多くの疾患、特に慢性疾患と言われているものは、ほとんどは糖質過剰摂取による糖質過剰症候群です。最初に出た症状、疾患を放置してしまうとその後どんどん様々な糖質過剰症候群に襲われます。

今回の研究では、55歳~70歳の多疾患(2つ以上の慢性疾患)罹患の有病率とその後の認知症発症のリスクを分析しています。対象はロンドンで勤務している35~55歳の公務員1万95人(男性6,895人、女性3,413人)です。

多疾患罹患は、13疾患(冠動脈疾患、脳卒中、心不全、糖尿病、高血圧、がん、慢性腎疾患、COPD、肝疾患、うつ病、精神疾患、パーキンソン病、関節炎/関節リウマチ)のうち2疾患以上を有する場合と定義しました。

追跡期間の中央値は31.7年です。

多疾患罹患の罹患率は55歳時で6.6%、70歳時で31.7%でした。(図は原文より、表は原文より改変)

上の図はそれぞれの年齢での罹患率です。疾患の数によって色分けされています。年齢とともに多疾患罹患は当然多くなっていきます。

慢性疾患55歳60年65歳70年全体
冠動脈性心臓病1.35(0.94〜1.95)1.46(1.11から1.92)1.31(1.03〜1.66)1.16(0.93〜1.45)1.25(1.04〜1.50)
脳卒中NA3.55(1.46〜8.59)2.68(1.38〜5.20)1.62(0.89〜2.95)3.37(2.54から4.49)
心不全NANA3.44(1.41から8.35)1.39(0.69〜2.81)2.49(1.88から3.32)
糖尿病2.31(1.56から3.43)2.21(1.63〜2.99)1.98(1.54〜2.55)1.60(1.25〜2.05)1.63(1.35〜1.97)
高血圧1.37(1.15から1.62)1.29(1.10から1.51)1.29(1.10〜1.52)1.31(1.10〜1.56)1.55(1.27〜1.88)
がん0.97(0.50〜1.88)0.99(0.60〜1.64)0.69(0.44〜1.09)0.88(0.63〜1.24)1.06(0.85〜1.31)
慢性腎臓病NANANA5.18(2.29から11.70)2.98(2.22から3.99)
慢性閉塞性肺疾患NANA3.64(1.49〜8.90)1.12(0.46〜2.72)2.20(1.63〜2.97)
肝疾患NANANANA1.89(1.11から3.21)
うつ1.42(0.94〜2.15)1.71(1.25〜2.35)1.79(1.36〜2.35)1.93(1.50〜2.50)2.95(2.44から3.57)
精神障害NA13.51(6.53から27.95)6.66(3.61から12.27)2.05(0.97〜4.35)5.73(4.48から7.34)
パーキンソン病NANA21.24(8.66から52.09)19.31(8.45から44.11)8.16(5.68から11.73)
関節炎/関節リウマチNA1.66(0.68〜4.05)1.51(0.91から2.51)1.14(0.78〜1.67)1.49(1.22から1.81)

上の表は慢性疾患のそれぞれ個別とその後の認知症のリスクとの関連を示しています。がんは認知症と関連していませんでした。それ以外は関連があり、年齢が比較的若いときから疾患に罹患している方が当然、認知症のリスクは高くなっています。

