世の中変な健康食品、サプリがいっぱいありますね。ちっちゃな効果を大きく取り上げて、あたかもすごい効果があるように見せかけているのが共通しています。(「製薬会社の変なサプリ」など参照)

トリプルバリア」という商品をみなさんはご存じでしょうか?

ホームページには次のように書かれています。

日清食品グループグローバルイノベーション研究センターの独自の研究開発において、インドオオバコ(サイリウム)を食事の前に摂取することで、食事に含まれる脂肪・糖・塩分の便への排出を増やし、食後の中性脂肪・血糖値の上昇を抑え、高めの血圧を下げる機能があることが実証されました。

糖は別として、脂肪と塩分は「悪」であるとして、その排出を増やして、健康になろうというものでしょう。でも、糖質も脂質も吸収を減らしたら、エネルギーはどうするのでしょうか?とはいっても、そこまで考えるまでもなく、大して大きな効果はないでしょう。

では、ホームページにある、トリプルバリアの効果のほどを見てみましょう。(図はここより)

上の図は食後のTG(中性脂肪)スパイクに対する効果です。この研究は、健康な80名の人がオオバコ殻またはプラセボ(オオバコ殻なし)を摂取し、摂取15分後に高脂肪食としてハンバーガー180g、バターロール2個、シューストリングポテト(靴ひものように細い揚げたポテト)30gを摂取しました 。総脂質量は43.2gです。食事前と食事後2、3、4、6時間に血液サンプルを採取し、中性脂肪とレムナント様コレステロール(RLPコレステロール)レベルを測定しました。

その結果は上の図のようですが、確かに2時間と3時間ではトリプルバリア群の方が中性脂肪が低くなっています。その差は19%だということです。しかし、4時間では差がなく、6時間ではほんのわずかですが逆転しています。もう2時間測定を続けたら結果はどうなのかわかりませんね。

それにしてもどちらのグループもめちゃめちゃ中性脂肪のTGスパイクが大きいですね。160~170くらい上昇しています。私は以前の記事「大量のコレステロールを摂るとどうなるか? その1」で書いたように、60gの脂質摂取後でも、中性脂肪は72しか増加しませんでした。脂質を糖質と一緒に摂るとTGスパイクが大きくなるのでしょう。とても健康的とは思えない効果ですね。

RLPコレステロールも有意に抑制したようですが、どれほどなのかは原文が手元にないのでわかりません。

上の図は血糖値への効果です。この研究は、健康な50名の人がオオバコ殻またはプラセボ(オオバコ殻なし)を摂取し、オオバコ殻またはプラセボ摂取の15分後に高炭水化物食(炭水化物106.5g!)として塩おにぎり300gを摂取しました。血糖値とインスリンを測定するために、食事の前と30、60、90、120分後に血液サンプルを採取しました。

その結果は、トリプルバリアにより食後30分で血糖値の変化が大幅に抑制されました。しかし、1時間値では差がありません。やっぱり血糖値スパイクは起きています。どちらのグループも食後血糖値は恐らく余裕の140mg/dL超えでしょう。そして、120分値までしか見ていませんが、よくあるパターンは、その後プラセボよりもベースラインまで戻るのに時間がかかってしまい、結局は同じような感じになってしまうのかもしれません。

また、トリプルバリアにより食後30分と60分でインスリンの変化が大幅に抑制されたとされていますが、これもどれほど低下したのかはわかりません。

上の図は収縮期血圧です。血圧の上昇は塩分によるものであるというのが大前提の研究です。

収縮期血圧130~139mmHg、拡張期血圧85~89mmHgの正常高値血圧という、薬をたくさん処方するために作り出したと思われるカテゴリーの人70人で実施されました。オオバコ群とプラセボ対照群のいずれかにランダムに割り当てられました。12週間、毎日の3回の食事の前に、オオバコ群は1回にオオバコ殻由来の食物繊維3.6gを含む試験食品を摂取し、プラセボ群はオオバコ殻由来の食物繊維を含まない対照食品を摂取しました。2つのグループの血圧の変化を比較しました。

その結果、2つのグループの収縮期血圧と拡張期血圧に有意差はありませんでした。あらら…それではまずいので、サブグループの分析をしました。研究中の推定1日塩分摂取量が被験者の平均を上回った被験者で分析をしたのです。それが上の図です。収縮期血圧のベースラインから12週目までの変化がオオバコ群で有意に大きかったことが明らかになりました。

でもよく見てみると、8週目まで差がなく、12週目にやっと差が出たのですが、どちらかというとトリプルバリアで血圧が下がったのではなく、プラセボ群の血圧が上がっているようにしか見えません。プラセボ群が食べさせられていた、オオバコ殻由来の食物繊維を含まない対照食品に何が含まれていたのでしょうか?12週間で血圧が4mmHg程度も上昇しているのです。ほんとに違いは食物繊維だけだったのでしょうか?

これをもって、塩分摂取量の多い人の血圧を改善するということを言いたいのでしょうが、塩分の吸収を減らしたのかどうかは全くわからない研究です。全くもってひどい研究です。

でも、一般の人は研究の中身は見ないでしょうから、企業の戦略により、言葉だけで信じてしまう人もいるのでしょう。トリプルバリアは機能性表示食品です。

ホームページの一番下に、エクスキューズが書かれています。

本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官により個別審査を受けたものではありません。

特定保健用食品(トクホ)でも怪しいのに、もっと効果の怪しい機能性表示食品です。とてもこれで健康になれるとは思えませんね。体に重要な栄養素まで吸収が低下している可能性もあります。

当然ですが、糖質制限とは比べものにならないレベルの低さですね。

 

「Effect of Psyllium Husk on the Suppression of Postprandial Elevation of Serum Triglyceride Level in Human―A Randomized, Double—blinded, Placebo—controlled, Crossover Study―」

「ヒトの血清中性脂肪の食後上昇の抑制に対するオオバコ殻の影響―無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー試験―」(原文はここ

「Effect of Psyllium Husk on the Suppression of Postprandial Elevation of Blood Glucose Level in Human―A Randomized, Double—blinded, Placebo—controlled, Crossover Study―」

「ヒトの血糖値の食後上昇の抑制に対するオオバコ殻の影響―無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー試験―」(原文はここ

「Effects of Intake of Psyllium Husk on Blood Pressure in Subjects with High—normal Blood Pressure―Randomized, Double—blind, Placebo—controlled Parallel—group Study―」

「正常血圧が高い被験者の血圧に対するオオバコ殻摂取の影響―無作為化、二重盲検、プラセボ対照並行-グループ試験―」(原文はここ

3 thoughts on “脂肪、糖、塩分を便を通じて排出する健康食品?”
  1. 販促(反則?)ワードとしての「トリプルバリア」どころの効能ではありません。
    糖質制限は。

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