かなり以前ですが、コメントをいただきました。
私はBUN31.2 クレアチン0.46なのでBUN/クレアチン比がゆうに20を超えます。
水分は一日3リットル
糖質30gタンパク質150g脂質110gの糖質制限食をおこなっております。
BUN/クレアチン比がこのように高くなる原因は何なのか、自分ではわかりません。
どうぞ考えられる要因をお教えくださいませんか?
なお、身長168cm体重43kgです。
そして、その後です。
お世話になります
先日2ヶ月ぶりに血液検査をしましたところ、食後3時間値の中性脂肪値が179でした
150未満を目標としたいのですが、食事に関してアドバイスいただけると有り難いです
PFCバランスは、20:76:4くらいです
私はタンパク質によるグルカゴンの分泌が多いタイプのようなので、タンパク質を減らし、脂質を多くしています
主たる脂質源は、MCTオイル、ナッツ、オリーブオイルです
タンパク質によって、血糖値の下がり具合が違うような気もしています(自己測定値からの類推)
どうも、肉類より魚の方が下がりが良いようです
必須アミノ酸の種類が違うから?でしょうか?
タンパク質を減らし脂質を増やした結果、HbA1C6.2→5.3、GA14.0→12.9となりました
他、参考までにHDL93、LDL109、AST19、ALT20、γ-GPT14、Na138、Cl101、クレアチニン0.65、e-GFR74.7でした
この方は、糖質制限をしてタンパク質摂取量を大幅に増加して、BUNが非常に高くなり、コメントをいただきました。BUNはタンパク質摂取量を反映しているように思っている人もいるかもしれませんが、通常はあまり反映していません。様々な要因で変動するため、BUNを指標にタンパク質摂取量を決めることは難しいでしょう。どんなに頑張ってタンパク質を摂取しても通常は20をなかなか超えません。
ただ、この方の場合体重に対してかなりのタンパク質量となり、BUNが上昇してしまった可能性があります。その後タンパク質摂取量を減らしてBUNは落ち着いたようです。
タンパク質は非常に重要であり、十分に摂る必要がありますが、過剰摂取は注意が必要です。そのひとつの問題は血糖値との関連です。通常はタンパク質摂取では血糖値はほとんど変動しないと考えられます。しかし、この方はHbA1cと空腹時血糖値がじわじわと増加してきている状態でした。
タンパク質を摂取すると、下の図のようにアミノ酸が直接糖新生を増加させたり、グルカゴン分泌によってもブドウ糖を産生します。(図は原文より改変)
ただ、インスリンも分泌しますので、インスリン分泌とグルカゴン分泌が上手く釣り合えば血糖値の変動はほとんどありません。
江部先生のブログの記事を参照すると、糖尿病発症時ですでにすい臓のβ細胞の機能は50%程度まで低下してしまっています。その手前の食後高血糖の状態でも正常の70%程度になっています。
(図はここより)
つまり、インスリン分泌能が低下してきている状況では、人によってはグルカゴンとインスリンの均衡が崩れてしまい、血糖値上昇に傾く可能性があるのです。特にすでに2型糖尿病を発症してしばらく経過している場合には、タンパク質摂取で血糖値が上昇するのは珍しくないのではないでしょうか。
コメントをいただいた方の場合、タンパク質を減らし脂質を増やした結果、HbA1c6.2→5.3、GA14.0→12.9と改善しました。
通常糖質過剰摂取状態から糖質制限をすると、HbA1cは大きく改善します。しかし、HbA1cの改善がそれほどでもない場合、または糖質制限を始めてしばらくしてじわじわとHbA1cが上昇してくる場合には、もしかしたらタンパク質摂取が影響している可能性があります。
あとは、筋肉量増強および維持などとの兼ね合いです。HbA1cだけのためにタンパク質量を大きく減らすことは問題でしょう。しかし、過剰なタンパク質摂取も問題になることも考えなければなりません。もちろん、糖質制限では食後血糖値の変動は糖質過剰摂取よりもかなり少ないので、どこまでの血糖値変動を許容するかです。タンパク質摂取で食後血糖値が140以上になっていないのであれば問題が起きる可能性は非常に少ないと思います。
また、この方が書かれているように、タンパク質源を変えてみるのも一つかもしれません。肉類より魚の方が血糖値の下がりが良いと書かれていますが、もちろんすべてを魚にすることは良くないので、一部を置き換えたりしてみるのも良いかもしれません。液体でプロテインを摂取しているのであれば、それを食事性のタンパク質に変えてみるのも良いかもしれません。
また、エビデンスはありませんが、日本人のエネルギー摂取量の基準が決められていますが、私は実際にはここまでのエネルギーは糖質制限をしている場合には必要ないのではないかと思っています。糖質制限をしているとエネルギー効率が非常に良くなり、少ないエネルギーで十分に体が動くと感じています。基礎代謝も一定だというのも疑問です。もちろん運動している人はその分のエネルギーも必要ですが、しかしそれについても世の中にある計算式よりも少なくて良いのではないかと思っています。
糖質制限をする際に、糖質を制限した分のエネルギーを脂質とタンパク質から得ないとならないと言われていますが、十分にケトン体質を得た後には、感覚的に恐らく糖質過剰摂取時代の70~80%程度のエネルギーで十分ではないでしょうか?