多発性疾患の状態1000人年あたりの発生率の差(95%CI)ハザード比(95%CI)
モデル1モデル2モデル3
55歳
慢性疾患0または1つ0111
多疾患罹患1.56(0.62〜2.77)2.51(1.87〜3.35)2.47(1.84〜3.30)2.44(1.82から3.26)
60歳
慢性疾患0または1つ0111
55〜60歳の多疾患罹患0.60(-0.38〜1.90)1.45(1.05〜1.99)1.40(1.02〜1.93)1.39(1.01〜1.91)
55歳以前の多疾患罹患2.42(1.09から4.12)2.57(1.91〜3.45)2.52(1.88〜3.39)2.46(1.83から3.31)
65歳
慢性疾患0または1つ0111
60〜65歳の多疾患罹患1.85(0.64〜3.39)1.55(1.19から2.01)1.53(1.17〜1.99)1.51(1.16〜1.97)
55〜60歳の多疾患罹患1.24(-0.24から3.22)1.49(1.08〜2.07)1.44(1.03〜2.00)1.41(1.01〜1.96)
55歳以前の多疾患罹患3.86(1.80〜6.52)2.57(1.88〜3.50)2.52(1.85から3.44)2.46(1.80〜3.36)
70歳
慢性疾患0または1つ0111
65〜70歳の多疾患罹患2.34(0.84から4.23)1.33(1.03〜1.72)1.32(1.02〜1.70)1.29(1.001〜1.67)
60〜65歳の多疾患罹患2.32(0.41から4.82)1.45(1.07〜1.95)1.41(1.04〜1.89)1.38(1.02から1.86)
55〜60歳の多疾患罹患2.52(-0.09〜6.10)1.50(1.04〜2.15)1.42(0.98〜2.04)1.36(0.94〜1.96)
55歳以前の多疾患罹患8.94(4.65から14.58)2.80(1.99〜3.94)2.71(1.92〜3.83)2.60(1.84〜3.67)
全体
慢性疾患0または1つ0111
多疾患罹患1.59(1.51〜1.67)2.44(2.04〜2.91)2.44(2.04〜2.91)2.36(1.97〜2.81)

上の表は多疾患罹患(2つ以上の慢性状態)とその後の認知症のリスクとの関連を示しています。慢性疾患が0または1つの人と比較して、55歳ですでに多疾患罹患していると認知症リスクは2.44倍にもなります。多疾患罹患の発症時の年齢が低いほど、認知症のリスクが高くり、70歳までは、多疾患罹患の発症年齢が5歳下がるごとに認知症リスクが18%上昇していました。

上の図は疾患罹患の数(13の慢性疾患のうち1、2、3以上)で分けたときの認知症リスクです。慢性疾患が0または1つの人と比較して、55歳で2つの慢性疾患があると2.14倍、3つ以上の人の認知症リスクは4.96倍にもなります。60歳でも2つの慢性疾患があると1.49倍、3つ以上の人の認知症リスクは4.23倍にもなります。

上の図はそれぞれの慢性疾患の相互関係です。どの組み合わせが認知症リスクが高いのかを示しています。色が濃い方がリスクも高いです。もっともリスクが高いのがパーキンソン病ですね。次に精神障害、うつ病、脳卒中と脳に関わる疾患がやはり認知症のハイリスクとなっているようです。つまり、糖質過剰摂取によりどの臓器が早い段階で負荷が掛かり、障害が出ているかが問題なんでしょう。

認知症になるには20年くらいの年月がかかります。50代ですでに何らかの症状や疾患があれば、当然認知症のリスクは高くなるでしょう。

1つでも糖質過剰症候群の症状、疾患が現れた場合、その時に気が付いて食事を改善すれば、逆転が可能な場合も高いでしょう。しかし、以前の記事「治さない治療」で書いたように、食事を変えずに、ただ単に薬だけを飲み続けるような治療を行っていれば逆転は難しくなるかもしれません。

まずは、糖質制限が基本です。

 

「Association between age at onset of multimorbidity and incidence of dementia: 30 year follow-up in Whitehall II prospective cohort study」

「多疾患罹患の発症年齢と認知症の発生率との関連:ホワイトホールII前向きコホート研究における30年間の追跡調査」(原文はここ

2 thoughts on “中年期にいくつもの慢性疾患があると認知症リスクが高くなる”
  1. 激務であろう医師の方々や栄養士さんなど
    には失礼な言い方ではありますが、
    認知症激増に対して、もしかしたら
    現代の標準的な医療や栄養指導は無効
    なのかもしれませんね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      もちろん認知症に医療は無効です。予防以外にはないでしょう。
      栄養士の栄養指導はそもそも正しい学問に基づいていないですから。

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