ミトコンドリアは我々のエネルギー(ATP)を作ってくれています。ミトコンドリアの呼吸が行われて十分なエネルギーが得られます。
エネルギー消費量は食事の影響を受けます。摂取エネルギー(カロリー)量が同じでも、何を摂取するかによって消費するエネルギー(カロリー)量は異なります。以前の記事「エネルギー消費量は食事で変わる」でも書いたように、糖質が少なく脂質が多いほど、エネルギー消費量が増加すると考えられます。
今回の研究では、BMIが25以上の人に、慣らし運転段階で10〜14%の体重減少をもたらすために、推定エネルギー量の60%で調整された食事が提供されました。目標の減量を達成した後、食事エネルギーの調整によって体重が安定させ、次の20週間の炭水化物量が異なる食事をランダムに割り当てられました。炭水化物の割合が低(20%)、中(40%)、高(60%)の食事です。すべての食事には20%のタンパク質が含まれ、残りのエネルギーは脂質です。
生検により脂肪細胞を採取して、ミトコンドリアの呼吸の状態を評価しました。(図は原文より)
上の図はミトコンドリアの呼吸の変化を示しています。ミトコンドリアの呼吸を測定する方法は私は明るくありません。もっとも左はミトコンドリアの複合体Iを通る電子の流れの基礎の状態を表しているようです。それは食事によって有意な違いはありませんでした。次のGMDは酸化的リン酸化能力を見るためにADPを追加したものです。中炭水化物食と比較して、高炭水化物食では有意に低下していました。
GMDSは複合体I + IIの電子の流れを測定したものです。高炭水化物食では低、中炭水化物食より有意に低下していました。
最後に、最大のミトコンドリア呼吸反応を誘発するFCCPというのを追加しました。ここでも、高炭水化物食では低、中炭水化物食より有意に低下していました。
恐らく高炭水化物食ではインスリン分泌の増加によって、ミトコンドリアの呼吸機能を低下させるのでしょう。これは、脂肪の分解(酸化)してエネルギーに変換するよりも脂肪の蓄積を促進し、体重増加の要因となる代謝状態だと思われます。
カロリー神話を信じている人は、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回れば体重が減少すると思い込んでいます。しかし、全てのエネルギーを持った栄養素が同じ働き、同じ代謝ではありません。何をどれだけ食べるかにより、代謝、ホルモンの分泌は変化します。
糖質過剰摂取のまま痩せることは非常に難しいでしょう。まずは糖質制限です。
「A high-carbohydrate diet lowers the rate of adipose tissue mitochondrial respiration」
「高炭水化物食は、脂肪組織のミトコンドリア呼吸の速度を低下させる」(原文はここ)
トレイルランナー鏑木毅著『50歳で100km走る!』に、糖質を摂らずに脂肪をエネルギーにする方が
トレイルランニングでも効率が良いことがシンプルに書かれています。
糖質はやはり「必須」栄養素ではないようです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
鏑木毅さんはずっと糖質制限で走ることを仰っていますね。
私も今年はまた100㎞走りたいです。レースが行われればですが。