そうすると、食後中性脂肪値の大きな上昇は、血糖値と同様に、一度に取り込めないほどの脂質摂取によるものなのかもしれません。筋肉量が少なければ、そこまでの中性脂肪を取り込む必要もないのでしょう。
PFCのバランスは後付けで割合を出しているだけです。重要なのは割合ではなく「量」のはずです。体重当たりの「量」で必要量を考えるべきでしょう。根拠はありませんが、タンパク質も脂質も2g/kg体重くらいがちょうどいいのかもしれません。
「Effects of dietary protein on glucose homeostasis」
「血糖ホメオスタシスに対する食事性タンパク質の影響」(原文はここ)
「糖質制限をしているとエネルギー効率が非常に良くなり、少ないエネルギーで十分に体が動くと感じています。基礎代謝も一定だというのも疑問です。もちろん運動している人はその分のエネルギーも必要ですが、しかしそれについても世の中にある計算式よりも少なくて良いのではないかと思っています。」
根拠乏しいですが、今の世の中もしかしたら多少肥満ぎみの体形が標準になってしまっていて、健康的な体形だと「痩せすぎ」とか評価されそうです。
糖質制限生活のせいか、1日くらい食べなくても特に支障無いです。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
当然、糖質制限は人類の本来の食事に近いので、1日くらい食べなくても平気に過ごせるでしょう。
進化の過程では、人類は1日食べられない日も珍しくなかったと思います。
清水先生
記事にして下さりありがとうございます
さて、現行タンパク質は体重×2g/day、脂質は体重×3.3g/dayを目安にメニューを組み立ています
家族用のおかずを少し食べるので、実際にはタンパク質は体重×2.5g/day、脂質は体重×3.5g/dayとることが多いです
脂質を体重×2g/dayとするには、60gほど減らすことになります
そうすれば、非空腹時中性脂肪値が150未満となる可能性が高いでしょうか?
また、体重は最も痩せていた時より4kg増えていますが、これはほとんど脂身でしょうか?
脂質を60g/day減らしても、現行の体重を維持できると考えたほうが良いのでしょうか?
appleさん、コメントありがとうございます。
どれくらいの食事が良いのかは個人差があるので、一概には言えません。トライアンドエラーで自分で確かめるしかありません。
また4kgの体重増が脂肪なのか筋肉なのかは、お会いもしていないのでわかりませんが、
体重計の体脂肪率は一定の目安にはなるので、ご自身で確かめてみてください。
体重そのものも考えないとなりませんが、筋肉をもっと付けた方が良いと思います。
エネルギーを必要としている筋肉が少なすぎれば中性脂肪値も高くなる可能性があります。
運動が必要だと思います。
そうですね
何事にも個人差はありますね
トライアンドエラーで確かめることが確実なのでしょう
いくつになっても筋力アップは可能らしいので、頑張ってみようと思います
ありがとうございました
糖質制限で摂取カロリーは少なくなるのかと言う事ですが、私自身は15%程度少なくなりました。この量で体重が維持できています。
江部先生は、糖質制限でも厚労省推奨のカロリーをしっかり摂るようにおっしゃっていますが、以前、江部先生自身も摂取量は少なくなったとおっしゃっていました。ただ、カロリー制限をしてしまって失敗する人がいるのでそのようにおっしゃっているとの事でした。
糖質制限を開始した直後は、食欲を満たすために肉などをかなり多く食べて、カロリーも多めでしたが、最近(糖質制限5年目)は、脂質多めの食事になり、総カロリーは喪失制限前よりも少なくなりました。
一般的には少食の方が長寿であると言われていますので、筋肉量を落とさない程度に少食にするのが良いかもしれないと考えています。
西村 典彦さん、コメントありがとうございます。
私も江部先生と同様に、糖質制限を勘違いして、エネルギー摂取量が大きく減ってしまい、
体調の不良を訴える方がいるので、できる限りエネルギー摂取量は維持するように説明しています。
しかし、実際には多くの人が以前よりエネルギー摂取量は減少していると思います。
少食が長寿であるのかどうかは人間ではわかりません。
しかし、糖質過剰摂取時代ほど食べなくても、エネルギーに満ちて、体調が良いことは多くの実践した人が感じていると思います。