糖質入り飲料は子供の能力を低下させるかもしれない

せっかくの子供の能力を低下させているものは、親が与える食事、飲み物なのかもしれません。

今回の研究では、子供の実行機能と糖質入り飲料の摂取についての関連を分析しています。

実行機能とは、複雑な課題を遂行するために、情報を記憶したり、思考や行動を制御する認知制御機能です。段取りよく課題をこなすために必要な能力です。

データはアンケート系なのでその分データの質は低下しますが、甘い飲み物を飲んだかどうか程度なら親であれば覚えている可能性が高いでしょう。アンケートの質問は「過去7日間に、あなたの子供はコーラ、スプライト、フルーツドリンク(オレンジジュースドリンクなど)、ニュートリションエクスプレス(よく知らない飲み物ですね?)、レッドブルなどの糖質入り飲料を何回飲みましたか?」と、0回よりも多いと答えた場合、「平均して、あなたの子供は毎回何サービングを飲みましたか?」という質問です。(1食分は250mLに相当します)

実行機能は子供の実行機能に関する日常の行動評価尺度であるBehavioral Rating Inventory of Executive Function (BRIEF) というもので評価しました。抑制、シフト、情動制御、開始、ワーキングメモリ、計画 / 組織、整理、モニタ、という項目と、さらに抑制、シフ、情動制御の値の和が行動調整指標(Behavioral Regulation Index: BRI)、開始、ワーキングメモリ、計画 / 組織、整理、モニタの値の和がメタ認知指標(Metacognition Index: MI)、BRIとMCIの値の和が合成スコア(Global Executive Conpocite: GEC)として算出されるそうです。スコアは高い方が実行機能に問題ありです。(詳細は省略)(表は原文より改変)

実行機能推定値モデル2
抑制
  0時間/週0
  週1回0.87(0.26、1.52)
  週2回以上1.55(0.91、2.19)
シフト
  0時間/週0
  週1回1.03(0.41、1.66)
  週2回以上1.72(1.08、2.36)
情動制御
  0時間/週0
  週1回0.82(0.18、1.46)
  週2回以上1.67(1.02、2.32)
開始
  0時間/週0
  週1回1.10(0.48、1.72)
  週2回以上2.16(1.53、2.80)
ワーキングメモリ
  0時間/週0
  週1回1.10(0.48、1.73)
  週2回以上2.01(1.38、2.64)
計画/組織
  0時間/週0
  週1回1.12(0.51、1.74)
  週2回以上2.47(1.84、3.10)
整理
  0時間/週0
  週1回1.00(0.38、1.63)
  週2回以上2.27(1.64、2.90)
モニタ
  0時間/週0
  週1回1.11(0.50、1.72)
  週2回以上1.99(1.37、2.61)
BRI
  0時間/週0
  週1回1.02(0.39、1.66)
  週2回以上1.87(1.22、2.51)
MI
  0時間/週0
  週1回1.18(0.55、1.81)
  週2回以上2.50(1.86、3.14)
GEC
  0時間/週0
  週1回1.22(0.59、1.86)
  週2回以上2.44(1.79、3.09)

上の表のように糖質入り飲料の摂取は、実行機能のパフォーマンスの低下と有意に関連していました。調整されたモデル2では、週に1回糖質入り飲料を飲んだ子供は、抑制、シフト、情動制御、開始、ワーキングメモリ、計画/組織、整理、モニター、BRI、 MI、GECは糖質入り飲料を飲まない子供と比較して0.82から1.22の範囲の推定値であり、同様に、週に2回以上飲んだ子供は、BRIEFのすべてのスコアと正の相関があり、推定値は1.55から2.50の範囲でした。糖質入り飲料を飲む習慣のある子供だけを分析したところ、その量の各サービングの増加は、BRIEFのすべてのスコアと正の相関があり、推定値は0.21から0.35でした。

高次機能障害オッズ比 モデル2
BRIの上昇
  0時間/週1.00
  週1回1.23(1.02、1.50)
  週2回以上1.45(1.19、1.76)
MIの上昇
  0時間/週1.00
  週1回1.21(1.00、1.47)
  週2回以上1.70(1.41、2.05)
GECの上昇
  0時間/週1.00
  週1回1.14(0.94、1.39)
  週2回以上1.62(1.34、1.96)

上の表は実行の難しさの上昇を示しています。週に1回糖質入り飲料を飲んだ子供におけるBRIの上昇とMIの上昇の可能性は、糖質入り飲料を飲まない子供と比較して、それぞれ1.23倍、1.21倍であり、週に2回以上飲んだ子供におけるBRIの上昇、MIの上昇、GECの上昇の可能性は、それぞれ1.45倍、1.70倍、1.62倍でした。

この研究の結果は、糖質入り飲料の摂取が多いほど、子供の実行機能のパフォーマンスの低下と関連しているというものでした。糖質が脳にとって必須のものであるのであれば、パフォーマンスが上昇しても良さそうなものです。しかし、実際には糖質は脳のパフォーマンスを低下させる可能性が高いと思われます。特に液体であれば吸収も良く急速に血糖値を上昇させるでしょう。

糖質、特に果糖で甘味を付けた飲み物は子供に与えるべきではありません。もちろん大人にも必要ありません。子供が自由にそのようなものを購入できるようにすべきではありません。アルコールと同様に年齢制限をするべきでしょう。

 

「Association between Sugar-Sweetened Beverage Consumption and Executive Function in Children」

「砂糖入り飲料の消費と子供の実行機能との関連」(原文はここ

2 thoughts on “糖質入り飲料は子供の能力を低下させるかもしれない

  1. 自分が幼少期(昭和42年早生まれ)も甘い飲み物はありましたが、
    当時は日常的に飲むものではなく「もっと飲みたいな~」と思っていましたが、
    今考えると幸いでした。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      コンビニがここまである時代ですから、親がしっかり教えるか、販売制限をするかどちらかしないと大変なことになりそうですね。
      小学生でも検査をすれば脂肪肝の子供は多いのではないでしょうか?

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