多くはすい臓がんによって糖尿病を発症した場合でしょう。新規発症や急激な糖尿病の増悪はすい臓がんに十分注意が必要です。

さて、空腹時血糖とすい臓がんの発生率の関連はどうなっているでしょうか?

9つの研究のメタアナリシスを見てみましょう。(図は原文より)

上の図は空腹時血糖と発生率の関係を示しています。横軸が血糖値ですが、日本の単位にするには18をかけてください。空腹時血糖値が増加するにつれて発生率も増加しています。空腹時血糖が10mg/dL増加するとすい臓がんの発生率は14%増加しています。

日本人の研究を見ても同様です。40〜79歳の46,387人の日本人を分析すると、すい臓がんでの死亡率は前糖尿病(空腹時血糖値110~125mg/dl)で2.83倍、糖尿病(空腹時血糖値126mg/dl以上)で3.96倍です。(この論文参照)

 

お隣韓国の研究でも、空腹時血糖とすい臓がん発生率の関連は同様の傾向を示しています。(図はこの論文より)

上の図は空腹時血糖値とすい臓がんの5年間の累積発生率です。空腹時血糖の正常上限は110mg/dL未満ですが、いわゆる正常高値(100~109mg/dL)でも発生率が高くなっているのがわかります。できる限り空腹時血糖は100を超えないようにする方が良いでしょう。

しかし、これはあくまで糖質過剰摂取状態でのデータです。空腹時血糖がかなり高くなり、糖質制限を始めた方もいるでしょう。糖質制限をしてもなかなか100未満にならない方もいるかもしれません。そのような方が糖質制限をし続けて、上の3つの研究と同様にすい臓がんのリスクが高いままなのかは不明です。しかし、高血糖、高インスリン血症などに毎日何度も晒されるよりは確実にリスクが低くなると思います。

空腹時血糖は一つの指標ですので、糖質過剰摂取状態で空腹時血糖が100を超えたら、すぐにでも糖質制限をしっかりと始めた方が良いでしょう。がんは糖質過剰症候群です。糖質はがんのエサです。

 

「Blood glucose concentration and risk of pancreatic cancer: systematic review and dose-response meta-analysis」

「血糖値とすい臓がんのリスク:系統的レビューと用量反応メタアナリシス」(原文はここ

2 thoughts on “空腹時血糖値が10mg/dL増加するごとに、すい臓がんの発生率は14%増加する

  1. 最近は満腹後1時間血糖値も110台までには収まるようになりました。
    (空腹時は70~80台です。)

    スーパー糖質制限で心身とも健康実感中です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です