糖質を摂取したときに食後のウォーキングが有効であると聞いたことがあるかもしれません。食後のウォーキングは食後血糖値の上昇を抑えてくれると考えられています。
実際にはどうなんでしょう。
今回の研究では、平均年齢25歳、BMI22.9の健康な若者10人が対象なので、糖尿病の人や中年および高齢者にそのまま当てはまるかどうかはわかりません。
研究1 | ||
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食事1 | 食事2 | |
エネルギー摂取量(kcal) | 276.20±29.97 | 551.73±62.57 |
炭水化物(g) | 50.57±5.76 | 100.77±11.34 |
タンパク質(g) | 8.57±8.51 | 17.22±4.32 |
脂質(g) | 4.12±1.23 | 8.28±2.46 |
炭水化物(%) | 73.79±6.17 | 73.66±6.05 |
タンパク質(%) | 12.38±12.37 | 12.45±12.40 |
脂質(%) | 13.35±3.48 | 13.42±3.42 |
上の表は2種類の食事内容です。参加者は炭水化物含有量が異なる朝食(体重1kgあたり0.75gと1.5g)を食べ、食後運動群では食後15分後より30分間歩行します。コントロール群では運動なしで安静にしています。血糖値の変動はどうなったでしょう。
上の図のaは血糖値の推移です。bは0〜60分での血糖値の曲線下面積です。cは60〜120分での血糖値の曲線下面積、dは0〜120分での血糖値の曲線下面積です。
そうすると、確かにウォーキング中は食後血糖値が十分に抑えられています。しかし、歩行が終わった途端に血糖値は上昇し、コントロール群を上回った状態が続いていました。曲線下面積で見ると0~60分ではどの群も有意差なし、60~120分では体重1kgあたり1.5gの炭水化物を摂取し運動した群が有意に曲線下面積が増加しました。0~120分で見るとどの群も有意差はありませんが1.5gの炭水化物を摂取し運動した群がもっとも曲線下面積が大きく見えます。
つまり、120分間のトータルの血糖値推移をみると、食後30分のウォーキング程度ではそこまで効果が得られないのだと思います。もちろん血糖値スパイクはそれなりに抑えられるので、全く無駄ではありません。血糖値がウォーキング終了後に上がり、その分やっぱりインスリンが分泌されるので、インスリンの有害性は消えることはないでしょう。(「運動により分泌が抑えられていたインスリンは運動終了直後に増加する」参照)
今回の研究は健康な正常体重の若者のものです。食事をしても血糖値は130以下でしかありません。これが耐糖能が低下してきた人であれば、ウォーキング後の血糖値上昇ももっと大きいなど、もっと違う結果でしょう。
30分のウォーキングでは糖質過剰摂取を完全には帳消しにはできません。まずは糖質過剰摂取をしないようにすることですね。運動するなら、1時間くらいは必要なのかもしれません。
「The Effects of Postprandial Walking on the Glucose Response after Meals with Different Characteristics」
「異なる特性の食事後の血糖値反応に対する食後歩行の効果」(原文はここ)